平成18年第2回定例会一般質問(平成18615日)

 

13番(横田久俊議員)

4項目について一般質問を行います。昨日までの代表質問と一部、重複する質問も御座いますが、ご容赦願います。

◎ 景観行政について
 まず、本市の景観行政に関してお尋ねをいたします。昨日の森井議員の質問にもありましたように観光小樽の「宝物」は「景観」であります。どの自治体へ視察にお伺いしても口を揃えて「小樽さんは素晴らしい観光素材が沢山あっていいですね。」と羨ましがられます。このように極めて大事な景観ですが、近年、高層マンションの建築などによりその宝物に少しずつ変化が見え始めてきたことは残念なことです。こうしたことから昨年、景観条例の見直しが進められ、特別景観形成地区の整理、拡大が行われました。
 しかし現実には、具体例を示せば出抜小路の観光施設が洋服量販店の新築によって目隠し状態になるなど、景観を損ねる事態も出てきてしまい報道でも大きく取り上げられました。こうした事態に我々議員も責任を感じなければなりません。ある日、突然あの建物が出来たわけではありません。一連の手続きがなされてあのような結果になったわけですから、その間の情報収集やチェックが足りなかったことを猛省すべきです。以前の建築物が解体された時に、次にどのような建物が建つのかということに、もう少し関心を寄せればあるいはあの事態を防げたかも知れません。許可した行政が悪い、量販店が悪いというのではなく、市民全体の景観に対する思い入れ不足が招いた事態であると反省しなければなりません。今後、このようなことが決して無いようにしっかりとした対策を早急に立てる必要があると思います。そこでお伺いいたします。

1.
特別景観形成地区、及びその周辺地区における新築建造物建設時の現状の手続き概要についてお知らせ願います。
2.
そうした手続きにより景観を害する蓋然性が高いと判断した場合、行政としてどのような措置をとられるのか。景観を害すると判断する基準は何なのでしょうか。どこがあるいは誰が、そうした判断するのでしょうか。
3.
最終的に届出者の理解を得られない場合はどうするのでしょうか。罰則が無いから仕方ないで果たしていいのでしょうか。
4.
出抜小路のような例が二度とあってはならないと思います。今後の景観を守るための方針、姿勢として具体的にどのような考えをお持ちでしょうか。見解をお伺いいたします。

私は景観を保全するためには現在のような強制力や罰則の無い条例での対応は極めて厳しいものと感じております。強制力を規定するには慎重な検討が必要なことは当然ですが、違反した建築物には是正命令が出来る、或いは罰則を規定することが出来るようなしくみが必要と思っております。

○市長(山田勝麿)

 横田議員のご質問にお答えします。

 本市の景観行政について、何点か質問がありました。

はじめに、景観条例に基づく新築建造物の建設等の行為の手続きについてでありますが、

特別景観形成地区及びその他市内全域を対象に、高さや建築面積などが一定の基準を超える建築物や工作物及び広告物等の新築や増改築等の建築行為を行う場合には、建築確認申請などの行政上の手続きに入る25日前までに、平面図や立面図及び完成予想図等の必要書類を添付した「行為の届出書」の提出が必要となっております。

また、「行為の届出書」の提出を行う場合には、事前に相談するよう周知を図っているところであります。

 

 次に、届出内容が景観を害すると判断した場合の措置とその基準等についてでありますが、景観条例に基づく「行為の届出書」の提出があった場合、特別景観形成地区においては、地区ごとに定めている「地区景観形成計画」及び「地区景観形成基準」を、また、その他市内全域の大規模建築物等については「小樽市景観デザインマニュアル」を判断の基準としております。

建設部でその基準に適合しないと判断した場合には、届出人に対し基準に合致するように指導・助言を行い、また、必要な場合には文書による勧告を行います。

 

 次に、届出人の理解が得られない場合の対応についてでありますが、

届出人に対しては、本市の景観保全や景観形成の考え方について今一度説明を行い、更に建築等が行われる場所や周辺を含めたイメージシミュレーションを作成し、再考を求めることとしております。

