平成21年第1回定例会〜代表質問(平成2132日)

 

○ 23番(横田久俊議員)

平成21年も、はや2か月が過ぎました。来月4月で市長、そして我々議員の任期も半分の2年が経過をいたします。前半2年、特に昨年は世界的な経済危機で、小樽もその余波をまともに受けました。名の知れた企業が倒産、廃業に追い込まれ、今年に入ってからはグランドホテルが閉館いたしました。市長をトップとする行政、そして我々議員は、この危機を乗り越え、小樽を活性化する使命を担っております。今、本当に小樽市が命がけで取り組まなければならない課題について、自民党を代表して、市長、教育長に質問いたします。

まず、本市の財政について何点かお伺いいたします。

改めて言うまでもありませんが、今の小樽市にとって最優先課題として取り組まなければならないのが財政の再建であります。まさに、この平成21年度が正念場であります。財政健全化計画との整合性を検証しながら、以下何点かお尋ねいたします。

平成19年3月に策定され、昨年3月に収支の見直しをかけた小樽市財政健全化計画では、実質収支、いわゆる累積赤字額が平成24年度に2,000万円の黒字に転換して、同年で累積赤字を解消するという見通しを立てております。今年度はその中間年で、繰り返しになりますが、極めて重要な年、腹をくくり鉢巻きを締め直して取り組まなければならない年であります。

平成19年度は、当初から118,401万円の累積赤字額を引き継いでスタートいたしました。財政健全化計画では、19年度はこの額を増やさないと見込んでいましたが、現実には1億1,258万円の赤字決算となったため、累積赤字額は129,659万円に増加いたしました。ここで計画と実績の間に1億2,000万円以上の差が発生したことになるわけであります。

平成20年度の決算見込みは黒字となるようですが、不確定要素も多いと伺っております。まず、20年度の決算見込みについて、直近ではじいた数字をお知らせください。また、黒字になった理由など収支の特徴や、特に昨年度、早期健全化基準をぎりぎりでクリアした連結実質赤字比率など健全化判断比率はどのくらいになるのか、お知らせ願います。

次に、平成21年度予算ですが、一般会計の予算規模は542億円、20年度予算に比べますとマイナス0.6パーセントと、前年度に引き続いての緊縮予算であります。平成3年度当時の規模と聞いておりますが、累積赤字約12億円を引き継いでの苦しいスタートは、前年度にも増して厳しい財政運営を強いられます。こうした状況下での予算編成に当たって、市長は何を最も念頭に置かれて編成作業に当たったのか、その思いについて市民にわかりやすく説明をお願いいたします。

新年度予算は、昨年度に引き続き、収支均衡予算を組まれました。財源不足額は15億円と昨年度よりは2億5,000万円ほど好転したとはいえ、他会計借入れ約9.7億円、職員手当削減継続約5.3億円の財源対策で、辛うじて収支均衡を保った形であります。しかし、財政健全化計画では、平成21年度は7,500万円の単年度黒字を目指しておられます。その結果として累積赤字額を11900万円に削減することとしておりますが、果たしてどのようにこの数字は達成されるのでしょうか、御見解を伺います。

 

○ 市長(山田勝麿)

横田議員の御質問にお答えいたします。

初めに、平成20年度一般会計の決算見込みでありますが、普通交付税が予算を2億3,400万円下回ったことに加え、地方譲与税等も大きく落ち込み、大変厳しい財政運営となっておりますが、歳出におきましては、予算の効率的な執行により経費節減を図るとともに、歳入におきましては、可能な限りの財源手当に努める中、本定例会補正後における予算上の単年度収支は7,200万円程度の黒字となる予定であり、実質的な累積赤字額も前年度から改善し、約122,500万円となる見込みであります。除雪費を含め不確定要素もまだありますが、何とか単年度収支での黒字を確保するよう、残された期間につきましても歳入の確保等にさらに努めてまいりたいと考えております。

次に、いわゆる健全化判断比率についてでありますが、本定例会補正後の予算上の収支を基に試算いたしますと、実質赤字比率は4パーセント程度と平成19年度決算とほぼ同率でありますが、連結実質赤字比率は公立病院特例債が認められる予定であることなどから、19年度よりも6パーセント程度改善され、10パーセント程度となる見込みであります。なお、実質公債費比率と将来負担比率につきましては、算定する際に用いる係数にまだ不確定要素が多いことから、現時点では試算しておりません。次に、平成21年度の予算編成についてでありますが、基本姿勢として事業の厳選や財政健全化の取組などを継続して緊縮予算を編成するとともに、一方で限られた予算の中で国や道などの施策と呼応した施策、特に経済・雇用対策を重点的に実施することを念頭に置いて編成作業を行ったところであります。臨時財政対策債を含む実質的な地方交付税については3パーセント程度ではありますが、伸びを見込めたことは明るい要素ではありましたが、予想以上に地方譲与税等の減少が大きく、一般財源総額についても対前年度より減少すると見込まざるを得なかったところであります。それらのことから、最終的に一般会計の収支の均衡を図るためには、職員給与等の削減継続を決断せざるを得ず、今回の編成作業につきましても、大変厳しい状況であったと思っております。そのような中にあっても、公共事業費の増額や前倒しのほか、商業・観光施策等にも配慮するとともに、今定例会中に国の雇用対策交付金関連事業につきましても、追加提案をさせていただく予定であり、現状の財政状況の中では、可能な限りの工夫をしたものと考えております。

次に、財政健全化計画の平成21年度における目標の達成についてでありますが、21年度は現在の財政健全化計画上の中間年となり、24年度での赤字解消に向けて累積赤字を減少へと転じていく分岐点となる年であります。ここ数年の傾向にありますとおり、本市の財政収支を左右する最大の要因は地方交付税の動向であり、現時点ではまず21年度の地方交付税が予算額を確保できるよう強く期待しておりますし、一方で市税を中心とする歳入の確保や経費の節減など、収支両面の取組を今後とも引き続き強力に実行することにより、健全化計画上の21年度の目標を達成し、24年度の黒字化へと着実に歩みを進めることができるよう、全庁を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。

 

○ 23番(横田久俊議員)

