平成16年第1回定例会代表質問〜平成1632


    2番(横田久俊議員)

平成16年第1回定例会が始まりました。この平成16年という年は、山田市政にとって、本当の意味で小樽市再生元年であると思います。まさに正念場を迎えた極めて大事な定例会で、代表質問できますことを光栄に思いますとともに、小樽市がこの危機を乗り切り、再生を果たすという重要な時期に議員として関与できることに、身の引き締まる思いをしているところであります。自由民主党を代表して、9項目、20数点ほどについて、市長、教育長、関係理事者に質問いたします。

まず、平成16年度予算案全体についてお聞きをいたします。

16年度の一般会計当初予算では、一般財源の歳入が362億円であるのに対し、事業費から特定財源分を減じた一般財源額の必要額は384億円と、差引き225,000万円の財源が不足しております。水道会計などから3億5,000万円を借り入れる財源手当をしても、19億円という巨額の数字が丸々不足となっております。これを、入る見込みのない諸収入に計上し、いわゆる赤字予算として編成したことは、国会でも地方財政のひっ迫例として取り上げられるなど、小樽市民のみならず、全国にも小樽市の財政危機が周知されたところであります。一般に、歳入で歳出を賄うという意味で、両者は相互に関連するものでありますから、これらのバランスがとれることによって、初めて地方自治体の財政の健全化が保たれるものであります。地方自治法第208条第2項が「各会計年度における歳出は、その年度の歳入をもって、これに充てなければならない」と規定しているのも、当然こうしたことを踏まえて条文化されたものと思われます。

そこでお聞きいたしますが、今回の予算編成は、この地方自治法第208条第2項に抵触しないのでしょうか。同条同項は、歳入の確保される範囲内で歳出予算を組むことを規定していると解すべきであり、赤字予算は原則として許されないものと思われますが、いかがでしょうか。

次に、19億円は当然収入の見込みのない額ですから、16年度決算では歳入欠陥となることと思います。会計上の手続としては、翌年度、つまりは17年度の歳入を繰上充用して決算処理することと思いますが、現況では17年度の歳入が著しく好転するとは考えにくい状況であります。つまりは、この繰上充用措置による処理が、さらに17年度以降の財政運営を圧迫するものにならないのか疑問であります。お答え願います。

また、こうした赤字予算編成が過去にあったのか。あったとすれば、この繰上充用措置をとったのか。その後の財政運営はどうであったのか、お答えください。

歳入についてお伺いいたします。今回、赤字予算編成を余儀なくされた大きな要因として、一般財源収入が15年に比べ、138,000万円も落ち込んだことが挙げられております。地方譲与税は1億2,000万円増えたものの、地方交付税、臨時財政対策債で5億2,000万円減収となるなど、依存財源が差引き5億3,000万円の落ち込みとなりました。しかし、一番大きいのは自主財源である市税収入が8億3,000万円減収になるということであります。なぜ、市税収入が見込みよりこのように落ち込むことになったのか、その理由を詳しくお聞かせください。

一方、歳出は昨年度比2億9,000万円ほど圧縮されました。財政健全化の取組では、3年間で歳出分の削減効果35億円を出すとおっしゃっていましたが、16年度では人件費で11億円、事務事業の見直し5億円などで、167,000万円の効果を出せたのは大いに評価できます。しかし、果たして18年度までに35億円を達成できるのでしょうか。その見込みについて項目などを挙げながらお知らせください。

19億円の諸収入が少しでも多く入ってくるためには、新しい財源を求めなければなりません。総務省が16年度から新設する地域再生事業債についてお聞きいたしますが、本事業債の発行の要件は、地方単独事業が前年度比マイナス9.5パーセントあるいは単独事業の財政規模に占める割合が13パーセント以上と聞いております。小樽市は、この要件に合致するのでしょうか。もし、発行できるとすれば、通常の地方債でカバーできない25パーセントのいわゆる自己資金分にこの地域再生事業債を充てることにより、一般財源を他の歳出に回すことができると思います。また、要件に合致するとして基準を超過した額、いわゆる発行可能額は幾らくらいになるのでしょうか、お答えください。

また、財政健全化債の弾力的運用が国から示されておりますが、これは本市に適用されるのでしょうか、お聞かせ願います。

この項の最後に、これまで財源不足が生じた場合には、市税収入や交付税を多めに見積もるなどして、歳入と歳出の額を合わせていたと伺っていますが、今回、そうした手法をとらずに、あえて諸収入として19億円を形式計上した理由をお聞かせください。

いずれにしても、小樽市民にとってたいへん厳しい予算案であります。しかし、財政再建団体への転落は何としても食いとめなければなりません。それには、行政、議会、市民、経済界が一丸となって、真正面からこの危機に向かっていくことが重要と思われます。こうした予算編成を余儀なくされた市長の思いを、いま一度お聞かせ願います。

 

○市長(山田勝麿)

横田議員のご質問にお答えいたします。

平成16年度予算案に関連して何点かお尋ねがありました。まず、平成16年度予算が実質的に赤字予算になったことについてですが、地方自治法第208条第2項は、歳入が確保される範囲で歳出予算を計上することを規定していると解されております。いわゆる赤字予算には二つの場合があり、形式的な意味での赤字予算は、歳出予算の総額が歳入予算の総額を超える場合をいい、予算の形式上も収支が一致していないものであります。一方、実質的な意味での赤字予算は、形式上は歳入予算と歳出予算の額が一致しているが、歳入予算のうち、過大な見積りがあることなどの場合をいいます。

本来、地方公共団体の予算は、収支均衡を保ち、それにより財政運営の健全性が確保されるのが基本原則であるのは当然であります。しかし、原則はこのように考えられるとしても、現実には実質的な赤字予算を組まざるをえない場合があり、形式的な収支が一致しない予算は違法となるため、収入を増額して収支を一致させ、実質的な赤字予算を編成しなければならないことも事実であり、適切とはいいませんが、違法とはならないものと考えております。

次に、平成16年度決算における繰上充用が、平成17年度以降の財政運営を圧迫することにならないかということでありますが、19億円という金額は多額のため、16年度の赤字決算は避けられない見通しで、17年度予算からの繰上充用の財源も考えますと、今後の財政運営には大きな影響を与えることになると考えております。

次に、過去における赤字予算の編成でありますが、本市は昭和31年度から昭和34年度まで財政再建団体となり、また、昭和45年度から52年度まで赤字決算となっております。このときは繰上充用の措置をとり、実質的にはその財源を特別交付税などに歳入を期待計上していたものであります。また、その後の財政運営につきましては、財政健全化の取組や高度経済成長などによる税収増、地方交付税制度の充実などで、収支の均衡をなし遂げたものと認識しております。