 また、必要な場合には、景観審議会の委員のご意見を聴取し、それに基づき景観条例の基準に合致するよう協力を求めるなどの対応を図っておりますが、景観に配慮をお願いしても理解が得られず、対応に苦慮する場合もしばしばあるのが実態であります。

 

 次に、今後の景観を守るための対応についてでありますが、

 本市の景観を守り育てて行くためには、まず市民や事業者等の意識の醸成が肝要であり、そのためには、先人が残してくれた街並みや歴史的な建造物等の他都市にない魅力ある景観について、今後も景観パンフレットの配布や歴史的建造物めぐりなどを通じて景観意識の啓発を行って参ります。

 また、昨年6月に「景観法」が全面施行され、法的根拠を持った強制力のある条例を制定することが可能となりましたことから、年内を目処に景観法に基づく景観行政団体となり、引き続き「景観計画」の策定を行って参ります。

更に、景観上特に重要な地区については、その地区内での景観を阻害するような建築行為等に対して、その制限や是正命令が可能となる「景観地区」の指定を目指し、今後地区内の土地所有者や事業者との協議を行い、十分なコンセンサス形成を図り、景観保全に努めて参りたいと考えております。

 

13番(横田久俊議員)


◎ 安全・安心な街づくり条例に関して
 次に安全・安心な街づくり条例に関してお伺いいたします。前回の定例会で条例制定については本年中に整備するとのご答弁を頂いております。その内容については現在、検討中と思われますので今、ここで議論することは避けますが、条例制定に向けての大枠ということで質問させていただきます。先般、鹿児島市における生活安全条例の実態、運用などについて視察してまいりました。現地は桜島を抱えていることから噴火などの防災面も含めて安全安心ということに極めて関心深く取組んでおられました。印象的だったのは安全・安心に関する行政事務をひとつの課を設置してそこで一元化して対応していることでした。これまで市民の安全や交通安全は市長部局、学童や通学路に関する安全は教育委員会、噴火、地震などの災害関係は防災担当などと分掌が別れていたものを、安全安心に関するものは全てその課で対応する、それによって情報の共有化や指揮命令系統の明確化など効率のよい行政運営が可能とのことでした。

 そこでお尋ねいたしますが条例制定を機会に、これまでそれぞれの部、課で対応していた安全安心に関する事務を、例えば「安全安心課」などのように危機管理を含めた機構として一元化することも考えるべきではないでしょうか。見解をお伺いいたします。

 次に、道の条例はもとより各地の条例を見ますと、当然ではありますがその自治体住民の安全安心に関しての事項が中心となっています。一部、「観光客等の安全確保」の文言を入れている条例も散見されますが、あくまで付随的なものとしての位置づけの範囲を超えていません。そこでお伺いいたしますが、
 「観光小樽」のイメージを増加させるためにも、観光施設などにおける観光旅行者の安全確保も視野に入れるべきではないでしょうか。

 また、鹿児島市では条例案の時点で市民からパブリックコメントを徴し、多くの意見を集約したと伺っています。
条例制定に当ってパブリックコメントを実施する予定はありませんか。お伺いいたします。

 関連して、パブリックコメントに関してお尋ねいたしますが、
本市にはパブリックコメント手続きに関する条例がありません。多くの自治体でこの手続きに関する条例が制定され、制度として明確化されております。
 今後、政策立案の段階でパブリックコメントを多用する流れも見えてきています。具体例では「学校適正配置」に関しては、既にパブリックコメントの実施をスケジュールに明記しています。
 パブリックコメントにより、市が市民への説明責任を果たすとともに、市民の市政への参画を促進し、公正で透明な一層開かれた市政の推進が図られるものと思います。制度として位置づけてはいかがでしょうか。見解をお伺いいたします。

○市長(山田勝麿)

 次に、安全・安心なまちづくり条例について何点かお尋ねがありました。   

 はじめに、危機管理を含めた機構の一元化についてですが、これまでも市民生活の安全確保・交通安全・子どもの安全確保・防災などについては、市民部、総務部、建設部、福祉部、教育委員会など、それぞれの部局で数多くの関係団体と連携し、業務を進めております。

 これらの業務が広範多岐にわたり、関係団体との調整も複雑なことから、機構の一元化は難しいものと考えておりますが、庁内連絡調整会議等を設置し、安全、安心なまちづくりの推進に向けて対応してまいりたいと考えております。