次に、丸井今井跡、中心市街地の活性化についてお尋ねいたします。

丸井今井小樽店は、平成17年に閉店し、丸3年が経過しました。小樽の中心部のこの地が3年間も空き家同然の形であったことは、小樽経済の活性化に大きな暗雲を残してきました。小樽経済の活性化にはまずここを再生しなければならないという市民の願いは、いまだに実現しておりません。追い打ちをかけるように、本年1月には隣接する小樽グランドホテルが閉館することが明らかになり、市民はダブルショックに見舞われました。この一角は一体どうなるのだろうというのが市民の関心の的になっております。

昨年12月に、丸井今井小樽店跡の再開発ビルと隣接するアネックス館、そして小樽グランドホテルが、第1種大規模小売店舗立地法、いわゆる大店立地法の特例区域として道に指定されました。これは大型店が新規出店や店舗を拡張する際、通常は8か月ほどかかる大店立地法の届出手続が不要となるもので、今後の新規出店がしやすくなる利点があります。昨年末には、「東京の大手ディベロッパーが土地、建物を一括購入し、建物を改修して新規出店するとの見方がある」との報道がなされたほか、市長も先日の所信表明の中で同様の経過をお話ししておられます。さきの特例区域の指定は、まさにこれを裏づけるかのような動きともとれます。市民は一日も早く後継テナントが決定し、同ビルが再開することを願っております。そこでお伺いをいたします。

後継の核テナント、大手ディベロッパーの動き、同ビルの活用形態、後継ホテルの状況などについて情報をお持ちと思いますので、お知らせください。また、再開について課題があるとしたらどのようなものがあるのか、それらはクリアできる障壁なのか、また予想される再開の時期などについてもお聞かせください。

サンモール商店街の再生は市民の悲願ですが、もう一つ小樽の新しい顔が育っております。JR小樽駅前の再々開発であります。ツインタワーの外観が姿を現しました。ホテルは5月下旬、マンションは6月下旬にオープン予定とお聞きしております。マンションの販売も7割以上が既に契約済みと順調な売れ行きであるとのことであります。地上1階、地下1階はテナントが入居するとのことですが、小樽の新しい商業スペースとして駅前地区の活性化が大いに期待されるところであります。商業施設棟には、どのようなテナントが入居するのでしょうか。それらは地元の企業・店舗なのでしょうか。また、運営会社の共立メンテナンスが経営母体のドーミーインホテルは、全国に35店舗、道内6店舗を有する大手ホテルチェーンで、正社員、準社員合わせて4,200名の社員を有するとお聞きしております。

今回の小樽出店で、地元雇用はどのくらいあるのでしょうか。

また、小樽の人口増にも貢献すると思われますが、マンション購入者で市外からの入居世帯はどの程度なのでしょうか。

 

○ 市長(山田勝麿)

次に、丸井今井跡など中心市街地活性化方策についての御質問でありますけれども、まず丸井今井跡の後継テナント等についての情報でありますが、先日の提案説明でも申し上げましたとおり、現在、施設を管理する小樽開発株式会社が大手ディベロッパーと施設の一体的な活用に向けて精力的に交渉していると聞いております。市といたしましては、中心市街地の活性化のためにも、この施設が一日も早く全館再活用されること、また、中心部には大規模な収容能力のある宴会場を備えたホテルがないことから、早期に新たなホテルが進出してくることを期待しております。詳細な情報につきましては民間同士の交渉のため承知しておりませんが、今後の施設再生に向けて、できる限りの支援に努めてまいりたいと考えております。次に、施設の再開についての課題でありますけれども、1点目としましては、小樽開発株式会社が抱える金融債務を処理すること、2点目は、施設が共有名義となっているため、再開に当たって共有名義者全員の合意を取り付ける必要があること、3点目は、現行の駐車場の形態が立体式となっているため、大型車の乗り入れが困難であることなどと伺っております。また、これらの課題については現在交渉中の大手ディベロッパーも認識しており、解決に向けて精力的に取り組んでいると聞いております。

なお、再開の時期につきましては、現在も交渉中のため明らかになっておりませんが、一日も早く合意に達し、再出発ができることを期待しております。

次に、小樽駅前再開発ビルの商業施設棟の入居状況についてでありますが、商業棟の1階に10店舗、地下に1店舗の計11店舗が出店する予定となっています。1階の店舗は旧第3ビルの権利者を中心に銀行や喫茶店、歯科医院などが、また地下には大手ドラッグストアが入居する予定となっており、そのうち4店舗が地元以外からの出店となると聞いております。次に、ホテルの地元雇用についてでありますけれども、ホテルを運営する株式会社共立メンテナンスでは、3月上旬に開業準備室を開設し、その後、雇用など具体的な内容を取り決めると聞いております。次に、マンションの購入者でありますけれども、分譲戸数117戸のうち、現在、契約戸数は80戸程度で、そのうち市外からの購入は20戸程度と聞いております。

 

○ 23番(横田久俊議員)

次に、人口減対策と関連施策についてお尋ねいたします。

本年、人口は1月末で136,645人になりました。19年3月末に14万人を割ってから年間2,000人の減少ペースはとまりません。小樽の最大の危機は人口減です。一昨年第4回定例会で人口減対策についてお尋ねいたしました。どのような対策を講じていくのかとの私の質問に、数点の実施施策を挙げた後で市長は、「特効薬はない。さまざまな角度から総合的に取り組んでいくことが必要である」と御答弁をされました。国立社会保障・人口問題研究所が昨年末に発表した2035年の本市の人口は約8万4,000人と推計しております。2005年の142,000人から30年間で4割減少する計算であります。江別市、北見市にも抜かれ、道内10番目の都市にランクダウンするということであります。

言うまでもなく人口減少と少子高齢化は、経済、産業、財政、あらゆる分野で大きな影響を与えることになります。この減少に歯止めをかけることが今必要であります。

そこで、何点かお尋ねいたします。

まず、移住促進についてであります。

これまで「移住相談ワンストップ窓口」の設置や「おたる移住・交流推進事業研究会」を設立するなどして移住施策に取り組んできたとお聞きしておりますが、その具体的な活動内容と成果、実績についてお知らせください。事業を始めてからこれまで市外から何人が移住してきたのでしょうか。そのうち2地域居住や短期居住はどのぐらいの比率でしょうか。また、今後の移住促進対策について、短期、中長期に分けてその方針をお聞かせください。

