平成15年第2回定例会一般質問〜平成15626


○議長(中畑恒雄)

(2番横田久俊議員登壇(拍手) )

 

○2番(横田久俊議員)

改選後初の定例会で一般質問できますことを、関係各位に感謝申し上げます。大きく4点にわたりまして、市長、教育長にご質問いたします。

まず第1点目は、朝里ダム、オタルナイ湖の湖面利用についてお尋ねいたします。朝里ダムは、洪水調整、流水の正常な機能の維持、水道用水の三つの機能を備えたダムとして、平成5年度に完成いたしました。周辺には散策路やダム記念館、ピクニックエリア、テニスコートなどが整備され、周辺住民はもとより、市内・市外に住む人の観光スポットとして脚光を浴びているゾーンであります。国土交通省所管のダムでは、ダム湖周辺の適正な利用を誘導しておりまして、こうしたダム湖周辺を憩いの場として提供する施策を推し進めております。そうした施策により、ダム湖そのもののレクリエーション資源としての価値を高め、水源地域の活性化を目指すことを目標としているそうであります。まさしく朝里ダムも今後こうした活用が望まれていると思います。人と湖が上手につき合い、湖面を地域のレクリエーション空間として利用する。あるいは水資源に関する学習の場として子どもたちに活用させるなど、水、自然とのいっそうの触合いが、今、求められているのではないでしょうか。

市民の側からも、湖面利用についての要望が挙げられております。具体例では、小樽漕艇協会が練習場として湖面を利用できないか、あるいは地元の住民や温泉関係者が、手こぎボートを浮かべて観光スポットとして活用できないかというような声があると伺っております。これまで、動力船はもとより無動力船、いわゆる手こぎボートの類ですが、こうしたボートも湖面を滑走しているのを見たことがありません。現在、こうした船舶といいましょうか、舟艇の航行は規制されているのでしょうか。また、されているとしたら、どのような根拠によるものなのでしょうか。仮にボートの類を持ってきて浮かべる人たちがいた場合、どのような対応がなされるのでしょうか、お聞かせください。

ボートなどの湖面利用により、いくつかクリアしなければならない課題の発生が予測されます。水質汚濁などの水質事故は防止できるのか、生態系はきちんと保全されるのか、あるいは湖面へのごみ投棄などはきちんと規制できるのかといったような、環境保全に関する課題があるでしょう。また、当然ながら、水中転落やボート同士の衝突、転覆事故、湖面周辺通路などでの各種事故に対する安全管理対策が必要であること

は言うまでもありません。湖面利用ではそうしたことを一つずつクリアしていかなければなりませんが、具体的にどのような課題が発生するのか、お聞かせください。また、そうした課題はどのようにクリアしていくことができるのか、市長のご見解をお聞かせください。

さらに、朝里ダムと同様に飲料水源として利用されているダムで、動力船を含めた舟艇に湖面を利用させているダムが全道にいくつかあると聞いておりますが、活用状況について把握しておりましたら、お知らせください。

先日、ダムを管理する土木現業所で、この湖面利用についてお話を伺いました。市民や漕艇協会の要望については道の方でも関心を持たれまして、今後一つの検討課題としていただける旨のご返事をいただきました。しかし、湖面利用が単に一スポーツ団体や一部の市民のためだけでは、利用の可能性は極めて低いものになります。小樽市全体を見渡し、市民のレクリエーションの場となり、観光や経済政策と緊密に結びついた湖面利用となるためには、小樽市の前向きな姿勢が必要不可欠であります。事故を危ぐするのは当然でありますが、あまりに心配ばかりしていたのでは物事は一歩も前に進みません。じゅうぶんな安全対策により、事故発生を抑止しながら湖面を市民に活用させるのも行政の知恵であります。湖で音楽コンサートを行い、バックにボートが浮かんでいる、こんな風景を思い浮かべてください。財政が厳しい中、市民としてはせめてこうした夢のある施策を望んでいるのではないでしょうか。

