平成11年第4回定例会代表質問〜平成11年12月9日

○議長(松田日出男) 1番、横田久俊議員。

(1番横田久俊議員登壇(拍手) )

 

1番(横田久俊議員)

平成11年第4回定例会にあたり自由民主党を代表して山田市長並びに関係理事者の皆様にご質問いたします。私にとりましては本年春の選挙で議席を得させていただいてから、初めての代表質問となります。西暦1000年代の最後の議会に、新人議員にこのような機会を与えてくださった市民の皆様はもとより、各会派の議員各位、各種調査にご協力いただいた原課の方々、議会事務局にこの場をお借りいたしまして改めて感謝の意を表明いたします。

 

それでは以下9項目20点あまりについてお伺いいたします。まず、財政問題についてお尋ねいたします。

市内部では既に来年度予算の編成作業がスタートしているとのことでありますので、この機会に主に平成12年度予算にかける市長の基本姿勢についてお伺いをしておきたいと思います。本題の前に、新年度予算はまず山田市長にとっては、初の本格的な予算となるわけでありますが、その前提として本年度の収支状況がどのようになるのか非常に関心のあるところであります。税収の見込みはいかがでしょうか。その他の要因などとあわせて本年度の決算見込みについてお答えください。

政府は先月、総事業費規模で18兆円の経済新生対策を決定いたしました。この対策では「我が国経済を自立的な回復軌道に乗せると共に、21世紀に向けて新たな発展基盤整備を図る」ことを最重要課題としております。景況感に若干の改善が伺えるものの、先行きは足踏み傾向にあるとの判断から、民需への円滑なバトンタッチを行うため、各種の施策に積極的に取り組まなければならない、すなわち、現在我が国が最も優先させるべきは、景気の回復にあるという信念は変わっておらず、昨年12月のいわゆる財政構造改革法の施行停止をはさんで一貫した姿勢となっております。国における当面の優先課題は、このようにある意味ではわかりやすいと言えますが、かたや地方に目を向けた場合どうでしょうか。いずれの自治体も財政状況は厳しく、国のように赤字公債により財源を調達するわけにも簡単には行かず、当然のことながら歳出の削減を優先課題とせざるを得ないように思えるのであります。言い換えればいろいろな将来的ビジョンを示そうにも、なかなかそれを可能にする状況になく、歳出削減に向けて行政のスリム化に努力している姿を少しでも示そうとしているとも見えるのであります。

さて、そこで本市に照らして考えた場合、来年度予算の編成をスタートさせたこの時期に、市長はどのような予算を編成しようとしているのでしょうか。ご自身の公約の早期実現に向けての積極的な予算とされたいのか、あるいは当分の間、いろいろな意味で辛抱しなくてはならないとお考えなのか、その思いをお聞かせ願いたいと存じます。先日、新年度予算方針の概略が報道され、その見出しは「歳出抑制を堅持」となっておりました。これを見た市民はどう思ったでしょか。市の財政状況は確かに厳しいと思いますが、今こそ知恵を出すことが望まれている時ではないでしょうか。限られた財政の中では、事業の緩急軽重を見極め、見直すものは率直に見直す、また必要な事業は、他の予算を削減してでも執行するという市長の判断が大きく求められます。「歳出は削減するがこれだけはやる」という市長の意気込みや熱意が市民に伝わらなければなりません。市民の要望に応えるために何を削減し、何に力を傾注しようとしているのでしょうか。お聞かせください。

いずれにいたしましても厳しい財政環境は今しばらく続くものと推察いたしますが、山田市長がこれまで発揮されてきた堅実な行政手腕に、新たな発想を加え、今後とも着実で安定した市政の執行がなされますように期待申し上げます。


○市長(山田勝麿)

横田議員のご質問にお答えいたします。

 初めに、財政問題についてでありますが、まず本年度の決算見込みにつきましては、現時点では不確定な要素もありますので、具体的な計数を惜しめ死することは困難でありますが、市税につきましては、予算額にひれいしまして個人市民税が契機の低迷に伴う納税義務者の減少などにより減収となると見込まれることなどから、他の増収要素を勘案しても、全体としての予断額の確保には厳しいものがあると考えております。また、地方交付税や市債において増収が見込まれるものの、最終的に収支の均衡を図るためには一定程度の減償基金の取り崩しは避けられないものと考えており、本年度の残された期間におきましても、予定事業の効率的な執行により経費の節減に努めなければならないと考えております。

 次に、新年度予算についてでありますが、ここ数年の決算状況や今後の行政需要等を考え合わせますと、税制環境は忌避続き厳しい状況にあり、当面はその改善が最優先の課題であることから、過日、庁内に通知をいたしました「新年度予算の編成方針」におきましても、そのような観点に立った取り組みを強く求めたところであります。

 私をいたしましては、初めて本格的な予算を編成することとなりますが、市民生活の向上のため、掲げた公約につきましては今後とも着実に実行していかなければならないと考えており、そのための財源を生み出すためにも、管理経費等の縮減や事務事業の一層の見直しが必要と考えております。

 いずれにいたしましても、現時点までまだ新年度予算の内容について具体的に申し上げることはできませんが、編成作業の中では単年度収支の均衡を見据えた上で新たな視点で検討を加えることになりますが、学校の大規模回収をはじめとした教育環境の整備や、ごみの減量化に向けた各種の取り組みなどを積極的に推進し、さらには少子化対策や高齢者対策などの多様な市民要望にも可能な限りこたえてまいりたいと考えております。

 

1番(横田久俊議員)