移住、定住を促すために、移住者を対象に住宅建設、土地購入に対する優遇税制や、その他の優遇策を示している自治体も見られます。本市にはそうした施策はあるのでしょうか。市内に若者が働ける場所がない。したがって、札幌をはじめとする他都市へ転出する。こうした人口の社会減パターンが以前から指摘されております。若者が働ける企業誘致も大事な人口対策であります。企業誘致にはどのような施策が実施されているのか、そしてその成果はどうなのでしょうか、お聞かせください。

移住促進も大事な施策でありますが、最もオーソドックスで有効な人口対策は、出生数を増やすことです。フランスは少子化対策に成功した国として有名です。過去1.6人台まで落ち込んでいた合計特殊出生率は、昨年2.02人と2人を超えました。インターネットでその要因を確認しましたら、数点ありました。子供を持つ世帯に対する経済的支援が手厚い。妊娠・出産にかかるお金(自己負担額)が少ない。子供が生まれることを理屈を抜きにおめでたいと考えている。フランスは婚外出生が50パーセント以上だそうです。働く母親への支援が多い。仕事と出産が両立しやすい。それから、ベビーシッターの制度が定着している。父親の育児参加が進んでいる等々の理由がございました。日本も見習うところが多いのではないでしょうか。これらは国策ですので、小樽の事業と単純に比較はできませんが、小樽市の少子化対策についてお知らせいただき、その成果はどうなのかについてお聞かせください。

これまで述べたように、移住促進は企画部門、企業誘致は産業港湾部門、少子化対策は福祉部門などなど庁内の各部門で人口対策が進められておりますが、それらを一元化する機構がないように思います。人口減に悩む岡山県笠岡市では、昨年、市長を本部長とする定住促進本部を設置して、全庁横断的な検討を加えております。職員を部課長級、そして若手との二つのグループに分けてワーキンググループで検討した事項を全体で協議し、やるべき事業の方向性を出していくというような手法をとっているようであります。また、転出者、転入者にはすべてアンケートを実施し、問題点の抽出に努力しているようであります。笠岡市議会には人口対策特別委員会も設置されており、市の本部が打ち出す施策をチェックするだけでなく、特別委員会、議会独自の施策も示すとのことであります。

本市も企画部門が取りまとめをしているのでしょうが、いま一つ人口対策に絞った協議が不足しているように思われます。今後どのように人口対策を強化していくのか、市長の御見解をお伺いいたします。

もう一方、違う一面での人口減対策があります。これはいわゆる税収面での危機管理としての人口減対策であります。人口減を食いとめる話の後で、人口減を前提にした議論をするのは多少気が引けますが、自衛隊や大企業が誘致されることでもない限り、一定数の人口減少は避けられないというのが現実的です。また、どう努力しても人口減少が緩まないこともあり得るわけであります。人口、つまり納税者が減少すると基幹税目の税収も減少するという相関関係が確認されております。固定資産税はその影響を受けにくいのでしょうが、個人・法人市民税はもろに影響を受けることでしょう。しかし、人口が減少しても歳出を削減することは容易ではありません。地方自治体は、今後の行政サービスを賄い得るだけの自主財源を確保することが重要な課題となってくるのは自明の理であります。小樽市として、今後の税収減少にどのように対応していくのか、市長の御見解をお聞かせください。

 

○ 市長(山田勝麿)

次に、人口減対策と関連施策の一元管理についての御質問でありますが、まず移住促進に関する取組や成果、今後の方針等についてでありますが、本市の移住促進事業につきましては、平成17年度から移住ワンストップ窓口の開設による相談の受付や移住専用ホームページでの情報発信のほか、大都市圏でのプロモーションによるPR活動を行ってまいりました。

また、昨年7月には「おたる移住・交流推進事業研究会」を設立し、長期滞在メニューのデータベース作成や、それを基にした移住PRパンフレットの作成、独自ホームページの開設、大都市圏プロモーション活動でのアンケート調査の実施など、各種調査・研究事業を進めてまいりました。移住ワンストップ窓口開設後のこれまでの実績としましては、移住に関する相談が本年1月末で延べ169件あり、そのうち市で確認できているもので28世帯、65人の方々が本市へ移住してきております。

また、2地域居住や短期居住の実態は把握しておりませんが、1週間から3週間程度の、いわゆるお試し暮らしの実績につきましては、市のホームページに掲載している三つの施設においてこれまで把握しているもので8件ありました。なお、今後の対策につきましては、短期的には長期滞在者の増加を図り、それを季節移住や2地域居住、さらには定住者増へと結びつけていくことを当面の課題としており、長期的には移住を受け入れる総合的な窓口がビジネスとして民間に移行していくことが必要であると考えております。

次に、移住者を対象とした住宅建設等に関する優遇措置についてでありますけれども、現在、移住者を対象とした優遇措置は本市にはございませんが、住宅建築や土地の購入に関する優遇制度を設けている市町村もあり、移住政策を推進する上では有効なセールスポイントであると思います。しかしながら、このような優遇措置には、転勤者など一時的な移住者に対する扱いや既移住者とのバランス、また財政的に可能かどうかなど、種々の課題もありますので、これらのことを踏まえて、今後、研究してまいりたいと思います。

次に、人口対策としての企業誘致についてでありますけれども、企業誘致に係る主要な施策としましては、平成18年に企業立地促進条例を制定し、新たに工場等を建築した場合に、固定資産税と都市計画税を2年間免除する優遇措置を設け、誘致に取り組んでまいりました。本条例の適用を受けた企業は、平成18年度、19年度を合わせて16社で、そのうち7社が市外から新たに進出した企業であります。平成20年度は6社が申請中であり、そのうち1社が市外からの企業であります。これに伴う雇用の増加につきましては、18年度、19年度を合わせて227名が、20年度は34名が、それぞれ新たに雇用されております。そのほか条例は適用されないものの、平成18年度から2012月までに21社が新たな操業開始で、3社が工場等を増設しており、これについても一定程度の雇用増加に寄与しているものと考えております。

次に、少子化対策についてでありますけれども、本市においては平成17年3月に「おたる子育てプラン」を策定し、専業主婦家庭を含めた子育て家庭への支援に取り組んでまいりました。これまでの取組の主なものは、保育所入所定員の拡大、延長保育の実施箇所の拡大、休日保育の実施、家庭で子育てをする親子を対象とした「わくわく広場」「あそびの広場」、杜のつどいが実施する「杜ひろランド」の開催、小樽公園こどもの国ゾーンの整備などであります。また、取組の成果についてでありますけれども、今申し上げましたような事業に取り組んでまいりましたが、本市の出生数は残念ながら平成20年が758人で、依然として厳しい状況にあります。今後もさまざまな角度から少子化対策に取り組んでまいりますが、少子化対策は一地方自治体のみで取り組むのには限界がありますので、本格的な国の施策に期待するところであります。