次に、平成16年度における市税収入が8億3,000万円減額となる主な理由でありますが、昨年の第2回定例会後の市税の予算額と比較しますと、固定資産税、都市計画税の滞納繰越部分で約5億2,000万円、納税義務者の減などによる個人市民税で約3億6,000万円、喫煙者の減少などでたばこ税が約7,000万円などで、それぞれ減収となりますが、固定資産税、都市計画税の家屋分が約1億6,000万円増収となることにより、トータルで8億3,000万円の減収となるものであります。

次に、財政健全化の取組による歳出削減の見込みでありますが、人件費の抑制については、職員数の削減や独自の給与引下げなどにより、約20億円の削減目標にめどがついております。その他の事務事業の見直しによる15億円の歳出削減につきましては、平成16年度予算で約5億円の効果を出すことができました。目標達成にはあと10億円の削減をしなければならず、非常に難しい課題ではありますが、事業の推進に当たりましても、選択と集中という観点に立って、創意工夫し、達成に向け、最大限の努力をしていく考えでありますので、市民の皆さん、議員の皆さんのご理解、ご協力もぜひお願いしたいと考えております。

次に、地域再生事業債と財政健全化債についてでありますが、どちらも公共事業における通常の起債充当率をかさ上げするものであり、地方の一般財源負担の軽減が図られるものであります。地域再生事業債の発行要件ですが、要件を本市に当てはめてみますと、概算でありますが、平成16年度の単独の投資的事業は前年度より29パーセントの減少、また、投資的経費標準財政規模に対する比率は、9パーセントであることから、対象団体の要件を満たしておりません。一方、財政健全化債については、その充当事業の弾力的運用については、個々の自治体の相談にきめ細かく対応することとされておりますので、今後、本市の事業で対応可能と思われる具体的メニューを示し、北海道を通じて国へ積極的に働きかけて導入を目指し、財源の確保に努めていきたいと考えております。

次に、財源不足を諸収入に計上した理由でありますが、確かに市税や交付税など、既存の収入を多めに見積もり、予算を調整する手法はありますが、今回の財源不足は19億円と多額であり、調整することが適当でないと判断したことに加え、財源調整のための減債基金なども底をつく中で、そのような手法で予算編成をしては、小樽市の真の財政実態がわからなくなるため、あえて諸収入に形式計上し、市財政の窮状を形の上でも示したものであります。

次に、今回の予算編成に対する思いということでありますが、平成16年度は財政健全化が本市の最重要課題であり、安定的に継続可能な財政体質を構築するための第一歩の年であります。そのような中で、歳出削減や歳入増のための取組は、議会並びに市民の皆さんのご理解とご協力によりぜひ達成したいと考え、広報おたるにも財政再建問題を掲載し、第4回定例会でも政策課題として議会にお示しし、健全化の第一歩を歩もうとしていたときに、国の三位一体改革が示され、その影響があまりにも大きく、本市にとって非常に厳しい結果を招くこととなったと受け止めております。国、地方ともにたいへん厳しい状況の中で、三位一体の改革は必要であるとの認識を持つものでありますが、本市をはじめ、多くの地方自治体の財政に大きな影響が出ており、この改革が大都市圏と地方のいずれの都市も納得の上進められ、地方財政の充実につながり、真の地方分権を推進するものとなるよう、国や関係機関に強く働きかけていきたいと考えております。

いずれにいたしましても、議会並びに市民の皆さんとともに、この難局を乗り越え、財政再建団体への転落回避に不退転の決意で臨みたいと考えております。

 

    2番(横田久俊議員)

次に、今回、市民に受益者負担をお願いする案件について、何点かお尋ねいたします。

まず、放課後児童クラブについてお伺いいたします。この事業では、これまで市内23か所、27クラブで実施されており、約580人の小学校低学年の児童が利用しているわけでありますが、今までは月におやつ代1,500円のみで預かってもらえたのが、9月からおやつ代のほかに月4,000円をいただくというお話であります。来年3月までは経過措置として2,000円とするそうでありますが、対象児童を持つ親としては、無料だったものがなぜいきなり有料になるのだろうかという素朴な疑問が生じることと思います。単に財政が厳しいからということで料金を徴収するのか、それともしっかりした理由があるのか、まずは受益者負担をお願いすることについて、市民が納得する理由をお聞かせください。

次に、月4,000円という金額は、一般の家庭にとっては大きな額であります。対象児童を持つ親の中には、この金額をねん出することが厳しい方もおられると思いますが、そうした保護者に対する利用料の減額あるいは免除の制度は、どうなさるつもりでしょうか。また、年子や双子など、同一家庭の児童が同時にクラブを利用する場合の料金はどうお考えでしょうか、詳しくお聞かせください。

また、今回の有料化によって、当然ながら歳入が増えるわけですが、それはどの程度とお見積りでしょうか。

次に、料金はいただくが、サービスは同じでは市民の合意は得られません。新年度から、このクラブを充実させるとのことですが、どのように充実を図っていくのか、お聞かせください。

 

○教育長(石田昌敏)

横田議員のご質問にお答えをいたします。

放課後児童クラブについてですが、まず受益者負担については、行政改革を推進してきている中、放課後児童クラブも充実と受益者負担を検討課題として位置づけ、取り組んでまいりました。本市の状況を見ますと、クラブの利用実態は児童全体の17.4パーセントと偏りがあること、全道的には児童クラブを開設している149市町村640クラブのうち、6割以上のクラブが有料としており、平均月額料金で最も多かったのは、おやつ代を含んで4,000円から6,000円であること、人口10万人以上の都市では4市が有料としており、その平均は月額4,075円であること、この事業費に占める負担割合を2分の1を市費とし、4分の1を国や道の補助金、そして4分の1をクラブを利用される受益者のご負担とさせていただきたいこと、子育て支援という観点からもこの事業は重要な事業であり、今後とも継続していかなければならないことなどの理由により、総合的に判断して、月額4,000円の受益者負担をお願いするものです。

次に、利用料の減免についてですが、就学援助の要保護に該当する場合は100パーセント免除、準要保護は50パーセント減額の2,000円といたします。兄弟などでクラブに入会する場合は、第1子目は4,000円、第2子目は50パーセント減額の2,000円、第3子目以降は100パーセント免除といたします。なお、16年度の利用料については、受益者負担の初年度ということもあり、すべて50パーセント減額した利用料といたします。

