平成21年第4回定例会 本会議録 H21.12.21

○23番(横田久俊議員)

〜高規格幹線道路ネットワーク整備の推進を求める意見書について〜

自由民主党を代表して意見書案に対する討論を行います。

我が党提案の意見書案第5号ないし第7号については賛成の討論を、第1号ないし第4号については反対の討論を行います。

まず、賛成のほうからいきますが、意見書案第5号高規格幹線道路ネットワーク整備の推進を求める意見書案です。

本件につきましては、私が議員になってから、何度も提案し、いずれも可決しておりますので、重要性、必要性については改めて述べませんが、広大な北海道では必要不可欠のインフラであることは論をまちません。新政権に改めて、その整備促進を要望するものであります。意見書案では、高速道路無料化についても触れました。政府は予算を1,000億円程度に圧縮する方向で調整に入ったと報道されています。無料化実験区間の選定など、詰めの作業に入るようでありますが、限定地区としてこの北海道が対象となるようであります。総理大臣の選挙区をまず無料化という方針に少なからず批判も出ていますが、慎重な対応が望まれるところであります。前原国土交通大臣は、今でも原則無料化と強弁しておりますが、全国のほとんどが有料のままで北海道だけが無料というのであれば、普通は原則有料というのが正しい日本語であります。無料化には課題が山積しております。これらを踏まえた上で、高速道路、高規格道路の整備促進について、改めて強く要望するものであります。

〜「事業仕分け」による廃止等事業の見直しを求める意見書について〜

次に、意見書案第6号「事業仕分け」による廃止等事業の見直しを求める意見書案であります。

政府の行政刷新会議が主導して行った事業仕分けは、全国に実況中継され、多くの国民の関心を集めました。その評価は、今後予算にどのように反映されるのかにより左右されることと思いますが、問題は事業仕分けの結果が地方にどのような影響を与えるかであります。国の事業削減によって、地方にしわ寄せが来るのでは本末転倒であります。仕分けで廃止となった事業についても、予算編成段階でしっかり検討され、必要なものは見直しされることを国に強く要望するものであります。

意見書案第7号は、国として直接地方の声を聞く仕組みを保障することを求める意見書案であります。

小沢民主党幹事長は、業界団体や自治体が官僚などへ個別に陳情することを禁止し、かわりに陳情窓口を民主党の幹事長室に一本化することを決めました。政党を通さないと、地方自治体や各種業界が国に要望を出せないという仕組みであります。民主党幹事長室を経由しなければ要望が政府に届かないシステムが定着すれば、民主党幹事長の権限が肥大化し、これまで民主党が批判をしていた利益誘導型の政治をみずからが生むことになります。これは独裁政治以外の何物でもありません。小沢氏は18項目の重点要望の席で何と言ったか。これは党というよりも全国民からの要望なので、可能な限り予算に反映させてほしいと強調しました。実際には、暫定税率維持や子ども手当所得制限などの陳情はなされておらず、これらは小沢氏の意向で盛り込まれたと与党幹部も吐露しているそうであります。全国民からの要望と大上段に振りかぶりましたが、残念ながら我々は要望しておりませんし、逆に改善を求めている立場であります。全国民との表現は甚だオーバーではないでしょうか。政治に豪腕はつきものかもしれませんが、いくら何でも限度があります。国においては、地方の声や要望を正しく聞く仕組みを保障することを切に望むものであります。

〜非核三原則の早期法制化を求める意見書について〜

次に、反対の討論を行います。

まず、意見書案第1号非核三原則の早期法制化を求める意見書案であります。

我々は国是となっている非核三原則をあえて法制化することには反対です。鳩山総理は、先ほどの提案説明にもありましたが、本年7月の記者会見で「非核三原則が堅持される中で、現実的対応がなされてきた側面がある。北朝鮮の問題も含め必要性があったからこそ、現実的な対応がなされてきた。今後もその方向で考えるべきだ。」と述べております。さらに、翌8月の記者会見でも、「非核三原則はある意味で法律を超えている国是のようなものだ。法制化すれば、法律は変えられる危険性を持つ。」と法制化を否定いたしました。その後、「非核三原則をどうすれば守れるか。法制化というやり方もあると思う。」と法制化検討の方針に転換されたわけであります。普通は、これをぶれたと言います。まさしくこの鳩山首相の最初の考え方は我々の思いと同じであります。日本にとって今重要なことは、北朝鮮の核開発などの新たな脅威に向き合う日米安保体制のあり方を超党派で冷静に論じることではないでしょうか。

非核三原則を法制化するとした場合、持ち込ませずについては、どのような対応をするのか、全く不明確であります。日本に寄港、通過するすべての米艦船、航空機を臨検、立入検査するとでも言うのでしょうか。そんなことをアメリカが認めると思っているなら、全く論外です。日米関係は破たんし、日本の核抑止力はゼロになり、安全保障政策は一からやり直しになります。そうした確認措置をしないのであれば、有名無実の空法案になり、法制化の必要性は失われます。法制化を主張する方々には、そこをどうするかもしっかりとお聞きしたいところであります。

非核2.5原則の議論があることは、皆さんも十分御存じだと思います。持ち込ませずは、日本国内に配備させない、イントロダクションという意味に限定して、一時的な通過、寄港とかは容認すればよいのではという議論であります。民主党菅副総理も過去に「救国的自立外交私案」と題して、寄港は非核三原則の対象外とする論文を雑誌に寄稿しているところであります。