次に、今後の人口対策についてでありますけれども、本市における全庁的な取組としましては、平成1712月に特に重点的取組が必要な部局の課長職で構成した人口対策会議を設置し、今後取り組むべき事項について議論を重ね、その方向性を確認し、平成18年6月に中間取りまとめを行いました。しかしながら、その後、具体的な施策を進めるに当たり、なかなか効果的な手だてを見いだせないのが現状であります。本市の人口問題につきましては、言うまでもなく長年の課題であり、人口の定住には何といいましても働く場、生み育てる場、暮らしの場といった市民が快適に生活できる環境を整えることが第一であるとの認識の下、これまでも各部署において重点的に取り組んできたところであります。今後におきましても、多様な施策を積み重ねていくことが、結果として総合的な人口対策となるわけでありますから、各部署の最重点課題として引き続き着実な取組を進める考えであり、一元化する機構の設置とまではいきませんが、必要があれば政策検討会議等、既存の庁内会議を利用する中で横断的にとらまえてまいりたいと考えております。

次に、今後の税収減への対応でありますけれども、人口減に伴う税収減については、本市のみならず全国の地方自治体の大きな課題となっていることから、全国市長会としても国に対して税源の偏在性が少なく安定的な税収を確保できる地方税体系を構築することや、地方が担う事務と責任に見合う税源配分を基本とし、当面、国、地方の税源配分5対5の実現を図ることにより、地方税の充実を図ることを求めており、市といたしましても、地方交付税制度が持つ財源保障・財源調整両機能の強化とともに、これらの動きとも歩調を合わせて国に対して強く要望してまいりたいと考えております。また、自主財源の根幹をなす市税収入の確保につきましては、行政運営上極めて重要な要素であると考えており、今後とも企業誘致の促進などのほか、公共事業の追加や前倒し実施といった経済対策を含め、市としてできる限りの対応に努めてまいりたいと考えております。

 

○ 23番(横田久俊議員)

次に、市立病院改革プランと地域医療を守る取組についてお尋ねいたします。

市立病院改革プランは、パブリックコメントの手続を終え、本年1月に正式決定いたしました。内容については、これまでも我が党議員をはじめ各会派から多くの質問がなされておりますので、重複を避けるため、細かい項目、数字についてはお聞きいたしませんが、プラン全体を見詰めて、改めて市長にお尋ねいたします。改革プラン策定会議は、12人の策定委員が計7回にわたって検討を重ねたものでありますし、再編・ネットワーク化についても民間との協議会が結成され、5回の議論を重ねているものです。その内容は十分吟味されたものであると認識しております。この計画を確実に実施すれば病院運営は改革されるものと認識しております。問題は、この計画が果たして順調に実施されていくのかということであります。

いわゆる絵にかいたもちになりはしないのか。なってはなりません。的確に進行管理し、少しでも未達成の項目があれば、それらを間断なく計画値に整合させるという作業が極めて重要になります。時には計画の見直しも必要になるかもしれません。当然、プランの中でも「進捗状況の点検、評価、公表等」の項目があり、内部委員会、第三者委員会の設置や市議会特別委員会への報告、ホームページによる公表などを挙げております。これらの点検・評価は、きめ細かく行われなければ意味がありません。しかし、点検・評価の時期については、「(仮称)市立病院経営改善評価委員会」での審議を経て毎年9月末までに公表し、公表の内容については、決算を審議する定例会をめどに、市立病院調査特別委員会において報告をする予定であると説明しているだけであります。

私は、これでは実に不十分ではないかと思います。評価委員会の開催頻度がどの程度かわかりませんが、この計画が確実に進ちょくしなければ、もう後はないと思います。計画が思うように進ちょくしなければ、当然、新病院の統合・建設も大きく後退していくものと考えられます。繰り返しになりますが、この計画は絶対に完遂しなければならないのです。

改めてお聞きしますが、どのように多岐にわたる計画を実行させ、それらを点検、検証、評価するのか。その頻度はどの程度なのか。修正、整合させる指令塔は、どこが担当するのか。相当な事務量、作業量になると思われますが、人員は確保できるのか。その他、実施に当たって課題はないのか、市長の御見解をお知らせ願います。

プランの中にも項目立てておりますが、医師不足問題と地域医療の確保についてお尋ねいたします。医師不足、医師の地域偏在は、全国的な問題であり、小樽も例外ではありません。当然のことながら医師が確保できなければ、その地域の医療は崩壊します。医師1人がいなくなれば数億円の収入がなくなると言われ、プランにおける医業収益額も医師が一定数いることが大前提となっております。プランでは医師の確保方策として、一つ、「医師に係る勤務条件の改善を図る」、さらには「医療機器や院内環境整備などを推進して診療体制を充実する」「医師の研修や学会参加等の研究機会の充実を図る」などを挙げておりますが、これらは医師確保というよりは医師の流出を防ぐ色合いが濃い方策かと思います。もちろん重要なことではありますが、これらがすぐに改善され実効性を持つかは、甚だ疑問であります。さらには、こう書いてあります。「地域において不足している診療科の医師については、公立病院としてその確保に努めます」となっておりますが、これでは極めて抽象的で、本気で医師確保ができるとはだれにも思われません。

この問題が簡単にはいかないことは十分承知しております。これまでも医師確保をどのように進めるのかを問う各会派の質問に対し、市長、病院長らによる大学医局への積極的な依頼、要請活動を繰り返し述べられておりますが、その効果はあまりないように感じます。医師絶対数の増や臨床研修制度の見直しなど国レベルでの方策は別にいたしましても、本市として独自の医師確保方策はないのでしょうか。これまで医師確保のために病院として実施してきたことについてお知らせください。また、医師不足を解消するため有効と考えられる対策案を挙げていただき、それらをどう具体化していくのか、お知らせください。