 

 次に、観光旅行者の安全確保についても視野に入れるべきとのご提言についてですが、条例制定の目的としては、犯罪のない安全で安心なまちづくりを目指すものであり、小樽市民はもとより、本紙の特性である観光客など多くの来訪者も含め安全が確保されるよう、配慮して参りたいと考えております。

 

 次に、パブリックコメントの実施についてですが、安全・安心なまちづくりには、市民の皆さんの理解と協力が必要不可欠であり、広くご意見、ご提言をお聞ききするため、パブリックコメントを実施したいと考えております。

 

13番(横田久俊議員)

 次に教育委員会に2点お尋ねいたします。

◎ 学校施設の耐震化状況について

まず、先ほどの安全安心にも関連しますが、学校施設の耐震診断についてお伺いいたします。先般、文部科学省が「各地で地震が頻発しており、学校での子供達の安全に対し、危機感を持っている。北海道は意識の低い市町村が多い」との耐震改修状況が公表されました。耐震化率と耐震化診断率がいずれもゼロ%の町村がいくつかある中で、小樽市は耐震診断実施率100%の自治体として名前が挙がっていました。その公表内容について耐震化率にも触れて内容をお知らせください。

 学校の耐震化改修には莫大な財源が必要となります。改修費の半分を補助する文科省の「安全安心な学校づくり交付金」もあるようですがそれでも1校、数千万円から億単位の費用が必要といわれています。厳しい財政難の中、簡単に経費を捻出できるとは思っていません。しかし、かといって児童の安全をないがしろにできないという重い課題もあり、今後の方針が問われているところであります。当然ながら学校の統廃合も視野に入れなければならないでしょう。
 今後の適正配置計画等も踏まえた耐震化の整備について見解をお知らせください。

○教育長(菊 譲)

 横田議員のご質問にお答えいたします。

 まず、学校施設の耐震診断の報道についてでありますが、昭和56年以前に建設された学校施設が、耐震基準に適合していない可能性のあることから、耐震化優先度調査を、平成16年度、17年度の2年間にわたり、小学校19校63棟、中学校10校35棟、合計29校98棟施しました。

 この結果が、今回、文科省から公表されたものであります。また、耐震化率についてでありますが、調査は、建設年ごとに全ての学校施設の建物を対象とするもので、小樽では41校159棟、このうち昭和57年以降に建設された建物12校61棟が耐震整備済みとしてカウントされますことから、その耐震化率は38.4%となっております。

 次に、学校施設の耐震化整備の進め方についてでありますが、この度の調査結果と適正配置計画との整合を図りながら、児童生徒の学習に支障が生じないよう、効率的な耐震化整備計画を策定し、教育環境の充実に向けた整備を着実に進めて参りたいと考えております。

 

13番(横田久俊議員)

◎ 学校の職員会議について
次に学校の職員会議について何点かお尋ねいたします。

 平成131月、小樽市立学校管理規則の改定により「職員会議は校長が主宰する」と規定されました。当然ながら学校の管理運営に関する事項は校長に最終決定権があるものと認識しています。しかしながら、職員会議で管理運営に関する事項も協議され、その決定を採決(挙手、起立など)により意思確認している実態があるように聞いています。

 都教委は「職員会議において学校運営の適正化に関する事項について、挙手や採決によって教職員の意向を確認することは不適切なので行わない」との通知を出しております。教職員の意見を聞くことはもちろん必要ですが、職員会議で採決することにより、校長の責任に基づく意思決定に影響を与えかねない、とする趣旨からだと思います。小中学校における管理規則改定後の職員会議の現状とこれらに対する教育長の見解、そして今後の方針についてお示しください。

 先日、地域の方々がその地域の複数の学校の職員会議録を情報公開条例に基づいて請求いたしました。職員会議でどのようなことが議論されているか勉強し、今後の学校との様々な協議に役立てようという趣旨と聞いております。発言内容と発言者が記載されていますが「発言者」は全て黒塗りで消してあり、誰が発言したかは公開されていません。公の職員が自己の責任に基づいて発言しているわけですから、公開しないことが出来るとされている「個人情報」とは異なるものと認識しています。公開しない根拠をお知らせ願います。