次に情報化についてお伺いいたします。

社会のあらゆる分野に情報化の波が押し寄せています。生活環境の向上や産業振興、教育や医療、福祉の充実など情報化が果たす役割は大きく、地域の情報化を円滑に推進するために自治体が担う役割は大変重要であると考えます。高度情報通信社会は、生活・文化、自然・環境を全体として調和し得る新たな社会経済システムであり、かつての「産業革命」「市民革命」に匹敵する「情報革命」とまでいわれているのであります。また、行政分野に目を移しますと小樽市もこれまでも各種情報化について、意欲的に取り組まれている部分もあるかと思いますが、全般的には他の自治体などに比べて若干遅れているように見受けられます。一部職員の方々は自費でパソコンを購入し業務に活用されており、そういったものを含めますと庁内のパソコンは相当数あるやに聞いておりますが、ほとんどが単独で、いわゆるスタンドアローンで使用されていることと思います。数年前まではパソコンは「ソフトなければただの箱」と言われていましたが、今ではいくらソフトが充実していてもネットーワークに繋がっていなければ、つまり他のパソコンやあるいはインターネットを含めたLANやWANなどのネットワークに繋がっていなければ「ただの箱」であるとまで言われております。文書情報の電子化についてもワープロなどを活用した取り組みがみられるものの、職員が個人的に分散・保有していたのでは、それを共有化することは困難です。全庁的な取り組みが不可欠なのではないでしょうか。グループウェアや電子メールを活用することによって、職員間や所属間の情報伝達が飛躍的に効率化することは多くの企業で実証済みです。もはやネットワーク上で書類の決裁を行うといようなことは夢物語ではなく現実なのです。

そこでお伺いいたします。

第1点は、行政情報化の推進という課題について市長の基本的なご見解をお伺いしたいと思います。特に行政文書等の情報化にあたっては、職員の皆さんがいくらパソコンを活用しても、全体的な取り組みとするには、幹部の方々の意識の改革が重要と思われますがいかがでしょうか。

第2点は、情報化にあたっては財政的な裏打ちはもちろん、それを支える人材の育成、また推進体制の整備、セキュリティの確保などクリアすべき問題点が多々あるかと思いますが、そうした課題にどのように取り組んでいくおつもりでしょうか。

第3点、北海道は平成8年に行政情報化計画、地域情報化計画などの5カ年計画を策定し、相応の予算を計上して情報化を展開しております。また、国も平成9年、従来の行政情報化推進基本計画を改定し、新たな5カ年計画を策定いたしました。21世紀プランでも情報ひろがりプログラムが策定されておりますことから本市におきましてもしっかりした情報化計画を策定し、名ばかりでない情報推進委員会を組織して情報化施策の調整、連携を図ることが必要でないかと思いますがいかがでしょうか。

 

○市長(山田勝麿)

  次に、情報化に関して何点かお尋ねがありました。

 初めに、行政情報化推進の基本的な考え方についてでありますが、近年における情報通信技術の発展やマルチメディア技術の進歩は目覚しく、経済活動や市民生活に急速に浸透してきていることから、文書の電子化・共有化をはじめとする行政情報化の総合的な推進は、効率的・効果的な行政を実現する上で大変重要であると考えております。また、行政の情報化には組織全体として取り組む必要があり、御指摘のとおり、指揮監督する幹部職員の認識は極めて大切なことと考えております。

 次に、行政情報化の推進に向けた課題についてでありますが、本市においては情報化の推進にあわせて、ホームページの開設やインターネットの閲覧、電子メールの活用など情報化に向けた環境整備を進めており、一部においては試験的にLANによるデータの共有化を図り、事務の効率化に努めております。また、若手職員は幹部職員を対象とした研修の中で情報化に関するテーマを取り入れたり、さらにはOA研修の回数を増やすなど、情報化に関する知識・技能の向上を図っております。

 情報化を推進するに当たっては、セキュリティシステムの確立や組織体制の整備など、さまざまな課題解決に向けて研究を進めるとともに、システムの構築には多大な経費が必要となることから、既存機器類の活用などについても検討してまいりたいと考えております。

 次に、情報化の推進体制等についてでありますが、行政サービスに対するニーズがより一層高度化・多様化する中で、国をはじめとして情報化に向けた取り組みが進められております。本市におきましても情報化を総合的・計画的に進めるに当たり、国の施策を見きわめながら、推進体制の整備や情報化計画の策定に向けた調査研究に努めてまいりたいと考えております。

 

1番(横田久俊議員)

関連して小中学校におけるコンピュータ教育についてお伺いいたします。文部省は平成13年度までにすべての小中学校の普通教室からインターネットに接続できる環境を整える旨を公表しております。あと2年で本当に実現できるのかは疑問のあるところですが、いずれにしましても情報化の波は急激な速度で教育分野にも浸透してきております。情報化により「子どもたち」「授業」「学校」がそれぞれ大きく変わっていくことと思われます。しかし、現在の学校現場におけるパソコン活用状況はいかがでしょうか。確かに設置されているパソコンの台数は相当数あることと思いますが、その機能は相当陳腐化していると伺っております。インターネットに接続できる環境を備えた学校は何校あるのでしょうか。環境のない学校はあと2年待つことになるのでしょうか。子供たちがコンピューターを身近な道具として慣れ親しみ、何の抵抗もなく使えるようにする、あわせて情報モラルに関する指導を充実させる、他者とコミュニケーションを行う道具として積極的に活用できるようにする、などが今望まれています。2年後では遅すぎます。目まぐるしく変化する情報社会に対応するため、未来を担う子供たちに今こそ早急な情報化教育が必要なのではないかと思いますが、教育委員会のご意見はいかがでしょうか。

 

○教育長(石田昌敏)