先般、地域医療を考えるシンポジウムが開催され、私も拝聴させていただきました。何人かの議員の姿も見られました。地域医療を守るためには、その地域住民が医療に対する考え方を転換してもらえるように啓発していかなければならないというのが大きなテーマだったように感じました。医師が疲弊しては地域医療は守れません。休日や夜間、軽症であるにもかかわらず、安易に救急外来に駆け込む「コンビニ受診」は、明らかに医師の勤務条件の悪化を招いております。これらの抑制を市民に訴えていくことが重要であります。時間外受診が増加することは、医師のみならず地域の医療従事者へのさらなる過酷な労働を強いることになり、地域医療の崩壊につながっていくことになります。市立病院を含め本

市の実態はどうなっているのでしょうか、お知らせください。再び他都市の話で恐縮ですが、島根県益田市議会では、地域医療を救うために議会が何をすべきかを議論し、議長の諮問機関として議会各会派代表による医療問題検討委員会を設置しました。医療従事者

確保対策、情報収集・提供、広域医療のあり方などを審議し、さらに踏み込んだ対策を議論するために地域医療対策特別委員会に昇格させたとのことであります。超党派で、28人と聞きましたが、議員全員で街頭活動を行って、市民にコンビニ受診の撲滅を説明し、その結果、時間外受診が前年より1,282件、約15パーセント減少したという成果を上げております。全国市議会旬報で紹介されたこの取組は、我々にも大変参考になるものであります。直ちに同様な取組を行うかは検討の余地があるところですが、議会も何らかの形でこの問題に立ち上がらなければならないと痛感するところであります。市立両病院及び医師会所属の各病院における時間外受診者の統計が出ておりましたら、ここ数年の傾向も含めて、その状況をお知らせください。

 

○ 市長(山田勝麿)

次に、市立病院改革プランの「進捗状況の点検・評価」についてでありますけれども、改革プランの具体的な取組項目につきましては、両病院のそれぞれの部門で検討し掲げたものでありますので、まずはその部門ごとに進ちょく状況の点検を行うなど、両病院において点検や検証を行い、さらには病院事業管理者の下で経営戦略会議メンバーなどにより、例えば四半期ごとなど一定期間ごとに総括的な点検、検証、評価を行っていく必要があると考えております。また、第三者機関による外部評価につきましては、客観的な評価を求める必要がありますので、決算の概要を示せる段階で行うことが適当と考えております。また、これらに伴う人員配置についてですが、プランの進ちょく管理は事業管理者の下で経営管理部が中心となって取りまとめることになりますので、そのための必要な人員配置を行う予定ですが、具体的な項目の点検・評価や改善実施は主に両病院の各部門ごとに行う必要があり、病院職員全体の協力体

制の下、着実に遂行してもらいたいと考えております。また、改革プラン実施に当たっての課題ということでありますが、外的な要因に左右される医師など

のスタッフの確保や、診療報酬の推移などにどう対処していくかということが大きな課題であると考えております。

次に、医師確保についてでありますけれども、市独自の医師確保対策というのはなかなか難しいと考えますが、これまで病院が実施してきたことといたしましては、現在、医師の派遣を受けている北大、札幌医大の各医局への医師派遣の要請に加え、幅広く医師を求める観点から、新たな医局へ赴いての派遣要請や情報収集、さらには個々の医師の人脈による要請のほか、医療関係雑誌への求人広告掲載なども行っているところであります。なお、現在は、4月から事業管理者としてお迎えする並木教授の助言や協力も得ながら、さらに積極的に取り組んでいるところであります。

また、医師の過重労働の解消や診療環境の整備も大切な視点であると考えておりますので、医師の事務負担の軽減やオーダリングシステムの導入、医療機器の充実などにも力を入れるとともに、処遇改善にも取り組んでまいります。

次に、コンビニ受診の実態でありますけれども、本市の救急外来は、在宅当番医の輪番制と夜間急病センターで行っております。これらを委託しています小樽市医師会に問い合わせしたところ、軽症患者が多く来院したことにより、重症患者の診療に支障が出るようなケースはないとのことであります。また、市立病院についても同様であります。しかし、夜間急病センターにおいては、内科医と外科医の2名体制でありますが、虫歯による歯痛や目にごみが入ったなどの軽度な患者も来ていると聞いておりますので、救急医療機関の役割や適切な利用について、周知、啓発を図ってまいりたいと考えております。

次に、時間外受診者数についてでありますけれども、両市立病院の合計では、平成18年度は3,388人、19年度は3,376人と、ほぼ同数で推移しておりますが、20年度1月末累計では2,446人となっており、前年度よりも減少する見込みとなっております。

なお、医師会傘下の各病院については、医師会に問い合わせしましたが、時間外診療の受診者数の把握はしていないとのことであります。

 

○ 23番(横田久俊議員)

次に、市民の健康を守る施策についてお尋ねいたします。

私は、一昨年の第4回定例会代表質問でがん検診について質問いたしました。当時の本市のがん検診受診率は、最低が胃がん、乳がんの9.3パーセント、最高で子宮がんの24.9パーセント、大腸がん、肺がんはそれぞれ10パーセント台と、決して高い数字とは言えませんでした。厚生労働省のがん対策推進基本計画では、がん検診受診率を平成23年までに50パーセントにしなさいとの目標を設定しております。

受診率の向上方策をお尋ねした私の質問に市長は、「広報、ホームページによる受診の呼びかけや周知の徹底、検診を受けやすい環境整備、医療機関との連携強化などを進めて、がん検診の受診率を向上させる」と御答弁をされました。そうした施策を進めた結果、受診率はどう変化したのか。直近の当市の受診率と、その特徴や傾向などをお知らせください。また、子宮がん・乳がん検診は2年に1回となっていますが、なぜ毎年受診できないのか、その理由もお知らせください。

私ごとで大変恐縮ですが、私は平成17年に人間ドックを受診した際、胃がんが発見され、その日に宣告を受けました。医療技術が進んでいるとはいえ、がんという病名を聞かされたときは大きな衝撃を受けました。少し残してくれたらよかったのですが、患部が食道の直下であったことや、進行がんということで胃の全部を摘出しました。人間ドックを受診したのは1年半ぶりでしたから、もう半年前、つまり1年に1回の検診をしっかりと受けていればもっと軽い症状で発見されたことと思います。逆にもう3か月発見が遅れていれば、がんは胃壁を破り、腹こう内はがん細胞に侵され、多臓器への転移が進んでいただろうと診断されました。病期(ステージ)はVAということで、ファイナルステージの一つ前でありました。まさにぎりぎりのところで発見されたわけであります。人は「悪運が強い」と言いますが、悪運かどうかは別にしましても、本当にそのとおりだと思いました。運が強いなと思いました。あのとき検診に行かなければどうなっていたか、振り返ると背筋が寒くなります。今こうしてこの場に立っていることもなかったのかとさえ思います。一人でも小樽市民をがんから救うために、私は、がん検診の重要性を市民の皆さんに訴え、本市の受診率の向上を後押ししたいと考えております。ピンクリボン運動といって、乳がんについての啓発と情報提供あるいはマンモグラフィー検診の普及促進を目標にして活動しているグループも小樽市内にあります。映画の上映や、あるいはチラシ配布などで頑張っております。こうした活動にも議員各位の御協力をお願いいたします。