次に、歳入についてですが、平成16年度は6037,000円、17年度は2,070万円を見込んでおりますが、クラブの充実により嘱託職員などの報酬が増えることから、年間約1,000万円の経費増が見込まれ、実質歳入は平成16年度約400万円の歳入欠損、17年度は約1,000万円の歳入となる見込みであります。

次に、クラブの充実についてですが、一つ目は、定員を超えると予測される学校では、クラブの増設や定員の見直しをいたします。二つ目は、開設している時間を1時間延長し、通常期の月曜日から金曜日までは午後5時までだったものを午後6時まで、春、夏、冬休み中は午後4時までだったものを午後5時までとします。三つ目は、新1年生の入会をそれまでは入学式の翌日だったものを4月1日からといたします。四つ目は、児童の積極的な外遊びができるように、クラブ指導員の配置など、態勢を整備してまいります。

 

    2番(横田久俊議員)

次に、ふれあいパスについてお伺いをいたします。この事業は平成9年に始まり、中央バスの無料乗車証か、JRの無料乗車券のどちらかを70歳以上の方に交付している事業であります。ほとんどのお年寄りが無料バス乗車証を選んでおり、平成16年1月末の交付者数は、約2万2,000人と伺っております。今回、これを1回乗車するたびに100円の自己負担をしていただき、市から中央バスに支払う額をこれまでの2億円から1億5,000万円に減額することで、市の負担も5,000万円削減するということであります。これも同様に今まで無料だったものを半額とはいえ、自己負担をお願いするわけですから、確かにお年寄りには厳しいものになることでしょう。しかし、現行の制度の影には、民間企業に過大な負担を押しつけているということがあることを忘れてはいけないと思います。交通事業は、公的な機関であることはもちろんですが、だからといって、その事業自体を圧迫するようなことがあっては、継続が困難になることは目に見えております。現行制度では、民間企業が社会貢献という範囲を超えていることも耳にするところであります。まず、今回の制度見直しについて、この一乗車ごと100円徴収ということになるまでに、バス事業者とどのような話合いが持たれたのか。バス事業者にとって、利用実態とのかい離はどのぐらいあったのか、お聞きいたします。

札幌市も同様に、制度を見直し、利用者負担を考えているようでありますが、昨年、市民アンケートをとったところ、見直すべきという意見が70歳未満で53パーセントと半分以上、70歳以上でも37パーセントおられたそうであります。小樽市ではアンケートをしておりませんが、ある老人クラブでふれあいパスについてお話をさせていただきましたところ、見直しには皆さんが一定の理解を示されました。また、あるお年寄りは「自己負担をしなければだめだ。無料で乗っていたのでは物申すこともできない」とはっきりおっしゃっておりました。もちろん、今までどおりにすべて無料にしてくれというご意見もあることも伝わってきております。しかし、我が党は、この制度が将来にわたって存続していくことを願ってやみません。そのためには、受益者がある程度の負担をすることは、避けられないと思っております。さらに、よりよいしくみを考えながら、市民皆が知恵を出し合っていくことが必要と思います。この制度見直しに踏み切った市長のお考え、そして、今後ますます増えていくであろう受益者負担の流れに対する市長のご見解をお聞かせください。

 

○市長(山田勝麿)

次に、受益者負担に関連してふれあいパスについてでありますが、この制度のスタート以来、毎年市の負担額を含めて、バス事業者と協議をしてきました。しかし、年々交付対象者が増加し、市のアンケート調査やバス事業者の実態調査でも市の2億円の負担に対し、約10億円の利用実態であり、かい離も約8億円あることから、バス事業者から再三にわたり、地域の足としてバス事業を安定的に維持するためにも、利用実態に見合う市の負担の増額を求められてきました。また、かい離を解消できない場合は、予算の範囲内でのプリペイドカード方式の導入や廃止も含めた検討を要請されておりました。平成15年度に向けた交渉の結果、次年度に一定の見直しを条件に、現行どおり継続することができましたが、平成16年度に向けた交渉では、市の負担額が厳しい財政状況の中で現状維持が難しいこと、一方で市の負担額のみのプリペイドカード方式では、利用回数が極端に制限されることから、できるだけ従来の制度内容に近づけるよう、協議を重ねてきたところであります。このような交渉経過を踏まえ、乗車回数に制限のない方法として、市内一円利用者の一乗車ごとに100円を負担することと、市の負担額を減額することで、バス事業者から了承を得たところであります。なお、平成16年度中に市とバス事業者とで利用実態調査を実施し、その調査結果を踏まえ、平成17年度に向けた協議をすることとしております。

次に、この制度見直しに踏み切った考え方でありますが、バス事業者としては、厳しい経営環境の中で地域の足を確保すべく努力をしており、さらに高齢者の増加に加え、毎年伸び続けてきた予想以上の利用実態とのかい離分を負担してきた経緯があります。一方で、市としては厳しい財政状況の中ではありますが、何とかこの制度を継続していきたいということから、バス事業者と交渉を進めてきたところでありますが、利用者に応分の負担をしていただかなければ制度の継続が困難であると判断し、今回の見直しとなったところであります。

また、受益者負担に対する見解でありますけれども、市で行っている事務事業は多岐にわたり、必ずしも市民すべてがその恩恵を受けているわけではありません。また、市税などの一般財源収入が限られる厳しい財政状況の中で、今までどおりにサービスを行っていくことが難しい状況にあります。このため、市の行う事務事業による受益と負担の関係をよく見定めて、場合によっては受益者負担を求めていくことも、検討する必要があると考えております。

 

    2番(横田久俊議員)

次に3点目、小樽駅前の再々開発についてお聞きいたします。

JR小樽駅前は、港に向かう中央通整備が終了し、海が一直線に見えることも加わって、観光都市小樽の玄関口として、他都市に恥じないすばらしいスポットであります。しかし、ご案内のように、駅前第3ビル、通称サンビルの3階から8階部分を占めている小樽国際ホテルが、一昨年5月に営業停止してから既に2年がたとうとしております。ホテルに多額の債権を持つ整理回収機構、RCCは札幌地裁に競売を申し立てており、これまで2回の競売が実施されましたが、入札はなかったようであります。小樽駅をおりて、目の前にそびえ立つビルの3階以上が2年間も空き家のままであるという異常な状況は、小樽市のイメージに極めて悪い印象を与えていることは否めません。まず、この国際ホテルの閉鎖に関し、これまでの経過について時系列的に整理してお知らせください。