 横田議員のご質問にお答えいたします。

 まず、小中学校におけるコンピュータ教育についてですが、現行学習要領において、小学校は休み時間、放課後、クラブ活動で、中学校は技術家庭科、クラブ活動となっており、それに基づき各小学校に10台、各中学校に21台の割で整備しております。

 今回、学習指導要領の改訂及び移行措置実施に伴い、インターネットの活用が必要となりますが、インターネットは1つの学校の枠を超えて、さまざまな学校や地域と情報の共有・交流を可能にし、子供たちの学習の対象を広げ、興味や関心を高める効果があるとともに、情報モラルの理解などを通じて豊な人間性の育成に役立つとされております。

 現在、インターネットに接続できる学校は、周辺機器等を整備しますと、3校となっており、教育委員会といたしましては、今後、情報教育の重要性から教育の一層の充実を図るため、コンピュータ整備について鋭意検討しているところであります。

 

1番(横田久俊議員)

続いて教育委員会に体育施設に関してお尋ねいたします。

21世紀プランに掲げられているように、市民のスポーツ・レクリェーションに対する関心は年々高まってきております。そうした市民のニーズに応えるためには施設の拡充・整備が不可欠でありますが、望洋台奥に建設が予定されておりました総合運動公園の計画は断念されました。これは既存の施設を有効に活用しようという市長のご判断からと思います。しかし、既存の施設が有効に活用されるためには、各種スポーツ大会が開催されるための物理的な基準をクリアしているということが最低条件であります。手宮陸上競技場は全道大会開催の基準を充足していないため、この秋から改修工事に入り新しく生まれ変わろうとしており、体育関係者は高く評価しているところであります。しかし、一方に目を移しますと桜ヶ丘野球場の問題があります。同球場は昭和39年、当時の小樽経済界・一般市民で結成された「小樽桜ヶ丘球場建設期成会」から管理が市に移管されましたが、老朽化が激しく平成4年からは大規模改修がなされました。しかし大改修されたとはいえ未だにプロ野球の二軍はもとより社会人野球の大会さえ拒否される現状にあります。原因は、球場の両翼並びに中堅への距離があまりにも狭いことであります。また、野球関係者が一番心配していることは、レフト、センター越えのホームランボールにより、車両や歩行者に傷害を与えないかということです。これまでたまたま人身事故や物損事故は発生しておりませんが、関係者はいつもひやひやしているとのことであります。これでは既存施設の有効活用は絵に書いたもちになりかねません。今年、小樽の野球は高校では北照高校が、また社会人では小樽協会がそれぞれ全道優勝するなど大活躍の年でありました。同球場は小樽唯一の野球場としてこれらのチームが育ち、今後もまだまだ使用する訳であります。来年5月からは高校野球の地区予選も始まります。両翼の拡張や塀越えを防止する防球ネットなどの設置について、ご見解をお伺いいたします。

また、仮に球場が整備されるとして、その後、次にどのスポーツの施設整備・拡充をお考えでしょうか。今後の施設整備計画についてお聞かせください。

 

○教育長(石田昌敏)

 次に、社会体育施設についてですが、桜ヶ丘球場につきましては平成4年から大規模改修に着手し、平成7年度に完成しております。

 お尋ねの球場の拡張や防球ネットの設置については、近年、用具の改良や選手の体力向上等によりボールの飛距離が延びていることから、関係者の意見も聞き、施設の改修計画のあり方など検討してまいりたいと考えております。

 また、体育施設につきましては、平成10年度には平磯公園グラウンドの改修、本年度からは手宮公園競技場の整備に着手するなど順次改修に努めているところであり、この跡、サッカー、ラグビー兼用の多目的広場の設置について検討してまいりたいと考えております。

 

1番(横田久俊議員)

次に経済振興策についてお尋ねいたします。

小樽市がより発展し、すみよい街となるには経済の活性化が欠かせません。というよりは経済の活性化なくして小樽が反映することはあり得ません。現在の小樽の経済構造は、観光産業が目立って伸長し経済全体の中でも大きな比率を占めております。しかし、小樽の企業のほとんどを占める中小企業、地場商工業は大変厳しい状況であることは私がここで説明するまでもないことでありましょう。小樽の経済を活性化し、しっかりと根の生えた、ゆらぎないものにするためには、こうした既存の地場産業がもっともっと元気を出し、あるいは新しい産業が芽生えていくことが重要なのであります。そのためには行政が今こそ力を出さなければなりません。市長は選挙公約の第1番目に「地場商工業の振興を図り、小樽経済の活性化を図ります」と掲げております。その中で「地場産業振興会議を設置する」と具体的な内容も示しております。10月29日の市長記者会見では、この振興会議を年内に発足させるとの方針を明らかにしておられます。

そこでお伺いしますが、

第1点は、今年の8月からこの振興会議発足の準備段階として分野別・業種別の意見交換会を開催していると伺っていますが、どのような分野からどのような意見が出されたのか、また今後の経済振興に効果があると思われる意見にはどのようなものが抽出されたのかお伺いいたします。

第2点は、振興会議は現実にいつ発足するのか、本当に年内に発足できるのか、またするとすればどのようなメンバーで何を行うのか、お聞かせください。

第3点は、この振興会議が真に地場産業振興の起爆剤となりうるには、単に会議だけでなく振興策を検討しそれを具体の事業として推進することが重要と思われますが、いつころ具体策を出そうとしているのか、またその事業主体や進行管理などはどこが受け持つのかお聞かせください。

 

○市長(山田勝麿)

