平成20年第1会定例会予算特別委員会〜平成20年3月12日

 

○横田委員

◎まちづくり景観計画について

私の方から、まちづくり景観行政について、お伺いいたします。

平成18年11月1日に、景観行政団体に指定されたということでありますが、そのときの話では19年度中に、景観計画を策定して、条例改正まで持っていくといった、そのような話だったと思いますが、現在の景観計画策定の進ちょく状況についてお知らせください。

 

○(建設)まちづくり推進室主幹

景観計画の進ちょく状況についてでございますが、景観行政団体になった以降は、景観審議会の方でワーキング部会を設置いたしまして、景観計画の策定に向けて鋭意取り組んできたところでございます。この中では、一つには景観計画の区域を定めなさいということと、良好な景観形成に関する方針、それと良好な景観計画に関する行為の制限等について定めなさいということが定められております。これらについて現在検討をしているところでございます。

内容につきましては、区域は小樽市全域をその対象とするということ、良好な景観形成に関する方針につきましては、一定程度基本計画を持っていますので、基本計画に沿った形で定めていこうという方向性が、ワーキング部会の中で出されております。現在、行為の制限という中身の中で、建物の形態、意匠、色などについてどういった制限ができるかということについて、今、具体的な検討をしているというところでございます。

 

○横田委員

現条例を見ますと、小樽の歴史と自然を生かしたまちづくり審議会がずいぶん役割といいましょうか、非常に重要な審議会になっているのです。各所であらかじめ審議会の意見を聞かねばならないとか、審議会の意見を聞いてという文言がずいぶん出てきます。ねばならない規定というか。それで、その審議会はどのぐらいの回数で審議しているのですか。

 

○(建設)まちづくり推進室主幹

ワーキング部会を設置してから、部会のメンバーで集まって協議したというのは9回ほどございます。そのほかに、個別に会長と協議をしたりというのは、また別に何回かございます。

 

○横田委員

1年ちょっとで9回ですから、多いといえば多い、少ないといえば少ないのか。何というか、1年以上かかっていますので、スピード感としてはどうかというような気が若干するのですけれども、今答弁されたように、区域とか方針とかいろいろなことで協議していると。後段言われたように、たぶん景観法ができて制限を課すのが、景観計画の中で一番重要なところかと思うのですが、今、例えば罰則なんかを設けて景観を損なうことをすることに対してのどの程度の制限が議論になっていますか。

 

○(建設)まちづくり推進室主幹

景観法では、制限を課すことができるという規定にはなっていますけれども、景観計画にその制限を定めます。景観計画で定めただけでは、強制力を持てないということですので、これに強制力を持たせるため、本市で条例を定め、条例の中にこの景観計画を位置づけていくという手続が必要になってきます。条例化されて初めて実行力を伴った景観計画になるということでございます。

罰則につきましても、条例を定めることによって、景観法に基づく景観計画となりますので、景観法の罰則が適用されるという流れになっております。

そういった意味で、景観計画に定められた行為の制限、例えば屋根の形をこうしなさいとか、壁の色をこういうふうにしなさいとかという、具体的な文言といいますか、そういう形でできれば景観計画を策定したいということで考えておりまして、逆にそういう表現をすれば、それについて建物の所有者等々に是正命令も含めた強制力を持った指導・助言ということができることになりますので、細かい部分も含めて、本当にどこまで表現すべきか、そういった詳細といいますか、詰めの議論をまさに今慎重にやっているというところでございます。

 

○横田委員

私は決して制限を厳しくして、びしびしやれというようなことではなくて、例えば意図的に確信的に、意匠を変えたりとか、形を変えたりした方々に対して、対抗できるだけの条例を整備しておいた方がいいのではないかという考えですので、何か過度に取り締まるという感じになってしまっては変ですので、その辺はしっかりとよろしくお願いします。

それと、その辺はこれからということですが、もう一つまちづくり景観協議会というのは、この辺でそういった議論というか何か条例改正についての、今言った景観計画に関する話なんかというのはないのですか。まちづくり景観協議会自体はやっていないのですか。

 