次に、新たな買い手が見つからない理由に、滞納している電気、水道代など共益費1億4,300万円を引き継ぐという条件があるように伺っております。また、仮にどこかが購入しても、施設の老朽化が進んでいるため、多額の改修費がかかるようにもお聞きしております。その他、取得税など、各種税金の負担を考えますと、現況のままでの売却は、非常に困難ではなかろうかと思われますが、いかがでしょうか。

問題は今後の方針であります。いつまでも駅前に空き家ビルを放置しているわけにはいきません。しかしながら、今、述べましたように買い手がつくのはいつになるか見当もつきません。3回目の入札はいつごろになるのでしょうか。また、2回目の入札の最低売却価格は、1回目の半分になりましたが、3回目の最低価格はさらに半分になるのでしょうか。応札の見込みはあるのでしょうか。また、3回目も応札がなかった場合、4回、5回と入札が行われるのでしょうか。RCCから情報収集していることと思いますので、お知らせ願います。

現在、19社、小樽市も入っておりますが、同ビルに入居しております。これらの方々は、将来構想についてどのようなお考えを持たれているのでしょうか。入居者の方々から、最近同ビル周辺の再々開発を望む声も聞かれました。サンビル商店街の皆さんのお考えについて、把握しておりましたらお聞かせください。

昭和51年の駅前再開発では、行政が中心となって事業を進めました。今、民間だけの力ではサンビルのみの再建すら、今まで述べたような理由でたいへん困難であると思われます。もちろん、小樽市が単独事業としてできる状況でないことは明らかでありますが、しかし半面、行政が知らん顔をするということも許されないわけであります。昨年は駅前歩道橋の撤去についても、議会で議論が交わされました。いずれにしましても、観光都市小樽の玄関口として、それにふさわしい整備が早急になされるよう、我々も知恵を絞っていかなければなりません。行政、議会、周辺の地域住民、そして経済界など各界が一致協力して取り組むことが、本件には不可欠です。この際は国や道を巻き込み、補助を受けながらサンビル周辺をも含む再々開発が必要と思われますが、市長は今後この問題をどのようにしていくのか、ご意見をお聞かせください。

 

○市長(山田勝麿)

次に、国際ホテルについて何点かお尋ねがありました。

まず、閉鎖後の経過についてでありますが、平成1412月に庁内関係部による駅前第3ビル検討会議を設け、跡利用などの検討を進めてきており、平成15年3月には経営コンサルタントによる商業診断を実施しております。平成15年4月に株式会社整理回収機構と小樽駅前ビル株式会社が、それぞれ札幌地方裁判所小樽支部に競売の申立てを行い、1回目の競売が平成15年8月に、2回目の競売が平成1512月に実施されましたが、いずれも応札者がなかったところであります。

次に、現況のままでは売却は困難ではないかとのお尋ねでありますが、一つは第3ビルが築後28年を経過し、建物の老朽化が進んでいること、二つ目は給排水設備や空調設備、内外装の改修に多額の費用がかかること、三つ目は区分所有のビルであることから、権利調整が難しいことなどのほかに、滞納されている多額の共益費があることから、2回行われた競売でも応札者がなかったものと思っております。

次に、3回目の競売時期などについてでありますが、競売実施時期や最低価格については、札幌地方裁判所小樽支部で判断されるものであり、現時点では小樽駅前ビル株式会社に入札通知が来ておりませんので、市としても承知をしておりません。また、3回目の応札者がいなかった場合、4回目以降も競売が行われるかどうかについても、それぞれの競売案件によって異なるものと聞いておりますが、この物件については、不明であります。

次に、サンビル商店会の意向でありますが、サンビル商店会からはホテル閉鎖後時間も経過しており、たいへん厳しい状況であり、早期の再生に向けて事業計画案づくりを進めることとしており、市も協力してほしいなど、市の積極的なかかわりについて要請を受けております。

次に、再々開発についてでありますが、第3ビルは小樽駅前の交通利便性の高い小樽の顔とも言える重要な場所でもあり、中央通の整備も今年度で終了することから、早急な検討が必要なものと考えております。しかし、市の厳しい財政状況や事業参画者、施設内容、事業手法など課題が多いことから、権利者や関係機関とも連携を深めながら検討しているところでありますが、この取りまとめになお時間を要するものと考え

ております。いずれにいたしましても、本市のまちづくりにおいて、重要な課題と認識しておりますので、市といたしましても、できる限りの支援をしてまいりたいと考えております。

 

    2番(横田久俊議員)

次に、臨港地区内の分区における構築物の規制に関する条例、いわゆる分区条例の見直しについてお聞きいたします。

昨年の第3回定例会の予算特別委員会でも質問いたしましたが、この分区条例が制定されて、8年がたとうとしております。この条例は、臨港地区を5区に分区して、各地区の目的を阻害するような構築物の建築を規制しているものでありますが、これによって港湾施設の利用促進や適正な管理運営を図るということは、当然に必要でありますし、港湾機能を低下させるような施設が無秩序に建設されるのを防ぐ意味でも、大事なことだとは思います。しかし、臨港地区内の遊休地の有効活用や港湾の活性化などの観点から見ますと、こうした規制が現実とそぐわなくなっているのではないか、見直しが必要ではというような趣旨の質問をいたしました。市長から「海の近くに観光施設をつくれないなどの問題はある。港全体の在り方を検討している」とのご答弁をいただきました。また、同じ時期に、臨港地区の地権者など25社から提出された用途規制緩和を求める要望書に対しても「地権者の声は重く受け止める。時代の変化に対応できる方策を考えたい」、と、たいへん積極的なご答弁をいただいたところであります。

そこでお伺いいたします。その後、この件に関してどのような検討がなされたのか。また、地権者との話合いなどは行われたのか。今後の見通しはどのようになっているのか。進ちょく状況について、お聞かせ願いたいと思います。

 

○市長(山田勝麿)

次に、港湾問題について何点かお尋ねがありました。

初めに、分区条例の見直しについてでありますが、昨年末までにさきに要望書を提出された地権者や港湾関係業界の方々から、改めて意見をお聞きしました。見直しに当たりましては、それらの意見も参考にしながら、港湾の利用促進につながる土地利用を基本に据え、親水機能の導入や利便施設に対するニーズなど、臨港地区の取り巻く環境の変化に対応するとともに、本市全体の土地事情を勘案し、地域産業の活性化につながるような土地利用を想定して、検討を進めているところであります。今後、庁内関係部局や国、道など関係機関と協議を行い、早急に見直し案を取りまとめた上で、関係地権者や港湾関係業者の方々にも案をお示しし、ご意見をお伺いするとともに、所定の手続を経て、早期に条例改正を行ってまいりたいと考えております。