 次に、経済振興策についてでありますが、ご質問にあります「地域産業振興会議」につきましては、年内の発足を目指し、現在、鋭意準備作業を進めております。

 業種別の意見交換会につきましては、本年8月24日を皮切りに機械工業会、鉄工組合、物産組合、家具建具組合等の皆さんとお話し合いと進めており、それぞれの業界の現状や課題など生の声をお聞きしているところであります。これらの内容につきましては、現在集約整理中でありますが、景気の低迷による総じて厳しい経営環境にある中で、それぞれの企業がチエを工夫によりこの卑怯を乗り切る努力をしているお話や、市に対してさまざまな支援や情報の提供を求める声などが寄せられております。いずれにいたしましても、これらの御意見、御要望につきましては、今後の「振興会議」での検討に向け大変きちょうなものと考えております。

 次に、「地域産業振興会議」の具体的な内容についてでありますが、現在、年内の発足に向け、会議の組織、スケジュール、メンバーの選出、設置要綱の策定などの準備をすすめております。また、メンバーの選出につきましては、産学官が一体となって推進することを年頭に置きながら、各界からバランスのとれた構成となるよう鋭意選出作業を進めております。

 さらに、この会議の目的につきましては、今後の地域産業の振興に向けた具体的な方策をつくり上げる機関と位置づけており、特にベンチャー企業の育成や産業クラスターなどの新しい分野への展開や、産学官連携による研究開発環境の整備など具体的な事業メニューをつくり上げ、事業家に結びつくような取り組みを目指してまいりたいと考えております。

 今後の展開についてでありますが、ご質問にもありますように、地域産業の振興のためには、単に振興ビジョンをつくり上げるだけでなく、具体的な事業メニューをつくり上げ、事業化に向けて推進していくことが重要であると考えております。今後の展開につきましては「振興会議」に議論、検討にゆだねることになりますが、できる限り早い時期に具体的な事業提案がされるよう、鋭意検討を進めてまいりたいと思います。

 また、事業の推進に当たりましては、関係企業など事業主体の健康や進行管理などにつきましては、今後、市としても「振興会議」と連携しながら対応してまいりたいと考えております。

 

1番(横田久俊議員)

次に市民生活の安全確保についてお伺いいたします。

本市には「地域の安全は住民が率先して守る」ことを理念とする「生活安全条例」が制定されていませんが、全道を見ますと、江別、石狩、室蘭、岩見沢、根室をはじめ9市44町2村の55もの自治体で生活安全に関する条例が制定されております。この条例は、住民、行政、警察が一体となって住民の防犯・安全意識の高揚を図り、安全ですみよいまちづくりを目指すことを目的としております。具体的には市が警察や防犯協会や教育関係者、青少年・婦人団体、住民代表などと、活動の母体となる「生活安全推進協議会」等を発足させ、防犯に関する各種対策の提言を行うほか、地域ぐるみで、青少年の健全育成の取り組みや、住民による防犯パトロールを行う、あるいは高齢者を交通事故、悪質商法から守るなどの活動を行うものであります。地方自治法第2条には、地方自治の事務として「地方公共の秩序を維持し、住民及び滞在者の安全、健康及び福祉を保持すること」として、住民の安全保持が地方自治の仕事であることが明記されております。本市の犯罪発生状況の概要を申し上げますと、小樽市内の刑法犯の発生は年間約1,700件あまり発生しており、その8割が窃盗犯で占められています。特徴的な傾向では忍び込みや金庫破り、病院荒らしなど一歩誤れば強盗に早変わりするおそれのある犯罪が8件と昨年の約3倍に増加しているほか、身近な犯罪である自転車盗、車上狙いも本年9月末で昨年同期に比べ約10%以上も増加しております。一方、少年非行の状況は、検挙・補導人員は昨年とほぼ同数の70人前後でありますが、暴行・傷害といった粗暴犯が増加しており、その内容も手加減をわきまえないもの、集団での犯行という悪質なものが確実に増えております。また、深刻に受け止めなければならないのが女子非行の増加であります。本年は昨年同期の実に5倍の30人が検挙・補導されているのであります。

これまでも警察や防犯協会などを中心に、各種防犯活動は行われておりましたが、社会の急激な変化により従来型の防犯活動には限界が見えてきています。既存の体制との整合性や対応する市当局の機構上の問題もあるかと思いますが、市民生活はまず自分たちで守るという意識の高揚が、効果的な防犯、防災対策を講じる上で必要不可欠なのではないでしょうか。防犯協会をはじめとする防犯関係機関や連合町内会などからも、条例制定を望む声が出てきております。

そこでお伺いいたします。

第1点、市民の生活安全確保について、行政の責務という部分も含めて市長の基本的な考えをお聞かせください。生活に危害を及ぼす犯罪や事故の未然防止には、地域と行政との連携が重要であり、そのリーダーシップを市がとるべきかと思いますがいかがでしょうか。

第2点、道内の多数の都市で生活安全条例が制定されていますが、市長はこの傾向をどのように見ておられるのでしょうか。ご意見をお聞かせください。

第3点、只今述べましたように小樽市も着実に犯罪が巧妙化・低年齢化しております。今こそ生活安全条例を制定する時期だと思いますが、今後の方針を含め市長はいかがお考えでしょうか。お聞かせください。

 

○市長(山田勝麿)

 次に、市民の生活安全確保の基本的な考え方についてでありますがご承知のように、市民生活の安全を保持することは地方自治法第2条で自治体の事務とされておりますことから、市民が犯罪や事故等による被害に遭うことなく、だれもが安心して生活できる安全で住みよいまちづくりとすることが自治体に課せられた責務と考えております。このため、これまでも地域の方々の理解を得て街路灯の設置や交通安全施設の整備等、各種施策を実施してきておりますが、今後とも行政として関係機関・団体と緊密な連携を図りながら、市民生活の安全確保に努めてまいる所存であります。