 様々な発言があります。その一つ一つについてはここでは触れませんが発言の中にひとつ見逃せない記述がありました。学習指導要領に関してですが、ある教員が国旗・国歌の話し合いの中でこのように発言しています。
  「学習指導要領に載っているから指導する、という考えはない」
  「学習指導要領は法律ではない」
  「一部の人間の上からの命令にはその通りにしなければならないとは思わない」
  「学習指導要領は一部の人間が目的をもって変えていったのだ。大まかなおさえだ」
    等々・・・

 地公法32条は、法令等及び上司の職務上の命令に従う義務を規定しています。学習指導要領は、私が言うまでもありませんが、全国のどこにいても一定の教育水準の教育が受けられるようにするため、学校がカリキュラムを編成する基準として定められているもので法的性格を有しています。こうした学習指導要領を否定し、上司の命令に従わないとする発言を、仲間内の話でというのならいざ知らず、公の場で発言し、正規の記録に残っているということは極めて遺憾であります。
 児童に「校則や社会のルールは、一部の人が勝手に決めたものだから従わなくてよい」と言っているようなものではないでしょうか?
 教育公務員として法やルールを無視するこうした考え方をどのようにみられるか、教育長の見解を伺います。

○教育長(菊 譲)

 次に、職員会議についてでありますが、平成11年1月に学校教育法施行規則の一部改正により、職員会議は、校長の職務の円滑な執行を補助する機関として、校長が主宰することが規定され、東京都の通知はこのことを改めて示したものであります。

 小樽市においても平成131月に学校管理規則を一部改正し、「職員会議は校長が主宰する」と規定しており、各校長先生に周知するよう指導してきたところであります。

もとより、職員会議においては先生方から教育活動についての思いや願いを聞きながら、最終的には校長の権限と責任のもとに学校運営をしていかなければならないものであります。

 今後も機会あるごとに「校長が主宰」することの意味を指導してまいります。

 

 次に、職員会議録の公開についてでありますが、小樽市情報公開条例第9条第2号において、公開しないことができる個人情報として、思想、信条や心身の状況に関するものが該当しますことから非公開としたものです。

 

 最後に、学習指導要領についてでありますが、学校教育においては、全国の各学校において一定の教育水準を確保する必要があり、法令に基づいて学習指導要領を定めております。

 従って、各学校においては学習指導要領に基づき、教育課程を編成し、実施することになります。

 ご質問の職員会議での教員の発言につきましては、学習指導要領や、国旗・国歌に関わって個人的な意見として校長に述べたものと思われます。

各校長は学校教育法、学校教育法施行規則、更には学習指導要領に基づき、学校の責任者として創意工夫を加えた教育課程を編成し、実施することになります。

教育委員会としても学校の主体性が発揮できるようにこれからも支援してまいります。

 

13番(横田久俊議員)

◎ その他
 最後に、「その他」として質問ではありませんが、先日、NHKのある放送を見たときの印象を一言お話させて頂いて質問を終わらせていただきます。
つい先日の宇都宮市議会6月定例会の初日。10時から本会議が始まりますがその前の30分間、議場で市民ジャズバンドによる演奏会が開催されました。当日は招待した近くの保育園の園児を含め100人以上の傍聴者が訪れ、演奏を楽しんでいるようすが放映されました。演奏が終了した後、幼稚園児などを除いた多くの人がそのまま議会を傍聴したと聞いております。
きっかけは数年前に民間の音楽団体から「活動のPRの一環として議場でコンサートをさせて欲しい」と要請があり、各会派、議運で諮ったところ全会一致で決まったとのことでした。議場は厳粛な場であることは言うまでもありませんが、こうした取り組みにより市民が議会に足を運び、議会と市民の距離が縮まり、両者の関係がより緊密になることも、また必要であると感じました。
 直ちに同じことをしようとはいいませんが、いつの日かこの議場で音楽が聞け、沢山の市民の方々が鑑賞にきてくれたらと言う思いを強くしたところであります。
 再質問を留保して質問を終わります。