 

    2番(横田久俊議員)

港湾に関連して、改正海上人命安全条約、ソーラス条約についてお聞きいたします。

この問題につきましては、昨年4定の経済常任委員会でいろいろ議論があったように伺っております。フェンスの形態や監視カメラ、照明の台数、また、小樽市負担分の2億円のねん出方法、観光都市としての景観の問題など、いろいろ議論されたと伺っておりますが、一番肝心なのは、せっかく国の資金が入って施設をつくるのですから、本来の目的である国際テロ対策が万全でなければなりません。市民の安全をしっかり守れる施設を整備することが重要であります。確かに、観光や水に親しむゾーンである港に、物々しいフェンスや監視カメラはなじまないかもしれませんが、だからといって安全が無視されていいことにはなりません「小樽でテロなんてあるわけがない」と考えている方も多くいるかと思いますが、 それは危機管理意識がじゅうぶんでないように思われます。だれがニューヨークでの自爆テロを予測できたでしょうか。加えて、こうした整備は、盗難車など不正輸出する犯罪の抑止あるいは防止効果につながることが、じゅうぶん考えられます。外航船が停泊していないときには、ゲートを開放して釣り人を楽しませるなどの対応で、親水性をできるだけ損ねないような方法を考えていただきながら、進めていただきたいと思います。このソーラス条約について、国の現在の動向、小樽市の対応状況、警察、海上保安庁など、関係機関との協議状況などについて最新の情報をお知らせください。

さらに、7月までの港の整備スケジュール、そしてそれ以降の維持管理の体制や費用などについても、お聞かせ願います。

 

○市長(山田勝麿)

次に、改正ソーラス条約に伴う港湾保安対策についてでありますが、現在開会中の通常国会において、関連国内法案が提出され、4月中に成立する予定となっております。国からの説明がいまだふじゅうぶんな状況ではありますが、本港におきましては、保安対策の基本施設であるフェンス並びにゲートについて、7月1日までに必ず設置することが義務づけられていることから、現在、港湾関係者や警察などの関係機関と協議をし、調整を行っているところであります。今後につきましては、早急にフェンス、ゲートの位置を確定させ、4月から設置工事に着手し、6月末までに完成をさせ、国の承認を得ることとしております。

一方、監視カメラや照明設備等については、平成16年度中に整備することとしております。また、施設整備や管理運営方法等については、警察、海保、税関などの関係機関や港湾関係事業者との緊密な連携を図っていく必要があることから、これらで構成する保安協議会を近く設置する予定であります。

なお、今後の管理運営体制や費用につきましては、施設の全体像が確定しなければ積算できないことから、現時点でお示しできる状況にはありませんが、相当な費用が予想されるところであり、全国的な動きの中で引き続き、国に対し必要な財政措置を講ずるよう、強く要請してまいりたいと考えております。

 

    2番(横田久俊議員)

次に、苫小牧港の食肉検疫港の指定に関連してお聞きいたします。農林水産省が苫小牧港を、羊肉など、輸入食肉などの検疫ができる港に指定するという手続が進められていると伺っております。現在、苫小牧に陸揚げされる輸入食肉の多くは、小樽港で検疫を受け、小樽、札幌の冷蔵庫に保管され、大半が札幌圏で消費されているという流通経路になっていると承知しております。もし、このまま手続が進められ、苫小牧港が食肉の輸入指定港となった場合、小樽市にどのような影響が及ぶか、お知らせ願います。

また、今回の苫小牧港への指定の動きは、道内の貨物がますます苫小牧へ一極集中していくことに、拍車をかけるものと危ぐするところであります。こうしたことを避けるため、過去に新たに輸入港を指定する際には、既存の関係市とじゅうぶん協議することなどを北海道と合意済みであると伺っております。こうしたことを踏まえてのことでしょうが、一昨年、苫小牧港の検疫指定港要望について、北海道が小樽市の意見を

求めてきた際にも、はっきりと同意できない旨の回答をしているはずであります。その後、小樽市に何の説明もないままに、北海道が農林水産省に苫小牧港の指定港要請を行ったことは、これまでの経緯や道内関係港との協議を全くないがしろにしているものと思われます。今回の動きについて、北海道はどのように説明しているのでしょうか、お聞かせください。

この項の最後に、先般、市長、議長をはじめ小樽の関係業界の方々が、北海道や国に対して要望活動を行ったと聞いております。どのような要望活動を行ったのか。それに対し、国、道の反応はどうであったのか。さらには、今後、小樽市としてどのように対応していくか、お考えをお聞かせください。

農水省が省令改正の賛否を国民に問うパブリックコメント、インターネット等で行っておりますが、これの期限も3月5日までとなっております。残された時間は決して多くはありません。市当局の強い姿勢を期待するものであります。

 

○市長(山田勝麿)

次に、苫小牧港が輸入食肉の指定港となった場合の本市への影響でありますが、現在、輸入食肉の多くが小樽港で検疫を受け、小樽周辺の冷蔵庫に保管されている状況にあります。苫小牧港が指定された場合、将来、苫小牧港周辺で冷蔵施設の整備が進むことが予想されることから、食肉だけではなく、水産加工品や他の冷凍食品なども、ますます苫小牧港に物流が集中し、小樽の冷蔵施設関係業界には、大きな打撃となってくるものと懸念されます。

次に、これまでの経過と北海道の考え方でありますが、平成4年に小樽市と北海道との間で新たに輸入港を指定する場合には、事前に関係市とじゅうぶんに協議するとの合意がなされておりました。平成14年度に、苫小牧港管理組合から動物検疫の指定港を国へ要望したい旨の申出があり、市といたしましては、市内関係業界に意見を求めたところ、反対の意見が提出され、苫小牧港管理組合に対し、同意することができない旨の回答を申し伝えております。本年に入り、国において苫小牧港の食肉検疫指定港の手続が進められているとの情報を得ましたので、北海道に対し問合せを行ったところ、規制緩和や経済の合理性を重視するという方針に転換し、貨物動向や航路の就航状況などを踏まえ、国に要請したと聞いております。