さて、事業主は労働基準法、労働安全衛生法により従業員に対し健康診断の実施が義務づけられております。したがって、いわゆるサラリーマンといいましょうか、そうした環境にある人たちは、毎年一定時期に健康診断を受診することから、がんを含むその他の疾病が発見される確率は高いと言えます。しかし、我々議員もそうですが、自営業者や定年退職者、そして家庭の主婦など定期検診を受ける機会の少ない人にとっては早期発見の可能性は低くなりがちです。安価に、そしていつでも受診できるこの制度は、そういう方たちにとっては極めてよい制度と思いますが、受診率から見ると本市においては、がん検診の住民への周知がまだまだ不足なのではと思われます。戸別訪問で受診の呼びかけをしたり、郵送で通知を行っている自治体もあるようですが、まだ少数と聞いております。本市の住民周知に向けた取組についてお知らせください。

全国市長会は、昨年、がん検診受診率向上に向けた取組や受診者数の増加に伴う財政負担に備えるために、交付税の拡充を国に要望しておりました。これを受けて総務省は、つい先日の2月21日に平成21年度のがん検診を支援する地方交付税を前年度の649億円から倍増の1,300億円とすることを決定いたしました。当市へ来る交付税が単純に倍増になるかは別としましても、これまでよりはがん対策予算が大幅に増額できる可能性が出てきました。こうしたことも踏まえて、本市の受診率向上のための方策について、改めて市長の御意見と平成23年までの「受診率50パーセント達成」の意気込みをお聞かせください。

 

○ 市長(山田勝麿)

次に、がん検診についての御質問でありますが、まず本市におけるがん検診の受診率につきましては、平成19年度、胃がんが9.6パーセント、肺がんは13.9パーセント、大腸がんは17.7パーセントとなっており、17年度と比べほぼ横ばいで推移しております。また、子宮がんにつきましては16.6パーセントで、17年度に比べて低下しておりますが、乳がんは11.7パーセントと上昇しています。受診率を年齢ごとに見てまいりますと、胃がん・肺がん・大腸がん検診については、40から50歳代の受診率が他の年代と比べ低い傾向にあり、子宮がん・乳がん検診では、20歳から40歳代の受診率が高い傾向にあります。次に、子宮がん検診と乳がん検診の受診間隔についてでありますが、平成16年、国によるがん検診に関する検討会が行われ、この中で子宮がん、乳がんにつきましては、一般にがんの進行が緩やかであり、二、三年に1度の受診間隔でも、がんの発見率や死亡率に影響がないことが医学的に確認されております。このことから、平成17年度より2年に1度の受診間隔になったものであります。

次に、がん検診の住民周知と受診率向上のための方策ということでありますが、がんは市民の死亡原因の第1位であり、市民の生命及び健康にとって重大な問題となっていることから、がん検診の受診率向上が大きな課題であるものと認識しております。本市では、これまで、がん検診の重要性を周知するために広報おたるやホームページ、回覧板のほか、パネル展を開催するなど、さまざまな方法を組み合わせて周知に取り組んでまいりました。今後につきましても、国の目標値である受診率50パーセントを踏まえ、より実効性のある周知活動や受診しやすい体制整備に努め、がん検診の受診率向上に向け、鋭意取り組んでまいりたいと考えております。

 

○ 23番(横田久俊議員)

次に、教育委員会に学力・体力向上に向けての取組、そしていじめ問題についてお尋ねいたします。

「道産子は運動もダメ!」こんな見出しが某雑誌に載っておりました。先月21日に公表された全国体力・運動能力、運動習慣等調査でありますが、これで道内の児童・生徒の運動能力が全国平均を大きく下回っていることが明らかになりました。特に中学2年の女子の体力は全国最下位、小学5年男子45位、同女子39位、中学2年男子43位といずれも低調で、全国学力・学習状況調査に引き続き北海道は思わしくない結果になりました。本市については、この体力テストの結果を公表しないとしていますが、その理由を「参加校が少なか

ったから」と言っておられます。参加校が少ないため全市的な傾向が表れないとのことでしょうが、そうであることを前置きして、平均値等を公表するのは何の問題もないように思います。保護者にとっては学力と同様に、我が子の体力も全国・全道のどのレベルにいるのかわからない状態になってしまったわけであります。

そのほかに実施率が低かった理由として、国の通知が遅かったことや実施時期の業務がふくそうしていた、測定器具の不足などが報道されていますが、改めて教育長の言葉で参加校が少なかった理由を御説明願います。もし今列挙したような理由であれば、これらは全国どこの学校でも同じ条件でありますから、小樽の参加率が小学校2割なのに対し、道は5割、全国は7割です。中学校は小樽が4割、道は6割、全国は7割です。多少の差なら何も申しませんが、明らかに参加校が少なすぎるとは思いませんでしょうか。何らかの力が働いたのではないかという市民の厳しい御意見もあります。教育長の御見解をお聞かせください。

運動習慣の調査では、北海道の児童は「テレビの視聴時間も長く、肥満度(100人当たり肥満傾向児の出現率)も高い。睡眠時間も長い」との結果が出ています。いわゆる運動しない児童・生徒が多いということです。これらの原因が運動不足の要因となっていると思いますが、今後どのように運動する機会を増やし、肥満を抑制し、児童・生徒の体力を把握し向上させていくのか。総合計画や学校教育推進計画に記載されているような抽象的な表現ではなく、こういうことをいつまでにやって子供の体力を回復していきたいというような具体的な御答弁をお願いいたします。