 次に、道内の条例制定の動きについての意見ということでありますが、道内の条例制定の状況につきましては、御指摘もありましたように、平成9年に江別市が制定し、その後、平成11年9月1日現在で9市を含む55自治体で制定しておりますが、道内主要都市の中では、札幌市、旭川市など7市では制定の予定はないと聞いております。

 条例制定に至った背景としては、社会構造の変化等による犯罪の多様化・凶悪化や、車社会の進展による交通事故の多発など、平穏な市民生活を阻害する事態の発生に対して、市民生活の安全と市民意識の高揚を図るために制定されてものと認識しております。

 次に、条例制定の方針ということでありますが、本市におきましては既に暴力追放運動推進協議会、防犯協会連合会、交通安全協会などが市民生活の安全のために啓発運動を実施しておりますし、行政としても先ほど申し上げましたように、犯罪や事故防止のための施策を実施しているところであり、市民の防犯・事故防止意識は定着しつつあると認識しております。

 市民生活の安全確保を達成する手段としては、ご質問にあります生活安全条例の制定も1つの考え方とは思いますが、当面は関係機関・団体と密接な連携を図りながら、相互に有機的な活動を展開することで、市民が安心して生活できるまちづくりに取り組んでまいりたいと考えております。

 

1番(横田久俊議員)

次に本市における障害者施策についてお伺いいたします。

今日、「12月9日」は、くしくも「障害者の日」であります。「国際障害者年行動計画」では、「ある社会がその構成員のいくらかの人々を締め出すような場合、それは弱くもろい社会である」と述べています。これを逆にみると、真に豊かな社会とは「その構成員すべての人々を受け入れる社会」ということが言えるでしょう。障害者福祉の理念は、どんなに重い障害を持っていても地域社会の大切な一員として迎えられる、障害のある方が障害のない人達と同等に生活し、活動できる社会を目指す・・・というところにあるのではないでしょうか。そのためには障害者に対する差別や偏見という「心の障壁」を取り除き、まわりの人々の理解と支えを得ることが不可欠であります。すべての市民が障害者にも自然に手を貸すことができるような豊かな福祉土壌の醸成を目指すことは、行政の重要な責務でもあります。

また、「障害者の自立への支援と社会参加活動の促進を行う」という障害者福祉を充実させることは、すべての人々にとって豊かな社会を構築するために有益であることは言うまでもありません。すなわち、障害者が利用しやすく、移動しやすいように、公共施設や道路、交通機関、商店などの各種施設に配慮を加えて再整備することは、他の社会弱者である高齢者、妊婦、乳幼児などをはじめとする、すべての市民にとって利便性が向上することにほかなりません。視覚障害者のために公園に手すりを設ける、聴覚障害者のために案内表示を充実させることは、子供や高齢者にも大変有効であることはご案内のとおりであります。これまでの障害者に対する諸施策は「障害者のための特別な対策」として取り組まれてきましたが、少子・高齢化がますます進む今日の社会では、「すべての人のため」であることを強く認識して対応していくことが重要であります。

また、障害者が自立していくためには経済的な自立が不可欠であると思われますが、障害者の一般就労は厳しい状況にあるものと認識しております。企業の法定雇用率を確保するための指導はもとより、授産施設の増設、拡充、小規模共同作業所の整備支援など行政がしなければならないことはたくさんあると思います。そこでお伺いいたします。

第1点は、障害者に対する理解の促進のため本市がこれまでとられてきた啓発活動・施策にはどのようなものがあるのでしょうか?単に行政広報による啓発活動では、その効果が明確ではないと思われますがいかがでしょうか。ある自治体の世論調査では「困っている障害者に対し、進んで声をかけた方がよい」とする人が71%を占める一方、障害のある方と気軽に話したり、手助けをすることがあったか」との質問に36%の人が「ない」と答えています。支援はしたいがどうすればよいのかわからない人が多いのではないでしょうか。今後どのようにして市民に密着した啓発活動を進めていき、障害や障害者に対する市民の理解を深めていくとお考えでしょうか。

第2点は、ハード面の整備も含めて障害者にやさしい生活環境づくりをどのように進めていくおつもりでしょうか。点字ブロックの設置や各種施設の段差解消など身近なものから、公共賃貸住宅、グループホームなどの住環境の整備、手話・点字通訳などの情報伝達手段の整備、さらには障害者ための防災対策の充実など、まだまだ不十分な面も数多くあると思いますがいかがお考えでしょうか。

第3点は、障害者が自立していくために、小樽市の障害者雇用環境をどのように整えていくかお聞かせください。就労の場の整備については国の「障害者プラン」で、当面緊急に整備すべき目標として「第3セクターなどによる重度障害者雇用企業などの設置促進」が提起されておりますが、国・道に対して設置を働きかけていくようなことはお考えでしょうか。また、授産事業の拡充や小規模作業所の運営安定化などが課題とされていますが、既存施設の老朽化や狭隘化の問題があると思われますがいかがでしょうか。さらには、こうした施設に対する公的助成はあるものの、補助基準が低く施設の財政基盤は脆弱であると伺っておりますが、今後、補助金の増額を含めた助成制度の充実を国・道に働きかけるお考えはないのでしょうか。先日の新聞記事に障害者のコメントが載っていました。「障害者として生まれたことを不幸だとは思わない。不幸なのは日本に生まれたことだ。障害者の働く場がないのだから」と…。市長はこの記事を小樽に置き換えてお読みになったでしょうか。