いずれにしても、国の安全保障対策は、国民の生命、身体、財産を守るための独立国としての最重要事項であります。国民的な議論もなく、法制化の概要も不透明な中での短絡的な法制化には反対であります。今後の慎重な議論を強く要望するものであります。

〜「思いやり予算」の見直し等に関する意見書について〜

次に、意見書案第2号「思いやり予算」の見直し等に関する意見書案であります。

思いやり予算とは、防衛省予算に計上されている在日米軍駐留経費負担の通称であります。意見書案では、日米地位協定第24条に記載がないから、全廃せよと訴えておりますが、その第24条を受けて、日米地位協定第24条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国間の協定、いわゆる特別協定が国会の承認を経て締結されており、それを根拠に支出されているものであります。何か根拠なしにアメリカに経費を提供しているような誤った認識は訂正していただきたいものであります。

前述の非核三原則の項でも触れましたが、日米同盟は日本の安全確保にとって欠くことのできない関係です。有してはいるが、行使できない集団自衛権、これによってアメリカが攻撃されたときに日本は何もできない、しかし日本が攻撃されたときは守ってくださいというのが今の日米安保であります。そのための駐留経費を全廃せよという議論には賛同できません。金は出さないけれども命は守れでは、それこそ政府が言う対等な日米関係は維持できないのではないでしょうか。

この予算に組み込まれている日本人従業員の給与は、先日、事業仕分けがなされました。2万3,000人分の給与が減額されることになります。具体的な削減幅は示されていませんが、北澤防衛大臣も「既に米側と話を進めている。仕分け人から言われる話ではない。政治的にマイナスだ。」とコメントしております。この予算を全面的に見直しする議論には我が党はくみすることはできません。ただ、明らかに不適切な支出があれば、当然見直しを図り、アメリカ側に今後より一層の節約努力を求めていくことは必要と思ってはおります。

〜老人差別の後期高齢者医療制度の速やかな廃止を求める意見書について〜

次に、意見書案第3号老人差別の後期高齢者医療制度の速やかな廃止を求める意見書案についてであります。

この制度は、従来の老人保健制度が抱える問題点を解決するために、さらには増大する高齢者の医療費を国民全体で安定的長期的に支え、国民皆保険を将来にわたって維持することを目的に、10年以上の議論を経て平成20年から施行された制度であります。対象年齢を75歳以上としたことを現代のうば捨て山だと、当時の政府・与党、自民党ですが攻撃されました。メディアはお年寄りの怒り、生活の苦しさをあの手この手で取り上げました。確かに施行当時は混乱や不安もありました。我々もこの制度のすべてが完ぺきであるとは思っておりません。見直しや再検討も必要でしょう。

しかし、だからといって、直ちに2年前の老人保健制度に戻すことには大反対です。意見書案では、戻すことに特別の混乱はないと言っておりますが、極めて認識が甘いことを指摘します。電算システムの構築には多額の費用がかかりました。これをもとに戻すには、同程度の費用がまたかかります。さらに、新制度に移行するとした場合、またも同額の費用がかかります。安定した運用が可能なように、十分な準備、検証時間を確保しなければなりません。また、被保険者はもちろん医療現場、地方自治体に再び多大な混乱を招き、安心で安定した医療の提供が困難になることが懸念されます。何より財政基盤をどうするのかが明確でありません。このような状況を考えると、直ちに廃止に踏み出すということは、適当でないと判断をいたします。

〜障害者自立支援法の廃止と新法制定に関する意見書について〜

次に、意見書案第4号障害者自立支援法の廃止と新法制定に関する意見書案であります。

長妻厚生労働大臣は、就任直後、同法廃止と4年以内の新制度導入を表明しました。今月17日、長妻大臣がこの法案廃止までの措置として、来年度非課税世帯の利用料を無料化する方針を表明しました。

しかし、約300億円の財源が必要とされ、来年度予算の折衝で財務省が難色を示し見通しが立っていないとの報道がなされたところであります。新政権が障害者自立支援法の廃止を方針として検討するのはよいとして、利用者負担軽減の費用すら見通しが立たないのに、はるかに膨らむであろう新制度の財源をどう確保できるのでしょうか。そうした説明も全くなく、安直に応益から応能への移行を主張されても、賛同することはできません。社会弱者を救うことは、極めて大事なことです。だからといって、場当たり的に手形を切るだけでは持続可能な制度設計はできません。慎重な議論を踏まえて、制度の見直しを行うことを主張して、本意見書案に反対の討論といたします。

〜鳩山首相及び鳩山邦夫衆議院議員の、親族からの資金供与について説明責任を果たすよう求める意見書について〜

最後に、意見書案第11号鳩山首相及び鳩山邦夫衆議院議員の、親族からの資金供与について説明責任を果たすよう求める意見書案について、一言触れさせていただきます。

本意見書案は、全会一致で可決となる見込みであります。最初にこの意見書案を見たとき、正直なところ全会一致は厳しい、難しいのかなと思いました。道議会では同様趣旨の決議が既に賛成多数で可決されておりますが、民主党は反対をいたしました。今回の意見書案は、弟の鳩山邦夫議員も入っているとはいえ、全会一致が実現をいたしました。民主党・市民連合の度量の広さに敬意を表するとともに小樽市議会の見識を改めて認識したものであります。

以上、意見書案に対する討論とし、議員各位の賛同を心からお願いをいたします。(拍手)