朝里ダムの管理は道土木現業所ですが、所在地の市長として、こうした湖面利用の方針について、どのような見解をお持ちなのか、さらには湖面利用に対する市長の姿勢をお伺いいたしまして、次の質問に移らせていただきます。

 

○市長(山田勝麿)

横田議員の質問にお答えいたします。

朝里ダムの湖面利用について何点かお尋ねがありました。初めに、ダムにおける船舶の航行規制についてでありますが、ダム管理者であります北海道においては、現在のところ法令や条例等に基づく特別の規制措置をとっていないところでありますが、水道水源の水質保全の観点から、小樽市が水道事業者としての立場で湖面利用の自粛指導方を土木現業所に要請し、一定の理解の下に事実上禁止の状態になっているところであります。

次に、湖面利用に際しての課題でありますが、利用者の過失による事故はもちろん、悪意を持った行為による水質汚濁の危険性も否定できず、その確率を高めることについての懸念があります。また、ダム水は一たん水質の悪化を招くと、正常な水質に戻すことが極めて難しいと言われており、その結果、水道事業が相当長期間にわたって影響を受け続け、最悪の場合には給水停止に至る可能性も否定できません。いずれにいたしましても課題の解決には、技術的な対応は別として、利用者のモラルが最も重要であると考えております。

次に、道内における水道関連ダムの湖面利用状況でありますが、南富良野町にあります金山ダムや朝日町にある岩尾内ダムなど、水道用水の利用度が低いダムではボートの利用が認められている事例があります。一方、恵庭市にある漁川ダムなど、朝里ダムと同様に水道用水の利用度が高いダムにおいては規制されている傾向が見られております。

次に、湖面利用についてですが、朝里ダムとその周辺を含む朝里川温泉地区の観光レクリエーション機能の充実については、温泉地区の活性化はもとより、本市の観光振興に大きな効果をもたらす可能性が高いものと考えております。しかしながら、湖面の利用に関しましては、朝里ダムが市内給水量の5割を賄う重要な水源となっておりますことから、極力人為的な汚染を避けることが重要と考えております。いずれにいた

しましても、具体的な湖面利用の内容に応じてダム管理者と協議することになりますが、一たび事故や事件が発生すれば市民生活に重大な影響を及ぼしかねないものであるだけに、水道水の安全確保を第一に置きながら、慎重に対応しなければならないものと考えております。

 

○2番(横田久俊議員)

2点目は、雇用の問題についてでございます。北海道経済産業局が毎月発表している「北海道の雇用情勢と雇用創出等の取組について、これの最新版、5月の報告では、本道の雇用情勢について「依然として厳し」い状況が続いている」としており、3月時点の有効求人倍率も全国数値の0.60倍に対し、本道は0.46倍と低調に推移していることを明らかにしております。今朝の報道では5月の倍率が出ておりましたが、これは何と0.39倍と、11か月ぶりに0.4倍を割ったことが報じられておりました。全道の1月から3月期の完全失業率は8.1パーセントと、前年同期より0.9ポイント上昇し、過去最悪となっております。また、中高年の雇用環境はとりわけ厳しく、45歳を超えると有効求人倍率は44歳までの0.63から一気に0.30倍まで下がるなど、激減しております。まず本市の雇用情勢について、ここ数年の推移なども含め詳しくお知らせください。

こうした厳しい情勢の中、厚生労働省は、平成11年から地方公共団体が地域の実情に応じて緊急かつ臨時的に雇用を創出する事業を支援するために、緊急地域雇用創出特別交付金というものを交付しております。事業期間は平成16年度までとされており、小樽市もこれまで多くの事業を展開してきたことと思います。これまでの特別交付金事業の実施状況を、年度ごとに事業費、雇用人員に分けてお知らせください。その中で特徴的な事業、効果が大きかったと思われる事業などについてもあわせてお知らせください。また、15年度、今年度の事業計画についても同様項目でお知らせください。