次に、北海道や国に対しての要望活動でありますが、去る2月23日に北海道知事、さらに2月26日には、農林水産大臣に対して、小樽市議会議長、小樽商工会議所会頭、小樽港湾振興会、小樽冷凍事業協会の方々とともに、小樽市へのじゅうぶんな説明がなされないまま、北海道が国へ要請したことへの遺憾の意を表明いたしました。また、現状では道内物流の利便性が損なわれていないため、新たに苫小牧港指定の必要性がないこと、これ以上の苫小牧港の一極集中化を招くことを避けるべきであることから、今回の苫小牧港の指定について再考を求め、国に対しても従来どおりの取扱いとなるよう、強く要望してまいりました。

北海道副知事からは、小樽市への事前説明がふじゅうぶんであったことについて、おわびの言葉がありましたが、国としては道内で既に調整済みだったものと認識し、一定の要件を満たす中で、手続を進めているとのことでありました。なお、農林水産省で行っているパブリックコメントにおいても、関係者それぞれが再考を求める意見を早急に提出することになっております。

今後の対応についてでありますが、現在、就航している小樽・中国定期コンテナ航路を活用して、輸入食肉の小樽港揚げを実現できるよう、関係各社、官民一体となって、働きかけを行ってまいりたいと考えております。

 

    2番(横田久俊議員)

次に、新市立病院構想についてお尋ねいたします。先日、小樽市医師会と自民党小樽支部が、新病院の基本構想について話し合う機会がありました。医師会では、基本構想が現在の小樽市にふさわしい計画であるのか疑問があるとして、何点かの矛盾点を挙げられました「単に建物の新築にとどまるだけならば、市民は。合意しない」との市立病院新築検討懇話会の提言にも触れ、この懇話会が提言した七つの条件が満たされない場合は、医師会としても新築に苦言を呈していくとのご意見でありました。代表的な指摘を数点挙げれば、1点目は現在の外来患者数は両病院合わせて1日1,400人前後と、毎年1パーセント程度しか増加していないのに、計画では人口が減少していくにもかかわらず、1日1,500人を見込んでいる。2点目、10年にわたって人件費が全く増加していないが、そんなことはありえないのではないか。3点目、1年365日の1次救急が本当に可能であるのか。4点目、市立病院と市内医療機関の機能分担が構想に盛られていないなどでありました。個々の項目につきましては、委員会等でお聞きしたいと思いますが、今まで新病院の構想に関し、医師会との協議や話合いなどはなされていないのでしょうか。言うまでもなく、小樽市医師会は小樽市の医療の中枢部であります。新病院の建設に当たって、この医師会などと意見交換することは極めて重要と思われますが、いかがでしょうか、お答えください。

 

○市長(山田勝麿)

次に、新病院基本構想についての医師会との話合いでありますが、市立病院の運営に当たりましては、救急医療体制をはじめ、地域医療連携など、医師会とのかかわりはたいへん重要と考えております。したがいまして、医師会とは平成13年7月から定期的に、市立病院の統合新設にかかわる意見交換を行ってきたところであります。また、新病院基本構想の内容についての話合いは、医師会内部で構想に対する意見をまとめた後に実施したいということでありましたので、去る2月19日に第1回目の話合いを行っているところであります。今後も、救急医療体制などを中心にじゅうぶんな話合いを重ねてまいりたいと考えております。

 

    2番(横田久俊議員)

次に、朝里川温泉地区の振興策についてお伺いいたします。つい、先日の新聞に、市長が会長を務める観光クラスター研究会「小樽ゆらぎの里」が、全温泉施設の情報を網羅したホームページを立ち上げ、空き室情報あるいはイベント情報などを確認できる体制を確立したことが掲載されておりました。朝里川温泉地区は、小樽の奥座敷として観光客にも人気の高い場所でありますので、こうした取組により、今後、同地区が

ますます発展することを願っているものであります。

そこで、改めてお伺いいたします。今回のホームページ立ち上げのほかに、観光クラスター研究会が行ってきたさまざまな研究会活動がある

と思いますが、主な活動概況をお示しください。また、平成14年度に策定された朝里川温泉地域観光振興への提言の中に、仮称ではありますが、朝里川温泉観光情報物産館設置構想なるものがあると聞いております。物産館候補地が温泉地区の旧温泉センター跡地を活用するとの情報もあります。土地取得の問題もあわせて、その内容についてお聞かせください。

この項の最後に、観光クラスター研究会として、今後、会の活動を地域振興に結びつけるために、どのような方針で、どのような施策を展開していこうとしているのか、お聞かせください。

 

○市長(山田勝麿)

次に、朝里川温泉地区の振興策について何点かお尋ねがありました。まず、観光クラスター研究会への活動概要についてでありますが、当研究会は平成13年5月に観光振興を通して、朝里川温泉地域の活性化を図ることを目的に設立されたもので、観光振興室が事務局を担当しております。設立後の主な活動としては、宿泊施設の顧客満足度調査や小樽職人の会の協力による制作体験実験、地場資源を活用した朝里川温泉ブランド品の試作などがあり、平成15年3月には、これまでの活動の成果として、朝里川温泉地域観光振興への提言をまとめたところであります。

今年度に入りましては、朝里川温泉地域連携会議の開催、ホームページの作成、土産品等の研究開発(仮称)観光情報物産館構想についての検討など、提言に基づいた事業を進めているところであります。

次に(仮称)朝里川温泉観光情報物産館の構想についてでありますが、基本的考え方としては、朝里川温泉地域の核となる集客可能な多目的施設の設置としており、観光情報を発信するインフォメーション機能のほか、温泉施設やレストラン、さらには朝里川ブランドを含めた小樽・後志産品の展示販売スペース、体験学習の場などを設置する内容となっております。候補予定地については、比較的大規模な土地が必要なこと

から、旧朝里川温泉センター跡地などを中心に検討が進められておりましたが、本年1月にクラスター研究会所属の会員が、観光振興を通した地域活性化に資することを目的に、この用地を取得したところであります。

次に、当研究会の今後の方向性についてでありますが、研究会としては朝里川温泉地区を「豊かな時間が流れる小樽ゆらぎの里「心と体を優しくいやし、新たな活力を見いだす朝里川温泉郷」として発展させるた」め、魅力ある快適な温泉空間づくり、積極的な情報発信と広域ネットワークの形成、朝里川ブランドの創出による地域産業の振興、ぬくもりのあるおもてなしの心の醸成の四つの基本方針を定めたところであります。

主な施策としては、温泉街の雰囲気づくりや地域内散策コースの整備、交通ネットワークの確立と交通機関との連携、土産品の創出、宿泊客の宿泊施設間交流の実施など、さまざまな施策の展開が図られていくものと思われます。

 

    2番(横田久俊議員)