○(建設)街づくり推進室主幹

条例でいうまちづくり景観協議会というのは、その地区で景観に関していろいろな活動、例えば花を植えたり、道路をきれいにしたりという自主的な活動をしている団体で、そういった団体には市の方も支援をしていこうといった内容になっておりまして、具体的にこういった計画とかを議論するような、そういった団体には基本的にはなってございません。

 

○横田委員

景観計画の中にはいろいろ書いてあって、やはりその地区内における都市景観の形成うんぬんとありますから、その辺が全く関係ないわけではないと思います。その辺もちょっとこれからやっていただきたいと思いますが、最終的にその条例が改正される予定、その辺の見通しはどうなっていますか。

 

○(建設)まちづくり推進室主幹

今、答弁をさせていただきました景観計画をできるだけ早い時期にまとめたいということで動いていますけれども、その時期にもよりますけれども、私どもとしては平成20年度中の条例施行ということで取り組んでいきたいというふうに考えております。

 

○横田委

できるだけ早く示していただければと思います。

 

◎指定歴史的建造物の指定解除について

関連しまして、現行条例の中に第2節として歴史的建造物の規定があります。これに関連しまして報道されましたので、名前を出してもいいのかと思いますが、旧板谷邸の歴史的建造物指定の関係で2月7日に某紙で報道がされました。現行は指定歴史的建造物ということでよろしいですね。

 

○(建設)まちづくり推進室主幹

指定歴史的建造物であります。

 

○横田委員

それで、その報道によりますと、歴史的建造物の指定解除を市に申し入れている。当然次のことを考えてということでしょうが、この辺について状況をお知らせください。

 

○(建設)まちづくり推進室主幹

旧板谷邸の所有者とは何回か話合いをさせてもらっている経緯があります。そのときの話の中身に、指定解除ということもひとつ頭にあるというような話はされておりますけれども、今のところ正式に市の方に指定解除という形での話はいただいてはおりません。

 

○横田委員

現行条例でしか判断できませんけれども、これは指定解除の項目もありますし、それから現在指定されていれば、いろいろな行為とか届出の規定もあります。それで、いろいろ保全の必要があるときには、指導・助言をするということも現行条例でもうたってあります。それで、私は中に入ったことはないですが、外から見ましたら、和風建築のところに洋風のものがついていたり、非常に小樽の景観の財産としてはいいと思いますが、これはやはりもし所有者が登録を解除してもらって、解体するというような話になった場合は、市はどんなことを意見できますか。

 

○(建設)まちづくり推進室主幹

実はこの旧板谷邸につきましては、1回指定解除になっていまして、それを改めて現在の所有者の方が取得をして、市もお願いをして改めてまた指定をしていただいたという経緯があります。そういう意味では所有者の了解、理解、同意といいますか、そういうのが得られないと、なかなか指定という形はとれないのかというふうに思っております。

もし、指定解除という形での話がございましたら、まず市としてはやはり何とかそのままにしておいていただきたいというお願いをするということは一義的なことというふうに思っていますが、所有者の理解を得られない場合には、指定解除をした場合でも、その建物の特徴ある部分、一部分だけでも残せないかというお願いをしていくということも、また一つでしょうし、それもかなわないということであれば、調査をした中で図面とか資料といった形で、その建物の記録を残していくというようなこともしていかなければならないのかというふうに思っております。

 

○横田委員

この建物の評価について、新聞でしかわかりませんけれども、こう書いています。「和洋の近代建築様式が大邸宅という形で残されている意味では、道内随一だ」と。大変貴重なものだと思うので、何とか解体してなくなってしまうようなことがないように、市当局が力を発揮していただきたいと思うのです。先ほどの答弁でよくわからないのは、申入れは口頭では受けているということでしょうか。口頭では受けているけれども、正式に解除の申入れを受けていないという理解でいいのですか。

 

○(建設)まちづくり推進室長

いろいろと新聞でも出ておりましたけれども、これまでも所有者の方からは、幾度となくいろいろ相談がございました。それで、今後そこをどういうふうに活用するかということでいろいろなアイデアがありまして、それに基づいて我々としてもいろいろと相談を受けていたということがございます。