介護保険の実施が間近に迫り、どうしてもそちらに目が向きがちですが、介護保険の対象とならない若年障害者に対しは従来どおり障害者福祉施策で対応することと思います。こうした若年障害者に対しても高齢者のサービスと比較して遜色のないもの提供していくことが肝要かと思いますので、福祉政策の一層の充実を希望してこの項の質問を終わります。

 

○市長(山田勝麿)

 次に、障害者福祉について何点かお尋ねがありました。

 初めに、障害者に対する理解の促進のための啓発についてでありますが、市民に障害者問題の理解と認識を深めてもらうことと障害者の社会参加を促進することを目的として、年2回、9月、12月ですが、「障害者の日啓発事業」を実施しているところであります。今後とも「障害者の日」啓発事業の充実を中心に関係機関・団体と連携し、マスメディアの協力を得ながら、ノーマライゼーション理念の市民啓発に努めてまいりたいと考えております。

次に、障害者にやさしい生活環境づくりについてでありますが、障害者施策は福祉、保健、医療、教育、生活環境など広範な分野にわたっており、これらの施策を効率的に実施していく必要があると考えております。従来から点字ブロックの設置やグループホーム等、福祉施設の整備を推進しておりますが、国・道、民間団体、そして障害者、市民の連携を図り、諸施策の重要度・緊急度等を勘案しながら、「障害者福祉計画」に基づき住みよいまちづくりに努めてまいりたいと考えております。

 次に、障害者雇用の環境整備についてでありますが、契機の長期低迷や障害者雇用に対する事業者の理解がまだ浸透されていないなど、障害者の雇用状況は厳しいものと認識しております。市としても一般の方の就業とあわせて障害者促進のため、事業者への協力要請、各種援護制度の啓発を行っておりますが、障害者の就労を促進し、定着を図っていくためには、公共職業安定所の力に負うところが大きいものと考えます。今後とも「小樽地区障害者雇用連絡会議」や「親睦会」等、関係機関・団体とより連携と強め、障害者の一般就労及び福祉就労支援体制の推進を図ってまいりたいと考えております。

 次に、第3セクターなどによる重要障害者雇用企業などの設置についてのお尋ねでありますが、第3セクター方式で設置されている企業は現在、全国に37ヶ所設置されており、道内では北海道等が共同出資した企業が北広島市で平成7年から操業開始しております。これらの企業設置については事業主の協力等、諸課題がありますので、今後、公共職業安定所や北海道と十分協議してまいりたいと考えております。

 次に、障害者授産施設等の老朽化や狭溢化についてでありますが、市内の授産施設については順次改築・増築などが行われておりますが、入居者用居室など一部施設において老朽化や狭溢化が見受けられます。これらの解消について計画中の法人もあり、市としても国や道などの補助制度の活用など法人と協議しながら、支援に努めてまいりたいと考えております。

 次に、施設に対する公的助成の充実でありますが、社会福祉整備等に対する国庫補助基準額の引き下げが平成10年度以降に行われ、法人等にとっても厳しい状況下に置かれているところであります。補助金の増額を含めた助成制度の充実につきましては、従来から全国市長会を要請しているところでありますが、今後とも引き続き要請してまいりたいと考えております。

 

1番(横田久俊議員)

次にゴミ問題についてお伺いいたします。

毎日のようにしかも未来永劫、半永久的に発生していくゴミを如何に処理していくかは、行政に与えられた宿命であると思っております。これを解決するためには『ごみは出るもの、増えるもの、そして、燃やすもの』の発想を転換し、発生を最小限に抑えることがこれまでも強く叫ばれております。本市も来年7月から事業系のゴミの有料化が実施されると聞いておりますが、これも料金徴収によりゴミ発生を抑制するという目的のひとつからと思います。また、全市一斉の資源ゴミ分別収集も同時期から開始されますが、これもゴミ減量のための重要な施策であり、歓迎するところであります。

そこでお伺いいたしますが、

第1点は、事業系ゴミ有料化の具体的な実施方法についてお知らせください。どのようなしくみで行うのか、料金はいくらになるのか、それは他都市と比較してどうなのか、有料化によってどのくらいゴミが減量されると見込んでおられるのか、発生が極めて少ない零細小規模事業所も対象となるのかなどについてお聞かせください。

第2点は、現在行っている市庁舎内のゴミ減量の取り組みについてお聞かせください。小樽市役所も大きな事業者であり、ゴミの排出量も相当あるかと思われます。市民にゴミの減量を求めるためにはまず市役所自らが手本を示さなければなりません。資源物による再生紙を使用する、発注工事による廃棄物のリサイクルを図る、建設等で発生した土砂の利用を促進する、食堂の生ゴミのコンポスト化などを検討する等々、まず市役所が行動し市内全域に広げていくことが重要と思われますが現状はいかがでしょうか。

第3点は、リサイクル分別収集の種別についてであります。本市ではビン・カンとペットボトル・紙パックの2種4分別であると聞いておりますが、これでは少ないように思われます。確かに分別する市民の負担を考えますと思い切った細分化は難しいのかもしれませんが、ゴミ先進市の水俣市では、市職員が地道に説明会を重ね、地域のリサイクル当番に理解してもらうことからはじめ、半年で全市で21の分別を可能にし、こうした細かい分別の結果、埋め立て量は分別開始前の半分に削減できたと聞いております。また宇都宮市では平成7年から分別を実施しましたが、導入前3ヶ月で延べ700箇所の説明会を行い、5種9分別を実施し、総量で10%、焼却量で15%の削減を果たしたと聞いております。細分化が減量に大きく貢献することは明らかであります。ゴミを減らすためには市民が意識改革し汗を流さなければなりません。先の2市の例を見るまでもなく、市当局の周知努力と市民の協力が不可欠です。ご意見をお聞かせください。