厚生労働省は、この特別交付金事業の推奨事業として、教育・文化、環境、治安・防災、福祉・保育、地域振興の5分野で28の項目を挙げております。本市のこれまでの事業を見ますと、各種データベースや都市計画関係基礎資料の作成あるいは図書館の電算化事業などに比較的多くの事業費が執行されているようですが、さきの5分野の構成比率を事業費ベースでお答えください。また、本事業は委託方式を原則としていながら、直接実施事業も認めております。推奨事業例の中の教育・文化分野で挙げられている例としまして、教員補助者の学校受入れ事業、学校開放や子どもの奉仕体験活動の充実を図る事業などは直接事業を想定していると思われます。また、実際に、各市町村で教育アシスタント派遣事業、臨時講師雇用事業、学校生活介助員派遣事業、国際理解のための外国語講師派遣事業など、主に教育関係で多くの直接事業が実施されております。本市の直接実施状況についてお知らせください。

また、推奨事業例は文字どおり例ですので、地方公共団体が独自に企画した事業も当然認められていることと思います。身近な例といたしまして、札幌市では市内の電柱に張られている違法ポスターの撤去事業にこの制度を活用いたしまして、中高年者が多く雇用され、成果を上げていると聞いております。この事業が建設土木以外の事業という縛りがある中で、中高年者の雇用に目を向けた事業として評価されているそうで

あります。小樽市独自の事業としてはどのようなものがあり、その中で中高年者を対象とした事業にはどのようなものがあったのでしょうか。特殊な技能のある方の雇用促進も、小樽の将来を展望した場合、もちろん大事であります。そうした方々を正規雇用に結びつけていくのも、本事業の重要な目的であります。しかし、今、現実に仕事がなくて困っているのは中高年者であると思います。こうした方々に本事業を有効に活用することが、市民の願いでもあると思います。16年度の事業に、こうした分野の比率を多くするお考えはないでしょうか、お考えをお聞かせください。

 

○市長(山田勝麿)

次に、雇用問題について何点かお尋ねがありましたが、まず本市の雇用情勢でありますが、ハローワーク小樽管内における有効求人倍率の推移では、平成13年度0.38、平成14年度0.39、平成15年3月時点では0.41と、若干上向きとなっておりますが、全道の0.44、全国の0.61に比べ、低くなっております。また、平成10年度小樽市労働実態調査によれば、労働力については80パーセント以上の事業者が充足していると回答しているほか、新規学卒者採用事業所は26.3パーセントで、前年より8.2ポイント減少し、平成15年春の採用予定も過半数が予定なしと回答しており、中途採用の実績のある事業所も減少し、パート労働者を雇用している事業者が増加している傾向にあります。さらに高年齢者の職業相談件数の推移は、平成12年度1,859件、13年度2,182件、14年度3,275件と大幅に増加しており、本市を取り巻く雇用環境は厳しい状況が続いているものと考えております。

次に、緊急地域雇用創出特別交付金事業の実施状況でありますが、平成11年度の事業実績は3事業、4508,000円、新規雇用44人。平成12年度は18事業、9,1871,000円、208人。平成13年度は17事業、8,6252,000円、213人。平成14年度は10事業、7,9009,000円、73人となっております。また、特徴的な事業といたしましては、図書館業務の電算化に伴う図書資料マーク化事業、都市計画図の高度利用を図るための都市計画図作成及び数値化事業、点字図書館蔵書テープ整理事業などがあり、新規雇用の面で効果があった事業といたしましては、イベント「雪あかりの路」に係る調査事業、観光客動態調査及び観光事業者意識意向調査事業、ホームヘルパー養成研修事業などであります。

次に、平成15年度の事業計画でありますが、現在のところ10の事業で、事業費ベースでは1億1,0733,000円、新規雇用82人を予定しております。また、新規雇用効果も含め、特徴的な事業といたしましては、継続事業の図書資料マーク化事業のほか、デジタルデバイド解消ヘルプデスク設置運営教習事業、さらに今回ご提案しております産業遺産発掘及び産業分布状況データベース構築事業などであります。