そういった中で、所有者の方はなかなか今の建物を維持していくというのは、建物の経年劣化等々があって、非常に大変というのが実際にあって、我々も何回かそのところを見ているというか、相談をしているのですが、確かに今建物的には非常にやはりこれからも経費的にはかかるだろうと、こんなことを我々は思っています。そういった中で、今後とも何とか我々は維持してほしいということでお願いをしておりますけれども、その中で所有者の方からは、将来的な使い方も考えると、一方で、一つの考え方としては、それを取り壊してという考え方も我々は聞いております。

そういった中で、市としては貴重な財産でありますから、何とか維持してほしいということで、今主幹が申し上げたような形で、いろいろな形で相談、助言をさせていただいているといったことが、現状でございます。所有者の意向もありますけれども、何とかその建物を守っていきたいというのが市の基本的な立場ということでございます。

今後とも、いろいろとこれからも相談に応じますということは、我々、所有者の方に申し上げておりますので、所有者の方も決してその建物を解体するというのは本意ではないというふうに我々は聞いておりますので、何とか保全ができるかどうかといったことも含めて、今後とも鋭意話合いをさせていただいて、なるべくいい方向にというふうに考えておりますけれども、一方、やはり所有者の意向というものも我々は非常に大事にしなければならないということがございますので、何とかそういったいい方向でといいますか、そういったことで解決できればというふうに思っている、それが現状でございます。

 

○横田委員

それでは、正式に書面等で解除してほしいというのは受けていないのですか。

 

○(建設)まちづくり推進室長

正式な書面という形では、我々は受けておりません。ただ、意向を聞いたことは当然ながら、今申し上げたように何度か取下げをしたいということは受けておりますけれども、正式な書面という形では受理はしてはおりません。

 

○横田委員

指定解除を申し入れても、強制力でだめという話にはならないと思いますので、その辺はひとつ話合いを進めていただいて、一番いい形で保存していただきたいと思います。

 

◎今後の景観保全方策について

最後に、市全体を含めて、今後の景観の保全方策といいましょうか、歴建の指定に対する考え方、どうしていくのかということを含めて、最後に部長の考えを聞きたいのですが、何か景観とかに対するいろいろな動きが出ていまして、某紙によりますと、非常に高層のビルを建てる、あるいはマンションを建てると、その高層の部分は眺望を売り物にして高いですね。半面、高層ビルが目の前に建つと、景観を遮られる住民たちはこれは不利益をこうむるので、高層部分を買ったお金持ちの人から、まちづくりに対していろいろな費用を出す、そんな動きも現実にはあるようですし、今後の小樽の景観保全の方針といいましょうか、方策について意見があればひとつお聞きして終わりたいと思います。

 

○建設部長

小樽市内における景観を守るという概念でございますが、やはり一つは小樽市の経済活動を阻害することなく、保全ができればというふうに考えています。その一つとしては、低層で守るエリア又は駅前のように高層で守る景観という形で、新都市景観という言い方で、要は地域に差別化を導入して指定をしているということがあります。

一方、その景観を守る部分の中で、今近隣なり、区域の近いところで建つというような部分については、建築基準法上、中高層の建物については、周知をするということでございますので、それが、以前は現地で札を張るだけのものを、今はインターネットでホームページに載せるという形の中で、そういったものについては注意喚起をするような動きをしたりとかしています。

一方、若干話題は変わりますけれども、小樽市の歴史的建造物の多くが木骨石造という、要はく体的に非常に経年劣化を招きやすい構造を持ってございまして、それにはどうしても、く体の木造の部分を取りかえるとなると大変な費用になります。そういった中で、私どもとしては今歴史的建造物に対する補助制度を持っておりますし、今年4月から例の寄附条例を入れて、支援をするという形の中で、やはり金銭支援なくしてはやっていけないというふうに思っています。そういった中でも、協力をもらっていこうと思っています。

一方、建物というのは使って何ぼなんです。ただ外観を残すのではなくて、先ほどありました旧板谷邸の海宝楼のように再利用を促しながら、要は利益を生みながら維持管理費を持ってもらうと、そんな多面的なことも思っていますので、いろいろな角度から支援をするといいましょうか、そういう形をやっていかなければ、なかなか小樽の景観を保てないと思ってございますので、そういう意味では、官民で力を合わせざるを得ないというふうには思ってございます。