 

○市長(山田勝麿)

 次に、ごみ対策でありますが、初めに事業系一般廃棄物の埋立処分手数料有料化の実施方法についてでありますが、既に有料化を実施しております産業廃棄物と同様に、廃棄物の排出事業所から市の埋立処分場まで運搬する許可業者を通じて納入していただくこととしたいと考えております。

 次に、有料化による減量効果についてでありますが、一般的に考えられる費用負担増に対処する減量効果のほか、事業系廃棄物の約4割を占める資源物については、有料化と同時に実施する資源化による減量も見込まれ、現段階で具体的な量を見きわめることは難しい状況にあります。

 なお、全国的には、有料化当初は相当の減量効果があるものの、数年経過後もとに戻る携行があるとの調査報告がありますので、そのようなことにならないよう、事業者に理解と協力を求めてまいりたいと考えております。

 次に、小規模事業所の対応についてでありますが、小規模事業所については、収集運搬業者と提携し、低額で簡易な納入方法について検討・協議中であります。小規模事業者も事業者として公平に負担していただくことを基本として、具体的な取り扱いを速やかに決定し、その事前周知に努めてまいりたいと考えております。

 次に、庁舎内のごみ減量の取り組みについてでありますが、初めに再生品の利用については、広報誌、コピー用紙、トイレットペーパーなどの紙類は再生紙を使用しております。また、土木・建築部門は、建設省の「建設副産物適正処理推進要綱」に基づき、特記仕様で現場内の再利用等を実施するようにしてきております。庁舎内各フロアにおいても、瓶、缶、新聞紙、コピー用紙等を分別、資源化するよう指示していますが、御指摘のように、市庁舎や市の施設がその見本となるよう、ごみの減量・資源化についてさらに周知してまいりたいと考えております。

 次に、リサイクル分別収集についてでありますが、本市では来年7月から、これまでモデル事業として実施してきました缶、瓶、ペットボトル及び紙パックの4品目を対象として全市収集を実施することとして、その準備を進めております。この対象品目には、収集・運搬体制や選別及び処理施設との関係から4品目としたものであり、収集段階では4品目でありますが、リサイクルセンターにおいての選別段階では缶が2種類、瓶が4種類、このほかペットボトルと紙パックの8分別となっております。当面はこの4品目の回収率を高め、収集量の増加を図ることにより、ごみ処理量の削減を目指すものであり、市民の未様には市内50カ所において説明会の開催やごみ広報などを通じてこの趣旨の周知を図ってまいりたいと考えております。

 今後は、「一般廃棄物処理基本計画」にありますリサイクルプラザなどの建設を急ぎ、容器包装廃棄物全般、さらにはその他資源物の分別収集と資源化処理の体制を整備して、廃棄物の焼却処分量や埋立処分量の減量を実現してまいりたいと考えております。

 

1番(横田久俊議員)

次に港湾問題に関してお伺いいたします。

まず、小樽港の分区条例についてであります。小樽港の分区条例は、臨港地区内の土地利用を整理・区分し、港湾施設の有効利用を図る必要から建築物やその他の構築物の用途の規制や誘導を行うことを目的として平成8年に制定されました。この条例については、相当以前から制定の必要性が議会でも議論されておりましたが、たまたま、臨港地区に「パチンコ店」が進出したことを契機に、制定に踏み切ったと聞いております。その際、分区で指定された構築物の種類には合致しないのですけれども、条例制定以前から存在するということで「既存不適格建築物」として現状の業種のまま利用が認められた建物があります。条例制定後、3年を経過し、臨港地区にはマイカル等の「大型複合施設」や「新南樽市場」も進出するなど、大きく様変わりしております。このため、従来、「既存不適格建築物」として、飲食店などを経営している事業者から、現状の事業展開では、客離れが激しく経営の維持が難しいとの切実な声が寄せられておりますが、分区条例の規制があるため、店舗の拡張や事業内容の転換が思うように出来ないのが現状であります。

そこでお伺いいたします。

第1点は、まず、この既存不適格建築物は現在、どのくらいあるのか、その内訳と共にお示し願います。

第2点は、これら既存不適格建築物の業者からの分区条例の改正を望む声が、担当部局にも届いているのでしょうか。条例制定後、3年を経過しており一度見直しをする時期に来ていると思いますが 、市長はいかがお考えでしょうか。地場の企業を守り、振興を図るためには、仮に直ちに条例改正が難しいというのであれば、ある程度弾力的な運用も考える必要があるのではないかと思いますが見解をお伺いいたします。

港湾問題の2つ目に「ひき船業務」についてお伺いいたします。

昨年12月に発生したタグボートの事故によりまして、多額の補修費を要したことから、本市のひき船業務が大きく注目されました。「ひき船」業務自体は、小樽港のポートサービスとしてなくてはならないものですが、その運用方法について疑問の声がかなり聞こえてまいります。現在、小樽港では、港湾管理者である市が2隻のタグボートを所有し、市の直営事業で「ひき船」業務を行っておりますが、道内の他の港では民間が行っている例も多いと伺っております。そこで伺いますが、

第1点は、道内の港の状況がどのようになっているのか、お示し願います。あわせて本市のタグボートの稼動状況と、従事している職員数についてもお知らせください。

第2点は、小樽港のタグボートは、2隻ともかなり老朽化していると伺っております。今後の船舶の更新費用や人件費・維持管理経費と「ひき船」業務で得られる収入とを比較した場合、採算を取るのは極めて難しいとも言われております。この際、民営化ということも当然視野に入れて検討すべき時期に来ていると思いますが、いかがお考えでしょうが。見解をお示しください。

 

○市長(山田勝麿)