次に、分野別の構成比でありますが、平成11年度から14年度までの実施事業、また、平成15年度の実施予定の事業について、国の推奨事例の5分野に区分した場合、その構成比率は教育・文化が34パーセント、環境4パーセント、治安・防災5パーセント、福祉・保育9パーセント、地域振興48パーセントとなっております。また、これまで本市が実施した48事業につきましては、すべて委託方式であり、要件が限定される直

接実施事業の実績は現在のところございませんが、各市の実施状況をじゅうぶん把握して、本市として可能なものについて研究してまいりたいと考えております。

次に、小樽市独自の事業でありますが、観光地クリーンアップ事業、イベント「小樽雪あかりの路」に係る調査事業、小樽ロケ資源映像データベース化事業など、小樽観光の基盤づくりに向けた事業を実施したところであります。また、中高年齢者を対象とした事業につきましては、制度上、中高年者の雇用に限定された事業実施は難しいものがありますが、平成16年度の事業検討に向けましては、ご提言の趣旨も踏まえ、可

能な限り対応してまいりたいと考えております。

 

○2番(横田久俊議員)

次に、3点目として、観光及び国際交流についてお尋ねいたします。本市は現在、ロシア・ナホトカ市及びニュージーランド・ダニーデン市の2市と姉妹都市提携をしております。文化やスポーツをはじめ、観光や経済面でもさまざまな交流がなされ、相互に有意義な関係を保持しているところであります。まず、姉妹都市交流の現状と事業内容、年間の交流費用、今後の課題があるとすればその課題などについてお知らせください。

姉妹都市として交流を深めている両市でありますが、両市とも比較的遠距離にあるため、小樽市民が気軽に姉妹都市を訪れるというわけにはなかなかいかないのが実情であると思われます。アジア圏域にこうした交流都市があれば、もっと相互に行き来が可能になるのではないでしょうか。後志支庁のまとめでは、外国人観光客の管内宿泊者数は前年比54パーセントと大幅な伸びを示しております。今後もこうした傾向は続きそうであります。その中では、台湾、香港、韓国と、近隣アジア諸国が大勢を占めているわけであります。

中でも隣国韓国は、国内旅行とほとんど同額の費用で渡航できることから、多くの日本人が観光やビジネスで訪れております。また、韓国からも年々来日する観光客が増え、特に小樽を訪問地として選択する韓国人が多いということもお聞きしております。これは、本市をロケ地にした映画「ラブレター」が韓国や台湾などで大ヒットしたことなどによるものと伺っております。また、韓国は、経済不況からの素早い立ち直りや、IT普及に国を挙げて取り組むなど、さまざまな面で非常にパワーのある国であると評価されております。

現実に、韓国ソウルの特別市の区長、これは首長になるそうですが、この首長から小樽市と国際交流したい旨の希望が民間経由で伝わってきております。人口50万人を超えるこの都市は、地元芸術家の作品展示や公演、スポーツ団体の親善競技などを通じた文化・スポーツ交流、市場開拓、市場購買などの使節団の派遣や、貿易博覧会の開催などの経済通商交流、さらには民間レベルの観光、旅行商品を提供し合う観光交流などを望んでおります。今のは一つの例ですが、聞くところによりますと、いくつかの外国都市から小樽市との国際交流希望があるように伺っております。どのような都市からどういう内容のお話が来ているのでしょうか、お知らせください。

また、小樽市には三つの大学、短期大学がありますが、この3校に中国・韓国の留学生92名が学んでおります。実に100名に及ばんとする中国・韓国の留学生が本市で学んでいるということは、教育面でも本市とアジア諸国との交流の盛んさを物語っているのではないでしょうか。このような状況から、今後の国際交流の方向性、また、アジア圏域との姉妹都市提携などについて、市長のお考えをお聞かせください。

 

○市長(山田勝麿)