朝里地区に関連して、東南地区のコミュニティセンターについて伺います。昨年秋の新聞報道で、これも仮称とはなっておりましたが「朝里コミュニティセンター新設へ向け検討本格化」との見出しの下に、16年、度予算に調査費計上を目指すとの内容が報道されました。この報道に接した新光、朝里、望洋台、そして桜などの住民は、コミセン構想がいよいよ具体化するのではと思い、一様に喜んでいたところであります。しかしながら、16年度の予算書を何度見直しても、この調査費は計上されておりません。厳しい財政状況は、先ほど来から申し上げていますように、じゅうぶん承知しているところではありますが、その中にあって唯一夢のある話と思っていただけに、なおさらの感があります。

そこでお尋ねいたします。この(通称)朝里コミュニティセンターの調査費について、なぜあそこまで報道されていながら予算計上とならなかったのか。経緯、経過なども含め、ご説明願います。また、今後のセンター建設に向けて、どのように取組を進めていかれるのか、はっきりとお示し願います。

 

○市長(山田勝麿)

次に、東南地区のコミュニティセンターについてでありますが、昨年5月から建設候補地を朝里共同住宅跡地として、庁内各部からなるワーキングによる施設内容や施設規模、さらには建設手法などについて検討を進めてまいりました。検討を進めるに当たりましては、老朽化の著しい消防署朝里出張所との合築を考慮し、コミュニティセンターに求められる体育館、集会室、児童館、図書コーナーなど、各施設規模と合わせた鉄骨造3階建延床面積約5,000平方メートルの建物を仮定し、これについて従来型による手法とPFIによる手法を比較したところであります。

この結果、一般的にPFIに期待される財政負担の平準化や削減効果が従来型と比べても大きな差がなく、財政効果を生み出すには至らないこと。また、PFIの利点である民間事業者のノウハウが管理運営に生かせる要素が少ないことなどから、PFIの調査費計上を断念したものであります。今後も引き続き、朝里共同住宅跡地を建設候補地として位置づけ、財政状況や他の事業との優先度合いなどを検討しながら、建設時期を判断していきたいと考えております。

 

    2番(横田久俊議員)

次に、先日の会派予算説明で、石狩湾新港地域における基盤整備に関してご説明がありました。不明点も多いので何点かお伺いいたします。

石狩開発株式会社は、石狩湾新港地域において工業団地の造成、分譲を行いながら、道央圏における生産あるいは流通拠点づくりを目指していたところでありますが、開発の長期化、社会経済情勢の悪化に伴う地価の下落、さらには企業ニーズの変化による土地分譲の不振などにより、経営が赤字転落し、一昨年の平成1410月に民事再生法の適用申請を行ったことは、皆様方ご案内のとおりであります。その後、札幌地方裁判所から昨年4月に再生計画が認可され、債務の整理が行われて、再び石狩湾新港地域の開発に寄与すべく、再出発されたとお聞きいたしております。

そこでお伺いいたしますが、再出発した石狩開発株式会社の資本体制の整備について、現在どのような状況になっているのか、お示し願います。

次に、会社再生元年と言える平成15年度の具体的な経営目標、その目標達成の見通しについてどのようになっているのか、お示し願います。

次に、基盤整備事業にかかわる負担協定について、お聞きいたします。本市とのかかわりでいえば、水道事業と水道用水供給事業があるわけでありますが、民事再生では石狩開発との公共負担協定の廃止が求められており、協定廃止後の負担について北海道に協議を要請したようですが、この協議の内容についてお示しください。

この項の最後に、石狩開発の出資についてであります。新聞報道等によりますと、新社長は安定経営の基盤を確立し、誘致活動を積極的に展開するためにも、関係市に対して、出資を要請していくとの意向を持っているようであります。もし、本市に出資の要請があった場合、市長はどのような態度を示すのか、お考えをお示しください。

 

○市長(山田勝麿)

次に、石狩開発について何点かお尋ねがありました。

まず、同社の資本金についてでありますが、民事再生計画に基づき、北海道が100億円の出資をし、金融機関がその保有する担保付債権200億円を株式に振り替えたことにより、同社は北海道と金融機関14行を株主とする資本金300億円の会社となったものであります。北海道からの出資金の払込み等により、それまでの資本金20億円は全額減資されたもので、この一連の手続は昨年9月13日をもちまして完了しております。

次に、同社の平成15年度の経営目標とその見通しについてでありますが、昨年8月に策定された平成17年度までの3か年を期間とする第1次中期事業計画によりますと、分譲目標面積は15ヘクタール、さらに安定的な収入の確保を図るため、リース制度を導入することとし、リース目標面積を11ヘクタールとしております。初年度の平成15年度におきましては、分譲で5.5ヘクタール、リースでは3.6ヘクタールの成約があり、

このほかの道内外の10数社と現在商談が継続されていると伺っております。

次に、基盤整備事業に係る負担協定についてでありますが、民事再生計画では同社の過度な負担を解消するという観点から、基盤整備事業に対して同社が行ってきた開発者負担の廃止を求めており、これまで北海道とは、開発者負担協定等の廃止後における負担金の在り方について協議を行ってきたところであります。その結果、水道事業の収支不足額については、今後、事業者である小樽市が負担することとし、平成15年度の石狩西部広域水道企業団への出資金と負担金については、全額北海道が補てんすることになったものであります。なお、企業団に係る平成16年度以降の負担金等の在り方につきましては、水道用水供給事業の再評価が予定されていることから、これを機に計画水量の抜本的な見直しも含め、今後、協議を行っていくこととしております。

次に、石狩開発株式会社の出資についてでありますが、石狩湾新港地域は分譲用地の60パーセントが分譲され、578社が操業するなど、北海道を代表する産業物流拠点として企業集積が進み、就業人口についても1万4,000人に達するなど、北海道経済の発展に寄与しており、引き続き開発を推進していく必要性があると認識しております。出資につきましては、昨年11月に会社から出資の要請を受けたところでありますが、本市の財政状況から、現状では難しいと回答しております。しかしながら、開発推進の必要性もあることから、今後の本市の財政状況や同社の経営状況など総合的に勘案しながら、対応していきたいと考えております。

 

    2番(横田久俊議員)