学力テストで成績上位だった秋田県や福井県は、今回の体力テストでも、いずれも高得点でした。秋田県は体育授業への外部人材活用が全国1位、福井県は小学校1校当たりの体育専門教員数が全国1位だそうであります。これらが成績上位に関係しているのではと考えられております。この種の調査で「上位に入ることがすべてではない」とは、よく聞かれる言葉であります。努力や経過を評価する点では確かにそうかもしれませんが、しかし決して下位でよいはずはないのであります。秋田県の教育長は、これは学力テストのときですが、調査結果公表に関し、こう話しております。「もし学力調査の結果を公表しない理由が『結果が不振であったことで保護者が教員を責めるのではないか』と思うのは、最初から保護者を対岸に置く考えではないか」と。調査は病院での診療に例えられます。診療で悪いところを見つけ、その情報を共有して早期に治癒するのが教育関係者、保護者の役割です。過去の学力テストの苦い記憶、「結果の公表、原因追及、競争激化」という構図が頭から離れない方々もおられるかもしれませんが、四十数年が経過した今、同じ事態を繰り返さない知恵が我々にはあるはずです。学力・体力テストの公表について、これまで何度もお聞きをしておりますが、お考えが変わったかもしれませんので、改めて教育長の御見解をお尋ねいたします。

次に、携帯電話やパソコンによる、いわゆる「ネットいじめ」などについてお尋ねいたします。この問題は、全国的な社会現象としてその対策が重要視されておりますが、まず小樽市内の小中学校でネットいじめと称するものはどの程度あるのでしょうか。その対応と件数、具体的な被害などについてお知らせ願います。

また、このネットいじめの温床となる学校裏サイトあるいはプロフィールサイトについて、昨年末、冬休みにこれらを探すネットパトロールを実施したとしております。それらの存在は把握できたのでしょうか。実態をお知らせください。

また、定期的にこのネットパトロールを実施すると聞いておりますが、今後の対応策についてもお知らせください。

小中学生の携帯電話利用率は、小学6年生で33パーセント、中学校は70パーセント程度と伺っておりますが、ほとんどが通話のみならずメール、インターネットをしているものと推察いたします。小中学生に携帯電話が全く必要ないとは申しません。位置情報などによる安全・防犯面での活用や緊急時の連絡などによるメリットはあるかと思いますが、費用や、あるいは有害情報サイトへのアクセスなど、所持による弊害のほうがはるかに大きいのではと思います。携帯電話を使った犯罪やトラブルが後を絶ちません。小中学生が黙々と携帯電話でメールをしたりゲームをしている場面を見ると違和感を感じるのは私だけでしょうか。

昨年、委員会で携帯電話の学校への持込みについてお尋ねをいたしましたところ、それぞれの学校で原則として持込みを禁止しているとの御答弁でございました。学校任せというか、学校の判断で持込みを禁止しているということだったと思います。ただ、どうしても必要なときの許可基準や持込み発見時の処置などについて、学校間で取扱いに差があったことと思います。

2月12日に道教委が携帯電話の学校への持込みを原則禁止するという方針を市町村教委に通知したと聞いております。道教委は当初、学校ごとに持込禁止がルール化されているので一律禁止する段階にないとしておりましたが、文部科学省の原則持込禁止の通知を踏まえて、方針を変えたと伺っております。市教委が明確な方針を打ち出すことで学校現場は取り組みやすくなるのではと思います。この際、小樽市教育委員会としても、この問題に真剣に取り組んでいただきたいと思います。道教委の通知を受けてどのように対応するのか、教育長の御見解をお聞かせください。

最後に、本来のいじめといいましょうか、学校現場を中心とした児童・生徒同士の「いじめ」についてお尋ねいたします。滝川の女児いじめ自殺以降、深刻な社会問題としてその解消が教育関係者、そして保護者の重要な課題となっております。まず、直近の小樽市内のいじめの件数をお知らせください。以前、実態を把握するいじめアンケートが行われ、北教組がこれに協力しないとして問題になりましたが、現在の実態把握方法についてお聞かせください。

いじめは、単純なけんかや暴力とは区別され、相手の肉体的・心理的苦しみを快楽的に楽しむことを目的として行われるさまざまな行為と定義されております。物を隠したり、交換日記で悪口を書いたり、しかとするなどといった教員や周囲が気がつきにくい行為も多く行われているという調査もあります。中には、いじめと自覚しないで行っている者や、罪悪感がなく、むしろ正しいこと、相手のためになっていることと錯覚している場合すらあるようであります。したがって、その把握は極めて難しいことであることは理解できます。しかし、やらなければならないのです。教員も教育委員会もプロなのであります。相談を受けたときは即時対応が肝要です。必死になって気持ちを伝えようとしてやってくる子供にとって、そのときが最初で最後のチャンスかもしれません。すぐに対応しなければ、もう次はないのかもしれません。後で何とかしようでは遅いのです。いじめ撲滅、口で言うのは簡単ですが、現実は甘くありません。

繰り返しますが、滝川市で発生したようないじめが原因で自殺などという悲惨なことはもう二度と起こってほしくはありません。いじめ問題全般の解決に向けて教育長の御見解をお聞かせください。

再質問を留保して、質問を終わります。

 

○ 教育長(菊 譲)

横田議員の御質問にお答えいたします。

初めに、全国体力・運動能力、運動習慣等調査への参加が少なかった理由についてでありますが、この調査は全国学力・学習状況調査とは違い、参加については各学校が判断するものとなっております。4月に届いた文部科学省からの通知では、実施期限が7月末であることから、参加する学校が4校にとどまりました。参加できない学校の理由としては、2学期以降に計画している学校が22校、本年度計画していない学校などが15校でした。その後、日程を調節するなどして7校が追加して実施することになり、その結果、小樽市では11校が参加しております。なお、12月に本年度の体力テストの実施状況を調べたところ、37校において全種目又は一部実施が報告されております。

このようなことから、全国・全道と比較して本市の参加校が少なかったのは、2学期以降に計画していた学校が多く、日程の変更の難しいことが主な理由ではないかと思います。来年度につきましては、本調査の趣旨を踏まえ、積極的に参加するよう各学校に働きかけてまいります。次に、体力の向上についてでありますが、子供の体力の低下や積極的に運動する子供とそうでない子供が二極化しているとの指摘もあります。こうしたことから、学校教育推進計画に示す今後5年間をかけて体育科においては子供たちの体力の状況を的確に把握し、指導内容、指導方法の工夫改善を図りながら、基礎的な身体能力の育成に努めるとともに、クラブ活動、運動会、遠足や球技大会などの特別活動及び部活動などと関連させながら体力の向上に努めていくよう各学校に指導してまいります。また、健康に関する指導については、これまで以上に学校と家庭が連携をしながら、望ましい食習慣や基本的な生活習慣などの育成に向け、計画的、継続的に取り組んでまいります。