 次に、港湾問題についてでありますが、平成8年11月より施行いたしました分区条例でしてされた種類に合致しない「既存不適格建築物」は62軒と条例制定時に抑えておりまして、その内訳といたしましては、住宅が約60%、工場が約17%のほか商店や遊戯施設などで、現状でもほぼ同様であります。

 次に、分区条例の運用についてでありますが、マイカル小樽の大型複合施設が進出するなど臨港地区は大きくさま変わりをしており、勝納地区などの「既存不適格建築物」の所有者から店舗の拡張や新規事業の展開についての相談が寄せられております。条例制定後まだ日も浅く、見直しまでは考えておりませんが、周辺を取り巻く環境の大きな変化の中で経営維持に取り組んでいる地場産業を守るという見地から対応してまいりたいと考えております。

 次に、「引き船」業務についてでありますが、道内で市がタグボートを所有し、直営で業務を行っているのは小樽港だけであり、石狩湾新港ほか4港が民間委託、苫小牧港ほか5港は民間会社が経営しております。

 小樽港のタグボート稼動状況についてでありますが、平成10年度の稼働日数は。「さくら丸」が137日、「たていわ丸」が149日となっております。

 タグボートの作業従事者ですが、埠頭事務所の船舶系の7名が従事しておりますが、タグボート1隻5名従事ということで、2隻ありますので、埠頭係より3名の応援が必要で、合計10名体制となっております。

 タグボートの民営化についてでありますが、御指摘のように両船とも建造後19年から20年を経過し、老朽化が進んでおり、今後の採算性を考えた場合、厳しい状況にあるものと認識をいたしております。道内では直営が小樽港1港ということで、民営化につきmしては行政改革の中長期的な項目にも位置づけており、現在、他港の状況などを参考としながら検討しているところであります。

 

1番(横田久俊議員)

最後に雪対策についてお伺いいたします。

市民生活のために、冬期間の生活道路確保の重要性は、ここで改めて言うまでもありません。今冬の小樽市の除排雪計画では、交差点の見通し確保や、横断歩道の段差解消などに重点を置くとのことで、交通事故防止や高齢者対策に重点をおいた計画となっていることは市民も評価しているところであります。

しかし、雪は毎年降りつづけます。毎年10億円もの除排雪費が、言い方は悪いかもしれませんが泡となって消えていきます。ある意味では仕方の無いことだと思いますが、何かここらで抜本的な雪対策は無いものでしょうか。具体の例で恐縮ですが、例えば朝里川温泉の各ホテルの浴場で使用した温排水は、現在、下水に排出されております。排出直後の温度は35度以上あると聞いていますが、この温水を流雪溝を建設して朝里あるいは新光地区に流すと相当量の融雪に効果があると思われます。その他にも市内で温水を排出している浴場や事業所もあるかと思われます。もちろんクリアすべき様々な問題点もあるかと思いますが、少しでもこうした地域をつくり、それを徐々に広げていくことで除排雪費の削減に効果が出るかと思いますが、市長のご見解はいかがでしょうか。

次に市長は公約の中で「特にお年よりの世帯の除雪を強化する」と高齢者や障害者宅の除雪について力を入れることを表明しておられます。この考え方には私も大賛成ですが、技術的には非常に難しいのではないかと思います。高齢者の一人暮し世帯や障害者世帯は比較的容易に抽出できることとは思いますが、こうした世帯は群立しておらず各所に点在しているものと思われますので、実際に除雪現場で特定の家だけを丁寧に除雪するのは除雪効率や人員確保の面からも困難が伴うのではないかと思われます。また、よほど慎重に対象を選定しないと、「うちも一人暮しなのになぜきちんと除雪しないのか」などという苦情が出てくるものと思われます。また、一人暮しや障害者であることが周囲に明らかになることによってプライバシーや防犯上の問題も現れてきます。市長はどのように公約を実現されるのか、その具体の方法についてお聞かせください。

 

○市長(山田勝麿)

 次に、雪対策についての御質問ですが、流雪溝の整備につきましては、これまでも検討を行った経緯がありますが、本市では地形上、所要の勾配と安定した水量・水源の確保が難しいことや、中心市街地など地下埋設物がふくそうしている路線では設置スペースも確保できないなどの問題があり、具体化に至っておりません。

 また、浴場等の温排水につきましては、環境面の課題もあり、下水道への接続を推進している現状にあります。しかしながら、御提言にありましたような廃熱利用による融雪施設につきましては、基本的には雪処理の効率化や除排雪経費の節減が期待されますが、一方では技術的な面や施設整備に多大な費用も予想されますので、その費用対効果なども含めて十分検討しなければならないと考えております。いずれにいたしましても、本市での可能性について今後研究してまいりたいと考えております。

 次に、お年寄り世帯の除雪についてでありますが、22%を超える高齢化率の当市にとって、その世帯の方々の除雪作業については大きな問題であり、市の除雪の中での強化を図るべきと考えております。他年においても議員御指摘のとおりの問題があり、そういった方法について苦慮し、工夫しながら、玄関先への置き雪を少なくしたり、除去するなどの除雪対応を行っていると聞いております。本市においても、従前からお年寄り世帯を中心に玄関置き雪対策を求められているところであります。

 また、本年度は軽くやわらかい新雪除雪を重点に、圧雪の除雪は排雪とセットする方法をモデル路線で試行し、置き雪対策としての効果はもとより、技術的な面や除雪の効率性、経費等のデータ収集を行い、その可能性を研究いたしたいと思います。いずれにいたしましても、「きめ細かな雪対策」の大きな柱として、お年寄りや障害者の除雪の強化を図ってまいらなければならないと考えております。

 以上です。