最後に、教育委員会に何点かお伺いいたします。

まず、小中学校における習熟度別授業についてお尋ねいたします。他都市のことで申しわけありませんが、大阪市は、小中学生の学習意欲を向上させるため、平成16年度から3年間で、市立小学校全校で習熟度別のクラス編成による少人数授業をスタートさせることを決定したそうであります。文部科学省が昨年5月に実施した調査によりますと、全国の小中学校の約70パーセントが独自の形で習熟度別授業を導入もしくは導入する考えを持っていたそうであります。学校週5日制と、新学習指導要領を柱に一昨年スタートしたゆとり教育への批判と反省から生まれた当然の成り行きであるかと思われます。学習到達度の違う子どもを、画一的に指導していいのかという問いに対する答えが、この習熟度別 授業の導入であると思われますが、まず教育長にこの習熟度別授業についてのご見解を伺います。

本年1月の日教組の教研集会では、習熟度別授業に批判のご意見が出ているようであります。北海道の男性教員が、自分も高校時代に能力別授業を受けた。あほクラスと呼ばれ、卑屈な思いをしたと話したそうであります。この方々は習熟度別授業の大事な一面を全く見ておりません。できる児童生徒からどんどん勉強を進める権利をはく奪していることに、気がつかないのでしょうか。勉強の苦手な子もいますが、得意すぎる子もおります。そういう子どもが損をする社会は、おかしいのではないのでしょうか。平等という言葉をはき違えているような気がいたします。平等は機会平等であって、子どもの能力の平たん化であってはならないはずであります。運動会で徒競走に順位をつけない、児童会の選挙は落選する子がかわいそうだから行わない、通信簿を廃止する教育委員会が出てくるなどは、悪平等主義の典型だと思います。本当の人間の育成は、そうしたことではないはずです。子どもを試練から遠ざけるのではなくて、試練に直面したら、それを乗り越える力を与えてやる、それが教師の本来の仕事ではないでしょうか。基本からゆっくり勉強するコース、教科書中心に勉強するコース、発展的な内容を勉強できるコースなどに分け、コースは先生が選別するのではなく、相談しみずから選ばせるという方法をとっている学校は数多くあります。今後、小樽でこの習熟度別授業を導入していくお考えはあるのか。あるとすれば、どのような計画なのか。しっかりした将来のビジョンをお聞かせ願います。

 

○教育長(石田昌敏)

次に、習熟度別授業についてですが、平成13年の国際数学・理科教育調査やOECDの学習到達度調査等の結果から、全国的に児童生徒の学力低下を心配する声が高まり、文部科学省は学習指導要領の一部改正に踏み切り、いわゆる歯止め規定を見直し、学習指導要領の記述を超えて指導することを認めたり、習熟度別授業などによる個別指導への配慮を指導しております。勉強が好きだと思う子が少ない、家庭の学習が少なく学習習慣が身についていないなどの課題も示されております。ご指摘のように、文部科学省の調査によりますと、全国の小中学校の約70パーセントが習熟度別授業など個別指導への取組を検討したいとしておりますが、他方、教員に対する意識調査の結果では、習熟の程度に応じた指導を行っている教員は、約20パーセントとなっております。今回、示された習熟度別授業は、かつて高等学校で実施された習熟度別学級編成と違い、長期間学級を固定するものではなく、さまざまな形で個に応じた指導を行うという趣旨であります。

次に、習熟度別授業の導入についてですが、国においては各学校で少人数指導や習熟度別指導を行うための教職員定数の改善計画を進めておりますが、小樽市においても加配を受けており、小学校6校、中学校4校で習熟度別授業について取組を進めております。今後は、このたび改正された学習指導要領の内容について、各学校へ説明を深めるとともに、教職員の指導啓もうを強化し、さらに中学校の教科指導において、教科担当が2人以上配置されている学校について、習熟度別授業の計画を作成し、実践されるよう指導してまいります。

 

    2番(横田久俊議員)

次に、今議会は15年度の締めくくりの議会でもあります。今年度の総括という点から、昨年教育問題で我が党議員が質問した各項目について、教育長のご答弁を検証させていただきましたが、その多くは抽象的なご答弁に終始しているように思われます。例を挙げれば、教育課程の編成、実施の問題では「学校用、教育委員会用の2種類の書類があるのではないか」との我が党議員の質問に、そうした事実があるのかないのか、一切触れず「各学校では校長が中心となって指導時数や指導内容を見直すなどの検討を行いうんぬん」とご答弁されております。また、職員会議の実態についても「教職員が組織的に職員会議を軽視、又は無視することはないと考えている」とご答弁されておりますが、実態はやや違うように思われます。時間の関係で今後の問題については、委員会などにゆだねますが、事実は事実としてお認めいただき、それをどのように指導していくかが重要と思われます。質問に真正面から向き合うご答弁を期待いたしますが、教育長の決意をお聞かせ願います。

最後に、昨年4定に提出された陳情、小樽市幼児ことばの教室の稲穂小学校併設存続方についてに関してお聞きいたします。

我が党は、今年1月から2月に教育委員会と保護者との話合いが持たれるということから、その結果をじゅうぶん吟味して判断したいとの立場で、4定では継続審査を主張しておりました。その話合いがいつ行われたのか、内容はどうであったのか、教育委員会はどのように対応されたのか、その内容を詳しくお聞かせ願います。

 

○教育長(石田昌敏)

次に、これまで教育課程の編成と実施、教職員の服務及び研修等、具体的なご質問をいただいたところでありますが、その都度学校からの調査結果を基に答弁してまいりました。教育課程の編成につきましては、校長の責任の下、各学校で編成し、教育委員会に報告することとしております。教育委員会では、学校の報告書を点検し、授業年間計画書などの修正を求め、学校に再度提出させるなど、学習指導要領の規定に基づき指導をしております。また、職員会議につきましては、卒業式、入学式の在り方などについて、校長の指導に長時間を要する場合もありますが、平成13年度、職員会議を校長が主宰することとなったことを受け、改善されつつあります。今後は、職員会議が児童生徒の教育充実のため、さらに改善されるよう指導してまいります。

ただいま、議会の質問に真正面から向き合うようにとのご叱正をいただきました。このことを真しに受け止め、対処してまいりたいと考えております。

最後に、幼児ことばの教室の保護者との話合いについてですが、保護者の方々には1月30日に、親の会には2月10日にそれぞれ説明会を開催いたしました。説明会ではこれまでの経緯や市議会の質疑など、主なご要望、ご意見、さらには市としての検討内容を説明したところです。内容は(仮称)子ども発達支援センターを開設しますが、現在、幼児ことばの教室をセンターの分室的な位置づけとし、現幼児ことばの教室を使

用しての指導を継承するというものです。また、言語の指導は利用者の希望に応じて双方で行い、デイサービス事業に位置づけを考えております。