次に、姉妹都市交流の現状と事業内容でありますが、現在、ナホトカ市及びダニーデン市との間で、市民使節団や少年少女使節団の交流をはじめ、スポーツや芸術文化の交流を行っているほか、ダニーデン市とは小学生によるEメール交流も行われております。また、小樽商科大学がオタゴ大学と学生交換協定提携校、小樽短期大学がオタゴ・ポリテック校と姉妹校となっており、相互の学生が留学などの交流を行っております。

交流費用としては、姉妹都市提携委員会の今年度の予算が380万円となっております。さらに幅広い市民交流を実現するためには、民間主導による国際交流事業を進めていくことが必要であると考えておりますので、そのための受皿づくりが今後の課題となっております。

次に、外国からの小樽市に対する国際交流希望についてですが、市に対しての正式な話として来ているものではありませんが、韓国や中華人民共和国などの都市から経済交流や人的交流などを行いたいという話は聞いております。

次に、今後の国際交流の方向性及びアジア圏との姉妹都市提携でありますが、当面姉妹都市提携をしておりますナホトカ市とダニーデン市との交流継続を基本としてまいりたいと思いますが、昨年、中国との間で定期コンテナ航路を開設したことなどから、将来的には中国や韓国との経済交流などを進める中で検討してまいりたいと考えております。

 

○2番(横田久俊議員)

最後に、大きな4点目、教育問題についてであります。北教組が道などを相手取って起こしている訴訟について、何点かお尋ねいたします。昨年12月、北教組は、公立小中学校の養護教諭が超過勤務をしているにもかかわらず時間外手当が支給されていないといたしまして、北海道と143の市町村を相手取り、3億円余りの支払を求める訴訟を起こしております。この訴訟の目的については、一昨年3月、道教委が四六協定の一部破棄を通告したことに伴い、この撤回を図るためとの報道がなされております。これを裏づけますように、5月20日に行われました第2回目の口頭審理では、北教組弁護団は協定書破棄の不当性などについて意見陳述をしております。四六協定がいかに法律の趣旨を損ねているかなどについては、全国的な問題となりましたし、本市議会でも多くの議論が交わされたところでありますので、ここでは改めて触れませんが、北教組のこうした姿勢、つまりは四六協定の破棄された項目の復活をねらうという姿勢は、市民感覚から遠く離れたもののように思われます。そこで、訴訟の概要についてお伺いいたしますが、訴えられている143の市町村の中に小樽は入っているのでしょうか。つまりは、学校設置者である小樽市長が被告となっているのかについてお答えください。

次に、この訴訟は全道で何校、何人の教員が原告となっているのか。小樽が訴えられているとしたら、その中で小樽は何校、何人が当事者となっているのか。また、時間外勤務の時間数は何時間で、請求されている金額はいくらなのかを、まずお教えいただきたいと思います。

あわせて北教組側が主張しております本訴訟の目的であります四六協定破棄項目の撤回ということに対して、教育長はどのような見解をお持ちでしょうか、お尋ねいたします。

公立校の教員には、仕事の内容や勤務形態の特殊性などから、超過勤務手当の支給はなじまないとされ、手当にかえて、道の特別措置条例に基づいて給料の4パーセントの教職調整額が支給されております。これにより超過勤務手当の支払の法的義務は全くないものと思いますし、被告の道及び市町村の弁護団も、なぜ訴えられるのか見当がつかないと一蹴しております。あまりにも基本的なことですので、私がここで述べるのもおこがましいのですが、時間外勤務手当とは使用者と労働者が労働基準法第36条による協定、三六協定を締結して、使用者が時間外命令を発し、それに基づいて労働した結果の対価であります。前述しましたように、教職員には教職調整額が支払われております。当然ながら三六協定は締結しておりません。協定なしに時間外手当の支給を求めることは、我々には理解できません。原告側は、教職調整額以上に時間外勤務をしているから手当を支給せよと主張しておりますが、そうであれば時間外勤務を一切しない教員は、教職調整額を返還しなければならないと思いますが、いかがでしょうか。教育長のご見解をお伺いいたします。