次に、学力・体力テストの結果の公表についてでありますが、議員が御指摘のとおり学力や体力の実態を的確に把握し、その情報を学校と保護者で共有しながら指導改善に生かすことは大変重要なことであると考えております。個別の結果については本人や保護者に提供されていますが、市町村名や学校名を明らかにした結果の公表については、何度も答弁してございますが、過度の競争や序列化を招くおそれがあることから行わないよう実施要領に定められております。小樽市としては、学力や体力テストの結果の公表については、今後も道教委の指導を踏まえ、実施要領に基づいて対応してまいりたいと考えております。

次に、小樽市におけるネットいじめの現状についてでありますが、平成19年度文部科学省の「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」によりますと、携帯電話等によるひぼう中傷の件数は、小学校9件、中学校7件、計16件となっております。態様については、メールにより相手に悪口を送信したとするものがほとんどで、ほかに相手の保護者の携帯の留守番電話に悪口を残したとするものもありました。なお、16件については、すべて指導し、解消されております。

次に、学校裏サイトの存在やネットパトロールに対する取組についてでありますが、冬期休業中、全小中学校においてインターネットにおける学校非公式サイトやプロフィールサイト等による悪質な書き込みの有無について点検を行いました。今回の調査では悪質な書き込みは見られませんでしたが、その後も各学校では定期的に点検を続けております。しかし、サイトにパスワードが設定されるなど、学校からの検索が難しい場合も多く、検索の方法について研修会を開催するなど、改善に向けた取組を進めてまいります。

次に、学校への携帯電話の持込みについてでありますが、これまでも市内の小中学校においては、学校へ持ち込まないよう指導をしてまいりましたが、このたび道教委から学校における携帯電話の取扱い等についての通知を受け、その通知の趣旨や小樽市情報モラル検討委員会での検討結果を踏まえ、各小中学校に対して市教委としての基本的な考え方を示しました。その主な内容は、携帯電話の学校への持込みは原則禁止、例外的に持込みを認める場合には、学校と保護者との十分な連携の下、学校での教育活動に支障がないよう登校時に一時的に預かり、下校時に返却すること。一方、道徳や教科などにおける情報モラルに関する指導の工夫改善や啓発資料、学校だよりなどの活用により、家庭におけるルールづくりの必要性などについて周知徹底を図っております。

次に、小樽市におけるいじめの状況についてでありますが、平成19年度文部科学省の「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」において、いじめの認知件数は小学校453件、中学校60件、計513件となっております。いじめの発見のきっかけは、アンケート調査によって認知した件数が全体の4割程度と一番多く、次いで本人からの訴え、当該児童・生徒の保護者からの訴えとなっております。市教委として、いじめ防止キャンペーンを年2回実施し、各学校ではこれまで以上に独自のアンケート調査や個別面談など、実態の把握に努めてきたことから、いじめの認知件数が増加したものと考えられます。

なお、本調査におけるいじめ513件のうち、477件については昨年度内に解消しており、継続していた36件についても、現在すべて解消していると報告を受けております。

最後に、いじめ問題の解決に向けての見解についてでありますが、いじめは次世代を担う子供たちの基本的人権を脅かす絶対に許されない行為であり、教育に携わるすべての人がいじめ問題の重要性を改めて認識し、いじめの兆候をいち早く把握して迅速に対応することが大切であると考えております。市教委では、平成19年度には生徒指導資料「いじめ問題への対応」を作成し、全教員へ指導の一助とすべく配布するとともに、いじめ防止キャンペーンを実施しました。本年度はそれに加えて7月、全校一斉に子供の安心・安全を守る取組も行い、学校、家庭、地域、関係団体と一体となって、いじめ問題の解決のため、さまざまな取組を行ってまいりました。今後も、いじめは、どの子供にもどの学校にも起こり得る問題であることを関係者のみならず市民にも十分認識していただき、いじめを許さない学校づくりに取り組んでまいります。

 

再質問

○23番(横田久俊議員)

教育委員会に1点だけ確認といいましょうか。前々から言っている学力テストあるいは体力テストの公表ですが、御答弁では道教委の実施要領に公表するなと書いてあると。過度な競争や序列化を招くおそれがあるということですが、都道府県レベルで公表しているところもあります。大阪をはじめいろいろあるのですが、都道府県がそういった縛りをなくするといいましょうか、実施要領に書き込まなければ小樽市は、これは実施するということなのでしょうか。現実に各学校の校長以下教員は、自校が例えば道内のどの辺にいるかというのは各学校ではわかっているわけです。今のお話を聞きますと、隣の学校に聞いて、あなたのところはどうなのとか、こちらはどうなのという、自動的にランクがわかるのです。ですから、そうやってランクがわかるのであれば、最初から公表しても私は特に問題ないのかと思いますし、保護者レベルでそういうことは全市のことはできないでしょうから、保護者だけが蚊帳の外に置かれるみたいな格好になってしまうと思いますので、道教委のその辺の方向がどんなふうになっているか、今ここではわかりませんけれども、もしおわかりでしたら今後の公表の方針についてお答えいただければと思います。

 

○議長(見楚谷登志) 理事者の答弁を求めます。

(「議長」と呼ぶ者あり)

○議長(見楚谷登志) 教育長。

 

○教育長(菊 譲)

横田議員の再質問にお答えいたします。

文部科学省の学力・学習状況調査につきましては、今年で2回目でございますが、今後、何年か継続していく中で、各学年の子供たちの学力の定着度を知るという大きな役割を担っており、その結果をもって学習指導の工夫改善に資するものでございまして、今後これを継続していくためには、現段階ではやはり北海道教育委員会の考え方としては、市町村別の公表でありますとか、学校別の公表をしないで、とにかくまずこのテストを何年も継続していくことに意義があるのではないかという観点に立ってございますので、小樽市教育委員会といたしましても、その思いを十分に酌み取りまして、現状においては北海道教育委員会の指導の下で行っていくという考えに立っているところでございます。