今回の訴訟で原告側は、一昨年の11月から12月にかけての1か月間、全道6,000人の教員を対象に勤務時間の実態調査を行ったそうであります。確かにテストの採点や児童の成績評価に一生懸命な先生、また、クラブ活動の指導に熱心な先生が遅くまで勤務しておられる実態も間違いなくあることでしょう。反面、時間どおりに勤務し、部活や成績評価にあまり熱心でない先生もおられるように聞き及んでおります。一部の教員

にのみ負担がかかり、全く負担のかからない教員もいるという、同じ教員間で勤務実態に格差があるとすれば、学校運営・管理面からもたいへん憂慮すべきことのように思われます。この調査はいかなる方法によって行われたのでしょうか。さきほど申しましたように、管理職は時間外命令を発していないはずであります。

北教組側の独自の調査なのでしょうか。それとも管理者が認めた数字なのでしょうか。学校現場、教育委員会は、この調査にどのように関与したのでしょうか、お答えください。

最後に、教育長にお尋ねいたします。教育の現場に裁判ざたはなじまないと思います。時間外に勤務し、その報酬を求めるのは、労働者の当然の権利としてもちろん否定するものではありません。しかし、現行のしくみ、つまり教職調整額の支給という制度がある中で、それが気に食わないから即裁判だという姿勢は、決して多くの市民の理解を得るものではないと思います。さきに述べましたように、確かに遅くまで子どもたちのために一生懸命な先生もおります。クラブ活動でほとんど土日もない先生を何人も知っております。本当にそうした先生たちのすべてが時間外手当をよこせと主張しているのでしょうか。すべての先生に熱血先生になれとは毛頭言いません。教師が真に子どものために何をしてくれるのか、市民は大きな関心を寄せて注目していると思います。この訴訟問題も含めまして、教育長が描かれる教師像についてご意見をお聞かせください。

以上、細かい部分につきましては委員会で質問することとし、再質問はいたしませんので、明快なご答弁をいただけますようお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 

○市長(山田勝麿)

次に、北教組の時間外勤務手当訴訟について、小樽市長も被告かという問題でありますが、提訴時点で申し上げますと、被告につきましては小樽市長を含め北海道知事と道内他市町村長の合計144名であり、原告につきましては全道での学校数は把握しておりませんが、人数は1,687名で、このうち小樽市の関係者は24校の37名であります。また、請求金額につきましては総額3億2,3099,159円であり、このうち小樽市関係分については6034,636円であります。以上です。

 

○教育長(石田昌敏)

横田議員のご質問にお答えいたします。

まず、四六協定は、昭和46年に北海道教育委員会と北海道教職員組合が時間外勤務の条件にかかわって、地方公務員法第55条に基づく交渉を行い、協定に達したものであります。平成13年3月27日、道教育委員会がこの協定の一部削除を決定し、北教組に通告しており、このことが今回の北教組の訴訟につながったものと思われます。市教委としては、今後とも道教育委員会に一貫した態度で臨んでいただきたいと考えております。

次に、教職調整額の返還についてですが、国の給与特別措置法で、超過勤務手当制度等を適用せず教職調整額の支給によることと定められており、時間外勤務手当を支給せよとの主張についてはその根拠を有しないものと考えております。

次に、原告側の実態調査についてですが、道の給特条例では、原則として教育職員には時間外勤務を命じないものとされており、校長・教頭の関与がない中で原告側が取りまとめたものであります。原告側準備書面にも調査方法については記述がなく、市教委、校長とも把握しておりません。

最後に、教師像についてですが、中国の古典に「教学半ばなり」という言葉がございます。教えることと学ぶことは互いに支え合っているという意味を持っており、教えるためには学ばなければならない。教える教師は学ぶ児童・生徒に支えられている。教師の喜びは子どもたちを教え育て、その成長に感動し、みずからも成長していくものであるというものであります。私自身、教職の道をたどった者として、教師一人一人が改めて新しい時代の教育者としての生き方を求めてほしいと思うものであります。